リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

第V部 資料編: 第1章 2001年度政府開発援助予算と事業の概要

政府開発援助(ODA)白書 2001年版の資料らしいことが判明

資料編 > 第3章 > 第3節●国際機関 >

最初は何の資料かも不明だった。UNFPAの検索で偶然みつけたページから、前後ページに飛べたので、国際機関が続くので抜き出してみた。SRHRに関連するページはリンクも貼っておいた。

第3節●国際機関
1 国際連合(UN:United Nations)の概要と実績
2 国連食糧農業機関(FAO:Food and Agriculture Organization of the United Nations)の概要と実績
3 世界食糧計画(WFP:World Food Programme)の概要と実績
4 国連教育科学文化機関(UNESCO:United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization)の概要と実績
5 国連工業開発機関(UNIDO:United Nations Industrial Development Organization)の概要と実績
6 国連児童基金(UNICEF:United Nations Children's Fund)の概要と実績
7 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR:United Nations High Commissioner for Refugees)の概要と実績
8 国連人口基金(UNFPA:United Nations Population Fund)の概要と実績
9 国連パレスチナ難民救済事業機関UNRWA:United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees in the Near East)の概要と実績
10 国連環境計画(UNEP:United Nations Environment Programme)の概要と実績
11 国連開発計画(UNDP:United Nations Development Programme)の概要と実績
12 世界保健機関(WHO:World Health Organization)の概要と実績
13 国連大学(UNU:United Nations University)の概要と実績
14 国際労働機関(ILO:International Labour Organization)の概要と実績
15 国際原子力機関IAEA:International Atomic Energy Agency)の概要と実績
16 国際農業研究協議グループ(CGIAR:Consultative Group on International Agricultural Research)の概要と実績
17 国際農業開発基金(IFAD:International Fund for Agricultural Development)の概要と実績
18 国際復興開発銀行(IBRD:International Bank for Reconstruction and Development)及び国際開発協会(IDA:International Development Association)の概要と実績
19 国際通貨基金IMFInternational Monetary Fund)の概要と実績
20 アジア開発銀行(ADB:Asian Development Bank)及びアジア開発基金(ADF:Asian Development Fund)の概要と実績
21 アフリカ開発銀行(AfDB:African Development Bank)及びアフリカ開発基金(AfDF:African Development Fund)の概要と実績
22 米州開発銀行(IDB:Inter-American Development Bank)の概要と実績
23 欧州復興開発銀行(EBRD:European Bank for Reconstruction and Development)の概要と実績
24 地球環境ファシリティ(GEF:Global Environment Facility)の概要と実績

8 国連人口基金UNFPA:United Nations Population Fund)の概要と実績


1.設立及び我が国の協力開始の時期・経緯・目的


開始時期


●67年6月国連事務総長の下に信託基金として発足。
●69年「国連人口活動基金」(UNFPA:United Nations Fund for Population Activities)と改称、72年には国連の下部組織となり、88年に通称はUNFPAのまま「国連人口基金」に改称。
●我が国の同基金への資金協力は71年以来行われている。

経 緯


 UNFPAは、国連システム下で人口分野における諸活動を強化するための財源として国連事務総長の下に信託基金の形で発足したが、72年同基金が十分成長したことより、第27回国連総会決議に基づき国連の下部機関として認められた。

目 的


(イ) 人口家族計画分野における国家的、地域的、世界的ニーズに応えるような知識と能力を築き、計画立案における調整を図り、全ての関係方面と協力すること。
(ロ) 人口問題対策の実施、家族計画の人権的側面についての関心を、開発途上国及び先進国双方において、各国の計画、優先度に応じて高めること。
(ハ) 人口問題に取り組んでいる開発途上国に対し援助を拡大すること。
(ニ) 人口問題分野の計画推進に際して国連組織の中で中心的役割を果たし、同基金によって援助される諸プロジェクトの調整を図ること。

