リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

2021年5月13日、厚生労働委員会で病床削減の問題など医療法改正法案、経口中絶薬、オリンピック・パラリンピックにおける損害について質問

福島みずほオフィシャルサイトより 204-参-厚生労働委員会-015号 2021年05月13日(未定稿)

福島みずほ君 経口中絶薬についてお聞きをいたします。
年末には承認予定との報道もありますが、医師の処方箋により個人が自宅で使用するのか、どのような扱いになるのか、教えてください。

○政府参考人(鎌田光明君) 御指摘のございましたいわゆる経口中絶薬のうち、ミフェプリストン、それからミソプロストールにつきましては、現在、開発している企業におきまして、治験、追加的な試験をしているところでございます。したがいまして、今後、企業から薬事申請されましたら、御指摘のような安全管理の方策をどうするか、必要か否かも含めて適切に審査を行うということでございます。今後、それを踏まえて保険承認、適用なども考えていくということになろうかと思います。

福島みずほ君 保険適用どうなりますか。

○政府参考人(鎌田光明君) 薬事承認された場合、中医協におきまして議論するわけでございますが、経口中絶薬につきましては、胎児の死亡などによる流産など、治療上、中絶の必要な場合につきましては保険適用となりますが、単に経済的理由による場合など、疾病に対する治療に該当しない場合には保険適用にならないということを考えております。

福島みずほ君 諸外国では、まさにイギリス、フランス、オランダ、スウェーデンなど、無料です。これが、だから、自由診療になるのか、あるいは幾らになるのかというのも極めて大きいことだと思います。
経口中絶薬は、妊娠を維持させる黄体ホルモンの働きを抑制する作用のミフェプリストンと、子宮を伸縮させる作用のミソプロストールという二種類の薬剤を併用することが推奨されております。日本では、ミフェプリストンは一切認可されておらず、ミソプロストールは、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の治療薬、サイトテック、薬価一錠約三十三円として認可されております。中絶や流産に対する適用は認められておりません。妊婦への使用は禁止であり、適用外使用もしないよう注意喚起されております。
この一錠三十三円、サイトテック、これの適用拡大という方法もあり得るんじゃないですか。

○政府参考人(鎌田光明君) 先ほど申し上げましたように、現在、この薬、開発試験中でございますので、企業がどういった申請するかによって薬事承認の内容も変わってきますし、それを踏まえて保険を適用を考えていくということでございます。
その上で、保険適用になった場合の価格についてでございますが、いろいろお考え方ございますけれども、これにつきましても、先ほど申し上げましたような、承認申請の内容、承認の内容などによって、今後、中医協等で議論していくということになろうかと思います。

福島みずほ君 国際産婦人科連合は、ミソプロストール、サイトテックですね、単独での安全な中絶、流産のレジュメを公開をしております。まさに、人工妊娠中絶に関する国際産婦人科連合の声明が出されております。
これは日本の産婦人科学会ももちろん所属をしておるわけですが、この国際産婦人科連合は、安全な人工妊娠中絶へのアクセスを含むリプロダクティブオートノミー、性や生殖に関する自己決定権は基本的人権であり、どのような状況でも侵害されるべきではないものだと考えますと。人工妊娠中絶は一刻を争う重要な医療サービスであり、女性や女子の希望に沿って、安全性、プライバシー、尊厳を最優先にして提供されるべきものであると。で、国際産婦人科連合は、全ての政府に対し、安全な人工妊娠中絶へのアクセスを妨げる障壁を取り除き、COVID―19の流行期間中もその後も、全ての女子と女性が安全な妊娠中絶を利用できるようにすることを求めますとしております。
つまり、中絶薬の認可、そして、それが極めて安価であること、それから、ここで、まさに遠隔診療、この人工妊娠中絶に関する国際婦人科連合の声明の中では、アクセス性の向上として、遠隔医療などを非常に慫慂しております。いかがですか。

○政府参考人(鎌田光明君) いろいろ御指摘ございました。
例えば、この費用というんでしょうか、薬の価格ですとか中絶全体の費用でございますけれども、先ほど、この薬が保険適用された場合の価格については今後御議論だということを申し上げましたけど、保険適用されない場合の人工妊娠中絶への公的助成につきましては、御指摘のような生命の尊重ですとか自己決定権、様々な御意見があることですとか、あるいは倫理観とか道徳とも深く関係する難しい問題なので、国民各層にて議論が深まることがまず重要ではないかと考えております。
それから、遠隔診療ということでございました。遠隔診療そのものについても医療という観点から御議論必要かと思いますが、この当該経口中絶薬、ミフェプリストンなりミソプロストールにつきましては、やはり投薬管理をどうしていくかということがございます。先生おっしゃるように、初めミフェプロストールで妊娠を停止させて、それからミソプロストールで女性の体内にあるものを外に出すというときの健康管理ですとか、そのことも含めて、今後、申請側の企業の考えを踏まえまして決めていくことになろうと考えております。

福島みずほ君 是非、この国際産婦人科連合が提起しているように、日本の女性が安心、安全でアクセス可能で安価なその中絶薬すら手にすることができないという状況を本当に変えていきたいというふうに思っております。
母体保護法の中で、中絶をするのに配偶者の要件が必要です。このことについていろんな人と議論をしました。
つまり、二人で話し合って決めるということでもないんですよ。夫が反対したら中絶ができない。夫が反対したら出産を強要されるんですよ。妻はゼロ、夫が一〇〇ですよ、同意権持っているんだから。これだと女性は、自分は出産したくない、自分の人生にとって物すごい大変革になると思ったとしても、夫の同意がなければ中絶できないんですよ。
これって、中絶拒絶権、そして出産強要権を夫が持つということじゃないですか。これって、リプロダクティブライツ・アンド・ヘルス、全く女性にないと思いますが、いかがですか。

○政府参考人渡辺由美子君) 御指摘の母体保護法の規定でございますけれども、御指摘のような、一方で、そのリプロダクティブヘルス・ライツといいますか、女性の自己決定権という問題もございますが、一方で、また胎児の生命尊重というもう一つの大きな課題もございます。
そういう中で、この問題については様々な御意見が国民の間で存在していると思っておりますので、先般、レイプの場合ですとかあるいはDVの場合については解釈を示させていただきましたが、やはりこの配偶者の同意ということについて見直すということには慎重な対応が必要であろうと思っております。

福島みずほ君 胎児の生命尊重、関係ないですよ。関係ないというのは、夫が同意権を持つということの問題なんですよ。妻が決めるのではなく、夫の同意がなければ中絶ができない、夫が判断権を持つということで、同意しなければ出産を強要されるということですから、ここを問題にしているわけです。夫と妻の間の問題じゃないですか。夫が何で出産を強要できるのか。これ、極めて問題だと思いますよ。だって、産むのは女性なわけですから。
これは、母体保護法の中の配偶者要件は撤廃をすべきだというふうに強く申し上げますし、政府が是非やってくれるように、場合によっては議員立法で取り組むべきことだというふうに思っております。

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