リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中絶合法化を導いた「アンチお姫様」 書店発の女性運動

朝日新聞 サンパウロ=岡田玄2021年2月4日 9時00分

マチスモによるフェミサイド事件が女性たちの怒りを爆発させた。

中絶合法化を導いた「アンチお姫様」 書店発の女性運動:朝日新聞デジタル

 アルゼンチンに一足先に未来が来た――。2020年のおおみそか、隣国ブラジルの新聞がこんな風刺画を掲載した。その前日、アルゼンチンで人工妊娠中絶の合法化法案が可決されたことを受けてのものだった。中絶に反対するカトリック教会の影響が強く、「マチスモ」という男性優位主義が根強いという共通の文化を持つ中南米諸国で、中絶の合法化が「未来」と受け止められたのだ。


ある殺人事件きっかけに
 ルネサンス様式、アールヌーボー、新古典様式……。美しい建築物が並ぶアルゼンチンの首都ブエノスアイレスは、文化活動が盛んなこともあり、「南米のパリ」と呼ばれる。

 10年ほど前に記者が留学していた時、地下鉄やバスでよく目にしたのが、本を読む人だった。まだスマートフォンがそれほど広まっていなかったことも理由だろうが、読書人口が多いことは間違いない。

 ロンドンにある国際組織「世界都市文化フォーラム」によると、2018年時点のブエノスアイレスの書店数は615店。16年で1600店ほどの東京に及ばないが、人口10万人あたりの軒数を見ると、東京の12店に対し、ブエノスアイレスは20店。19年の統計では、東京は1千店ほどに減っているので、さらに差は広がる。ニューヨークやロンドンよりも人口あたりの書店数が多く、世界でも屈指と言えるレベルだ。言い換えれば、それだけの数の書店を支える読者がいるということでもある。

 日本と同じく、どの書店でも入ってすぐに平積みの台に、売れ筋やおすすめの書籍が並べられている。近年、目立っていたのが「アンチ・プリンセサ」と呼ばれる児童書の伝記シリーズだ。直訳すれば「反お姫さま」。わずか25ページほどの薄い本だが、大きな書店だけでなく、街角で新聞や雑誌を扱う小さな売店「キオスコ」でも売られていた。

 シリーズではこれまで、チリのフォルクローレ歌手やボリビア独立に尽力した女性の軍事指導者、ブラジルの小説家など、9人のラテンアメリカの女性を取り上げた。メキシコの芸術家フリーダ・カーロや、アルゼンチンのペロン元大統領の妻のエバ・ペロンなど、日本でも知られる名前もある。

 共通しているのは、「お城で暮らすような、美しいお姫さまの物語」とは相いれない女性たちということだ。お姫さまの物語が伝える「女性らしさ」や「女性としての美しさ」、あるいは「女性の幸せ」をはねのけ、自分らしく生き、自分の幸せを実現した女性たちだ。

 著者のナディア・フィンクさん(43)は「アンチ・プリンセサで取り上げたのは、女性には権利がある、女性には歴史の中で別の居場所があると、示した女性たちです」と言う。人気になった理由を聞くと、「偶然にもある社会運動と連動することになった」と語った。

 シリーズ第1作のフリーダ・カーロの出版から1カ月後の15年5月、アルゼンチンである殺人事件が社会問題となった。14歳の妊娠中の女性が殺され、庭に埋められていたのが見つかった。殺したのは元恋人だった。


 こうした事件は、今に始まったことではない。アルゼンチンのジャーナリストのマリアナ・カルバハルさん(51)は「80、90年代、女性殺害や中絶による死亡は、地方版の小さな記事にしかならなかった」と話す。結果的に、望まない妊娠による中絶も、女性が抱え込んできた。

 しかし、15年5月の事件をきっかけに、「これ以上、誰も被害者にしない」という意味を持つ「ニ・ウナ・メノス」という女性運動が始まった。カルバハルさんは創設者の一人だ。

 運動に関わる別の女性ジャーナリストはツイッターで、「すべての女性よ、声を上げよう。私たちが殺されている」と呼びかけた。遺体発見の3週間後、アルゼンチンの各地でデモが行われ、計80都市で数十万人が参加したという。

……以降は有料会員サイトで。

現地にいる日本人記者が司会の疑問に答えるポッドキャストがめちゃ面白かったです💕
「中絶ってそんなに大事な問題なんですか?」「女性の権利の問題であり法的課題と捉えられています」

アルゼンチンでは妊娠14週目まで公立病院で無料で中絶を受けられるように。
性教育の実施、子育て支援計画、千日計画(3年間支援)法案も可決。

無条件で中絶許可:賛成派4割のみ、反対派の方が多い。
レイプの場合の中絶としては8割が賛成。
地方で中絶しにくくする条例が作られないか、医者が協力しないという懸念。
2018年にも同様の法案が下院を通り、上院は可決されなかった。
クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル元大統領(夫の後釜として2期就任)の影響が強い。

クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル - Wikipedia

現在のフランシスコ教皇アルゼンチン出身です。
フランシスコ (ローマ教皇) - Wikipedia