2.事業の仕組み


概 要


 UNFPAは、被援助国である開発途上国の要望に応じ、直接またはWHO、UNDP、ユニセフユネスコ等の国連機関及びNGOを通じて援助を実施している。
 その活動資金は、各国からの任意拠出によって賄われている。2000年のコア拠出金総額は、約2億5,800万ドルである。

審査・決定プロセス


 各国からの拠出金見込み額を基に、事業の4か年計画を策定し国別援助額を定め、これを基に各国にあるUNFPA事務所が中心となって、主要プロジェクトの概要を示した国別協力フレームワークを策定する。その上で、被援助国政府及び他のドナー国等との協議を踏まえて具体的なプロジェクトを確定している。なお、行政予算は2年ごとに策定され、要すれば毎年6月の執行理事会で改訂がなされる。

決定後の案件実施の仕組み


 UNFPAが自ら実施する事業の他に、国連の各専門機関やNGO等に委託して事業を実施している。近年開発途上国の自助努力を促すとの観点から、これら専門機関に代わって開発途上国政府自らがUNFPAの指導を得て事業を実施する傾向にある。

3.最近の活動内容


概 要


 94年の国際人口開発会議(カイロ会議)で採択された行動計画を基に、リプロダクティブ・ヘルス(人間の生殖システム、その機能と活動過程のすべての側面において、単に疾病、障害がないというばかりでなく、身体的、精神的、社会的に完全な状態であること。すなわち、人々が安全で満ちたりた性生活を営み、生殖能力をもち、子供を産むか産まないか、いつ産むか、何人産むかを決める自由をもつことを意味する。)を推進していくことを重要目標に掲げ、特に家族計画に重点を置いて援助を行っている。
 また、上記カイロ会議より5年目にあたる99年の6月には、UNFPAが中心となって同会議のフォローアップとしての国連人口開発特別総会を開催した。

地域別実績


 UNFPAは、上記の通り家族計画の推進に重点を置いているため、主に人口増加率の高いアフリカ及びアジア・太平洋地域への援助に向けられている。



主要な事業


リプロダクティブ・ヘルス(特に青少年に重点をおいた)の推進事業(避妊具の供与、啓蒙活動等)
●妊婦死亡率の改善事業(産婦人科関連機材の供与、医療関係者の訓練、保健・衛生キャンペーン等)
●難民に対する緊急援助事業(UNHCR、WHO等との協調により、紛争国、紛争地域における難民に対する医療薬品・避妊具等の供与、保健・衛生教育等)
エイズ感染防止事業(コンドームの供与、エイズ防止啓蒙活動等)

4.我が国との関係


意思決定機構における我が国の位置づけ


 我が国は、人口問題の重要性に鑑み、UNFPAに対して積極的な資金協力を行っており、86年から99年まで第1位の、2000年は第2位の拠出国となっているとともに、最高意思決定機関である執行理事会においても、我が国の意見は理事会決議に大きく反映されている。

邦人職員


 UNFPAの専門職以上の邦人職員は、8名(専門職職員総数181名、2000年末現在)であり、安藤博文前事務局次長の後任ポストに2000年2月和気邦夫氏が就任した。

我が国の財政負担


 我が国からのUNFPAのコア・ファンドへの拠出は、99年4,828万5千ドル、2000年4,828万5千ドルであり、全コア・ファンドに占める拠出率は、それぞれ19.7%及び18.7%でそれぞれ第一位及び第二位となっている。

主な使途を明示した信託基金への拠出


 2000年に我が方がUNFPA内に設置した「インター・カントリーなNGO支援信託基金」へ100万ドル拠出。

我が国ODAとの協調実績


 我が国は、94年以来UNFPAとの間でマルチ・バイ協力を実施している。具体的には、我が国が二国間技術協力の一環として、UNFPAと協力しつつ、開発途上国の家族計画の向上と妊産婦・新生児の死亡率・疾病率の改善を目的として、家族計画・母子保健活動に不可欠な避妊具・避妊薬、基礎的医薬品(抗生剤等)、母子保健キット(体重計、体温計、聴診器等)、分娩用関連機材等の人口・家族計画特別機材の供与とそれら機材の有効活用のための指導・助言・評価を行うものである。これまでにアジア(インド、パキスタンインドネシア、フィリピン、スリランカベトナムカンボジアラオスミャンマー)、アフリカ(モロッコセネガルタンザニアエチオピア、ガーナ、ザンビア)、中近東(エジプト、トルコ)、中南米(ペルー、メキシコ)の19か国(2000年度まで、総額約11億5千万円相当)において協力を実施してきている。

