リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

コーンウォールG7のジェンダー関連の声明等

世界は「女性の権利」の推進とジェンダー平等への決意に満ちている

2021 G7コーンウォールサミット成果文書の一覧(日本語)

G7共同コミュニケ

各所に女性や少女、ジェンダーへの言及がちりばめられているが、以下はまとまってジェンダー平等を扱った箇所:

ジェンダー平等
44.ジェンダー平等は、開かれた、包摂的な、公正な社会の中核である。ジェンダー平等における継続的なギャップは、働きがいのある仕事、平等な賃金、社会的保護、教育、技術、多くの他の分野と同様、基礎的なサービスへのアクセスに影響する。また、家庭における無償のケア責任の不平等な分担と有償のケア労働の低賃金が、女性のエンパワーメント、社会的・経済的参画及びリーダーシップを制限している。ジェンダー平等は他の特性と交差する部分があり、あらゆる形態の人種差別やLGBTQI+の人々に対する暴力及び差別に対処することを含め、我々の行動はこれらの交差性を意義ある形で考慮する必要がある。我々は、特にジェンダーに基づく暴力、性と生殖に関する健康及び権利、教育及び雇用に関して苦労して勝ち取った進歩を逆行させる恐れがある、女性及び女児に対する新型コロナウイルスの破壊的及び不均衡な影響を認識する。
45.ジェンダーの公平・平等の推進は、より良い回復のための我々の計画及び政策の中心的な柱であり、女子教育、女性のエンパワーメント、女性及び女児に対する暴力の終焉、という三つの主要な優先事項からなる。ジェンダー平等の達成は、意思決定の全ての側面において、女性の完全、平等かつ有意義な参画に支えられる必要がある。我々は、「平等を目指す全ての世代フォーラム(GEF)」と緊密に協力することにコミットし、女性のエンパワーメントに関する初めてのG20閣僚会合の開催を称賛する。我々は、ジェンダー平等アドバイザリー評議会(GEAC)の作業と提言に感謝し、秋に同評議会の詳細な報告書を受け取ることを楽しみにしている。我々は、この議題に関する我々の世界的なリーダーシップを示すため、ジェンダー平等に一貫して持続的に焦点を当てることに合意し、全てのG7議長国の常設の組織としてGEACを召集することを意図する。我々は、強固なデータとそれを時間をかけて追跡する方法がなければ、ジェンダー平等に向けて真の進展はなし得ないことを承知している。我々は、GEACが、ジェンダー平等を達成するためのG7のコミットメントを年毎に監視するため、説明責任ワーキンググループやタオルミーナ・ロードマップといった既存の説明責任のメカニズムと協働するよう奨励する。
46.我々は、全ての個人の性と生殖に関する健康と権利(SRHR)を促進し保護するための我々の完全なコミットメントを再確認し、それらがジェンダー平等、女性及び女児のエンパワーメントにおいて、また、性的指向及び性自認を含む多様性への支援において果たす重要かつ変革的な役割を認識する。我々は、最もリスクに直面している人々、周縁化され不十分なサービスの提供しか受けていないグループに対する特別な注意を持って、新型コロナウイルスパンデミックによる、性と生殖に関する健康と権利へのアクセスに対する悪影響を予防し、対処するために協働することにコミットする。新型コロナウイルスによる危機の間、女性及び女児に対する暴力が増加したことを認識しつつ、我々は、あらゆる形態の性的及びジェンダーに基づく暴力(GBV)を予防し、対応し、除去することにコミットする。我々は、女性のエンパワーメントを通じて、また、我々の国内、パートナー国国内及び紛争地域でのパンデミック対応及び回復等を含め、証拠に基づいたアクセス可能な生存者及び被害者中心の政策、予防及び支援プログラムの実施を拡大することにより、これを達成する。我々は、国際援助の中で性的搾取・虐待への対応について更に取り組むという、受益者やパートナー、彼らのコミュニティ、生存者に対する集団的責任を認識する。我々は、女性及び女児に対するジェンダーに基づく暴力を非難し、紛争下における性的暴力の行使を糾弾し、そのような行為が人道に対する罪又は戦争犯罪を構成することを強調する。我々は、現下の紛争に対応する様々な法的及び制度的枠組みに留意し、外務・開発大臣に対し、紛争に関連する性的暴力をめぐる国際的な体系を強化するためには何が最適か検討するよう奨励する。
47.新型コロナウイルスは、もともとあった不平等を悪化させ、世界中の子供たち、特に最も周縁化されリスクに晒された女子の歴史の中で、最悪の教育危機の一つをもたらした。就学前から中等教育までの約1100万人の女子が学校に戻れないというリスクにさらされている。我々は、SDGのゴール4に関して、2つの新しい世界的な女子教育の重要目標にコミットする。一つは、2026年までに、低所得国及び低中所得国において4000万人以上の女子に教育を提供すること、もう一つは、2026年までに、低所得国
及び低中所得国において2000万人以上の女子が10歳までに又は小学校終了時までに読解力を身につけることである。我々は、G7外務・開発大臣による「女子教育に関する宣言」を承認する。これらの目標は、持続可能な資金によって支えられなければならず、したがって本日、G7メンバーは、7月の増資に先立ち、教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)に対し、全てのプレッジを合わせて次の5年間で少なくとも27.5億ドルの資金提供にコミットする。我々は他の主体に対し、G7と一緒に、GPEが十分に資金提供されるための野心的なプレッジを行うよう求める。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100200009.pdf


