リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

彼女が「海の上で中絶手術」を施しつづけてきた理由……ん? WoWだったら薬だよね?

Courrier Japonで訳されているThe Guardianの記事の問題

courrier.jp


2021年12月15日付のこの翻訳記事のタイトル「彼女が「海の上で中絶手術」を施しつづけてきた理由─現地の女性を船に乗せ、国際水域へ」となっているけど、「中絶手術」を施すとしているのは誤解を招く表現だと思う。


原著のGardianの記事のタイトルは、”‘Women are capable of doing this’: the doctor defying local laws to provide safe abortions by sea or mail”であり、キャッチも"Dr Rebecca Gomperts made waves providing abortion in international waters around the world. Now she’s prepared to help American women"となっている。provide abortion=「中絶手術をする」というのは全くの誤解だ。


WoWは中絶薬を主に用いており、オンライン処方で女性自身に薬を服用してもらう方式を世界で初めて考案したのがレベッカの功績だ。もちろん失敗した時には吸引処置を提供することもあるだろうけど、「海の上で中絶手術」を施すと書いてしまうと、読者の大半はもっぱら「手術をしている」と誤解してしまいそうだ。1頁に3回も「手術」という言葉が出ていますが、すべて必然的ではない用い方であり、削除すべきだと思う。