5.より詳細な情報


書籍等


●「世界人口白書」(国連人口基金編、日本語版 ジョイセフ発行)
 世界の人口関連の指標、人口分野の問題の動向等を取りまとめている。例年9月に発行。
 (財)家族計画国際協力財団(ジョイセフ)にて入手可能(1,000円)。
●「Annual Report」(国連人口基金編・発行)
 国連人口基金の年間活動内容、財政状況等を取りまとめている。入手方法は下記ホームページを参照。

ホームページ


 http://www.unfpa.org

図表-155 国連人口基金UNFPA)主要拠出国一覧(コア拠出)

最新の同白書は「2022年版開発協力白書」で、令和5(2023)年3月14日に公表

ジェンダー関連のページを見つけたので抜き書きしてみる。あいかわらず外面だけはいい。

(4)ジェンダー・包摂的な社会
ア 女性の能力強化・参画の促進
 開発途上国における社会通念や社会システムは、一般的に、男性の視点に基づいて形成されていることが多く、女性は様々な面で脆(ぜい)弱な立場に置かれやすい状況にあります。一方、女性は開発の重要な担い手であり、女性の参画は女性自身のためだけでなく、開発のより良い効果にもつながります。例えば、これまで教育の機会に恵まれなかった女性が読み書き能力を向上させることは、公衆衛生やHIV/エイズなどの感染症予防に関する正しい知識へのアクセスを向上させるとともに、適切な家族計画につながり、女性の社会進出や経済的エンパワーメントを促進します。さらには、途上国の持続可能で包摂的な経済成長にも寄与するものです。

 「持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)」では、「ジェンダー平等の実現と女性と女児の能力向上は、全ての目標とターゲットにおける進展において死活的に重要な貢献をするもの」であると力強く謳(うた)われています。また、SDGsの目標5において、「ジェンダー平等を達成し、全ての女性および女児の能力強化を行う」ことが掲げられています。「質の高い成長」を実現するためには、ジェンダー平等と女性の活躍推進が不可欠であり、開発協力のあらゆる段階に男女が等しく参画し、等しくその恩恵を受けることが重要です。


●日本の取組

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo/22_hakusho/honbun/b2/s3_4.html

  • エチオピア「女性起業家支援事業」で起業を目指す女性が研修を受ける様子(写真:JICA)


 「女性の活躍推進のための開発戦略」注67では、(ⅰ)女性の権利の尊重、(ⅱ)女性の能力発揮のための基盤の整備、(ⅲ)政治、経済、公共分野への女性の参画とリーダーシップ向上を基本原則に位置付け、日本は国際社会において、ジェンダー主流化注68、ジェンダー平等、女性および女児のエンパワーメント推進に向けた取組を進めています。

 日本は、2018年、女性起業家資金イニシアティブ(We-Fi)注69に5,000万ドルの拠出を行い、2022年6月時点で、59か国で50,068の女性が経営・所有する中小企業に支援を実施しています。そのうち具体的には、40,378の女性が経営・所有する中小企業が資金援助を受け、13,885が経営に必要な技術や知識習得のための研修を受講しました。また、世界銀行によると、途上国では女性が経営する中小企業の70%が金融機関から資金調達ができない、もしくは劣悪な借り入れ条件を課されてしまうため、We-Fiを通じて、性差別のない法制度整備の促進や、女性経営者が資金や市場に平等にアクセスできるよう支援を行っています。