以下はサブ声明文である「2021年 開かれた社会声明

 我々、英国、豪州、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、インド、日本、韓国、南アフリカ、米国及び欧州連合の首脳は、全ての人々及び地球の責任ある管理のための尊厳、機会及び繁栄の基礎として、開かれた社会、民主的な価値及び多国間主義に対する共通の信念を再確認する。民主主義のもとで暮らす世界の過半の人々のリーダーとして、我々は、以下に関連する国際規則及び規範の尊重を含め、我々を結びつける価値を擁護することを再確認し、他国に対して奨励することが喫緊であると確信する。
●全ての人が完全かつ平等に社会に参加できるよう、世界人権宣言及び他の国際人権文書に定められている、全ての人のオンライン及びオフライン双方における人権と、あらゆる形態の差別への反対。
●責任及び透明性のある統治体制内における、自由かつ公正な選挙での各市民の投票権や、全ての人々の平和的な集会・組織・結社の権利を含む、民主主義。
●デジタルインクルージョン、物理的及びデジタル領域双方における市民的及び政治的権利の完全な享受を含む、社会的包摂性、連帯、全ての人のための機会均等。
●女子教育、ジェンダーに基づく暴力の撲滅のための対応及び取組、女性及び女児の権利の促進、性と生殖に関する健康と権利の擁護を通じたものを含む、ジェンダー平等並びに女性及び女児の政治的、社会的及び経済的エンパワーメント。
●民主主義を守り、恐怖と抑圧のない生活を人々が送ることを助ける自由としての、オンライン及びオフライン双方における表現の自由
●各人が司法にアクセスし、公正な裁判を享受するための、法の支配、及び腐敗の影響又は強制から自由な、効果的で独立した公平な司法制度。
●全ての人の利益となる、新型コロナウイルスのワクチン接種を含む、世界的な課題に対する協働の他、自由かつ公正でルールに則った貿易へのアクセスを含む、開放性、透明性、説明責任の原則に支えられた効果的な多国間システム。
●人権及び基本的自由の促進における、市民領域及び人権擁護者を含む多様で独立した多元的な市民社会とのパートナーシップの重要性。


