リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

女性と女児に安全な中絶サービスへのアクセスを保障する

国連経済社会理事会:性と生殖に関する健康に対する権利に関する一般的意見第22

安全な中絶サービスにアクセスできることは、国連社会権規約にもとづく人権です。

国際連合 E/C.12/GC/22
経済社会理事会(Economic and Social Council)2016年5月2日

経済的、社会的及び文化的権利委員会

性と生殖に関する健康に対する権利(経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第12条)に関する一般的意見第22


・性と生殖に関する健康に対する権利(the right to sexual and reproductive health)は、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の第12条に規定されている「健康を享受する権利」の重要な一部を成す。
・性と生殖に関する健康に対する権利は、他の国際人権文書にも反映されている:女性差別撤廃条約および女性差別撤廃委員会の一般勧告第24号(1999)の第11、第14、第18、第23、第26、第29、第31(b)パラグラフ、子どもの権利条約、子どもの権利委員会の一般的意見第15(2013)障がい者の権利条約。
・性と生殖に関する健康の問題は、1994年ICPD行動計画によりさらに強調され、大きく発展した。
・「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(UN、2015)に性と生殖に関する健康の分野において達成すべき目標とターゲットが盛り込まれた。

1.イントロダクション
(前略)
2.性及び生殖に関する健康のための様々な施設、サービス、物資及び情報へのアクセスは、多くの法的、手続的、慣習的及び社会的な障壁により著しく制限されている。実際に、全世界の数百万人の人々(特に女性と女児)にとって、性と生殖の健康に対する権利を十分に享受することは、依然として遠い目標である。(後略)

28. 法律上及び事実上、女性の権利と男女平等を実現するには、性と生殖に関する健康の分野における差別的な法律、政策及び慣行を廃止又は改正する必要がある。性と生殖に関する健康のための広範なサービス、物品、教育及び情報に対する女性のアクセスを妨げる障壁は、すべて排除される必要がある。妊産婦の死亡率及び罹病率を下げるには、産科救急ケアと熟練助産者(農村部及び僻地を含む。)、そして危険な中絶の阻止が必要である。望まない妊娠と危険な中絶を阻止するには、負担可能な価格の安全かつ効果的な避妊薬・避妊具及び包括的性教育へのアクセスをすべての個人(青少年を含む。)に保障すること、中絶を制限する法律を緩和すること、女性と女子に安全な中絶サービスおよび良質な妊娠中絶後のケア(訓練を受けた医療従事者が提供するものを含む。)へのアクセスを保障すること、並びに女性が自分の性と生殖に関する健康について自律的決定を行う権利の尊重を目的とする法的・政策的措置を国家が講じることが必要となる。
29.また、性と生殖に関する健康の十分な享受を否定する悪しき慣行、規範及び性差に基づく暴力(例」特に、女性器切除、子どもの結婚、強制結婚、家庭内暴力、性的暴力(婚姻内強姦を含む。))からすべての個人を守るための予防策、促進策及び是正策を講じることも重要である。締結国は、暴力、強制及び差別を受けることなく、自己の性と生殖に関する健康について自律的意思決定を行う万人の権利に対する侵害の防止、対処及びその是正を目的とする法律、政策及びプログラムを整備しなければならない。