 2022年6月に開催されたG7エルマウ・サミットでは、今後数年間にわたり、ジェンダー平等ならびに女性および女児のエンパワーメントを促進するG7の二国間ODAの割合を、共同で増加させるためにあらゆる努力をする旨が、首脳宣言に盛り込まれました。

 2022年12月には国際女性会議WAW!2022を開催しました。「新しい資本主義に向けたジェンダー主流化」をメインテーマに、2023年G7日本議長国下での議論を見据え、(ⅰ)新しい資本主義と女性、(ⅱ)女性の尊厳と誇りを守る社会の実現、(ⅲ)男性の関心・関与の拡大、(ⅳ)意思決定プロセスへの女性の参画、(ⅴ)女性の平和・安全保障への参画、の5つのサブテーマを設定し、国内外の様々な分野で活躍するリーダーや有識者による、より良い社会作りに向けた意見交換を行いました。また、WAW!2022の前後をWAW!ウィークスと位置付け、国際女性会議WAW!の趣旨であるジェンダー平等と女性のエンパワーメントに賛同したサイドイベントを107件実施しました。

 このほか日本は、国連女性機関(UN Women)を通じた支援も実施しており、2021年には約2,100万ドル、2022年には約1,400万ドルを拠出し、女性の政治的参画、経済的エンパワーメント、女性・女児に対する性的およびジェンダーに基づく暴力撤廃、平和・安全保障分野の女性の役割強化、政策・予算におけるジェンダー配慮強化などの取組を支援しています。また、2022年はアフリカ、アジアにおいて引き続きジェンダーの視点も取り入れた新型コロナの感染予防にも貢献しました。例えば、ソマリアでは、新型コロナ対策に関して、2,234人の女性を支援、南スーダンでは13,189人の国内避難民およびホストコミュニティの住民がワクチン接種の意義を含む新型コロナに関する正しい知識とともに、新型コロナの感染下において増加傾向にあるジェンダーに基づく暴力についての知識を向上させました。

 紛争下の性的暴力に関しては、日本としても看過できない問題であるという立場から、紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表事務所(OSRSG-SVC)との連携を重視しています注70。2022年、日本は同事務所に対し、約39.4万ドルを拠出し、新型コロナの感染が拡大するコンゴ民主共和国において、感染対策をしつつ、性的暴力の被害者を対象に法的支援を実施しています。

 また、日本は、紛争関連の性的暴力生存者のためのグローバル基金(GSF)解説に対し、2022年に200万ユーロを追加拠出し、これまでに計600万ユーロを拠出しました。理事会メンバーとして、コンゴ民主共和国イラクを始めとする紛争影響地域での紛争関連の性的暴力生存者支援に積極的に貢献しています。2022年7月、日本は、第50回人権理事会に際し、GSFおよび理事会メンバー(フランス、英国、韓国)、米国、ウクライナなどとウクライナにおける紛争関連の性的暴力生存者への補償に関するサイドイベントを共催しました。同年9月には、国連総会の際に、GSFおよび理事会メンバー、米国、カナダ、ウクライナなどと生存者支援に関するサイドイベントを共催しました。12月に開催したWAW!2022には、GSF創設者であるムクウェゲ医師が、オンラインで参加しました。

 2000年に採択された国連安保理決議第1325号(女性・平和・安全保障)、および関連決議の実施のため、日本は行動計画(2015年)を策定し、国際機関や二国間支援を通して紛争影響国や脆弱国の女性支援を実施しています。G7の枠組みではG7WPS注71パートナーシップ・イニシアティブ(2018年)の下、日本はスリランカをパートナー国として2019年から同国の女性・平和・安全保障に関する行動計画策定支援や、その事業として26年間の内戦で取り残された寡婦世帯を含めた女性の経済エンパワーメント支援を行っています。本パートナーシップによる生計支援により経済的に立ち直るきっかけになるとともに、地域の平和構築・回復にも貢献しているとスリランカ政府からも歓迎されています。