 これらの基礎的価値は、我々の包摂的な生活様式を規定し、我々の国民の利益となるものである。基本的自由は人々に力を与え、機会を最大化し、共通の課題に対処し、世界の発展を推進するために必要なイノベーションと創意を刺激する。開放性は、いかなる国が一国で達成できるよりもよい結果をもたらす協働を奨励する。
新型コロナウイルスの流行からより良い回復を成し遂げる中で、我々は、誰一人取り残さず、我々の国民に対しより良い生活の質をもたらし続けなければならない。我々は重要な分岐点におり、顕在化する権威主義、選挙介入、腐敗、経済的強制、偽情報を含む情報操作、オンライン上の危害やサイバー攻撃、政治的な動機によるインターネットの遮断、人権侵害、テロ及び暴力的過激主義による、自由及び民主主義に対する脅威に直面している。我々はまた、人種差別及びジェンダー平等への抵抗を含む、継続した不平等と差別による、我々の社会構造に対する脅威に直面している。これらの脅威の中で、我々は、全ての人に対する普遍的人権及び平等な機会を促進する未来に向けて、開かれた、包摂的な、ルールに基づく国際秩序を構築していくために協働する。我々の民主的なシステムは強固で強靭であるが、我々はそれに満足してはいけない-我々は、我々自身の脆弱性に対応し、共通の脅威に対処する。この精神のもと、我々はパートナーと以下の事項について協力することにコミットする。
●市民領域及び報道の自由を保護し、表現の自由及び集会・結社の自由、信教や信条の自由を促進し、人種差別を含むあらゆる形態の差別に取り組むことにより、開かれた社会を世界的に強化すること。
●情報交換を継続し、「即応メカニズム」といった関連のパートナーシップを通じたものを含め、偽情報や恣意的拘束等の、人権及び民主主義、法の支配に対する共通の脅威に対する効果的な対応をしかるべく調整すること。
●開かれた市場、公正な競争及び法の支配を基礎とした我々の共通の経済モデルを再び主張し、また、世界貿易機関を改革することにより、経済的な解放性及び強靱性を促進し、経済的強制に反対すること。
●腐敗及び不法な資金の流れを予防かつ対処し、清廉性、透明性及び説明責任を促進すること。
●包摂性を促し、能力構築を通じたものを含むデジタル面での市民領域を保護する、国際的に受け入れられた規範の尊重を促進し、新技術の設計及び適用が我々の共通の価値を反映し、人権及び国際法を尊重し、多様性を促進し、公共の安全に関する原則を取り込むことを確保すること。ジェンダー平等及び女性のエンパワーメント、世界的な回復における女性及び女児の人権の十分な享受、障害者の包摂、教育と雇用における若者の機会均等を優先課題とすること。
●全ての国々に対し、研究の透明性と研究インテグリティの向上を求めることにより、世界的な課題への科学に基づいた対応について協働し、イノベーションを促進すること。
●「公正で平和的で包摂的な社会を促進する」という持続可能な開発目標(SDGs)の目標16を含むSDGsや、開発課題のために重要となる資金繰りに対応するための具体的な行動を含む、2030アジェンダ開発途上国による達成に向けた支援へのコミットメントを強化すること。
 我々は、G20サミット、国連・米国民主主義サミットを含む他の多国間枠組みにおいて、これらのコミットメントに基づき取組がなされることを楽しみにしている。我々は、全ての人のために、これらの共通の価値を積極的に促進するため、インド太平洋及びアフリカを含む世界中のパートナーと協働することを決意する。我々は、志を同じくする全てのパートナーに対し、本声明を支持するよう求める。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100200014.pdf

この声明の末尾にオリパラを支持する文言がある。

結語
70.コーンウォールにおいて、我々は、G7のパートナーシップを再活性化した。グローバルな行動のための我々の共通のアジェンダは、我々が本年そして将来の議長国の下で引き続き協調していく上で我々が共有するビジョン及び目標を示すものである。我々は、そうする中で、より良い回復を確実なものにするため特にG20サミット、COP26、CBD15及び国連総会において他の国々と合流するのを楽しみにし、また、新型コロナウイルスに打ち勝つ世界の団結の象徴として、安全・安心な形で2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会を開催することに対する我々の支持を改めて表明する。