リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

体外受精への保険適用の内容 ~今後の焦点は着床前検査と患者サポート~

第一生命経済研究所 重原 正明 2022.02.03

比較的わかりやすいまとめを見つけました。

体外受精への保険適用の内容 ~今後の焦点は着床前検査と患者サポート~

要旨のみ紹介しておきます。

要旨

 不妊治療については体外受精についても保険適用とする方針が政府から示されていたが、2022年1月26日の中医協総会で費用(保険点数)を除いた具体的な案が示された。
 原因不明の不妊に対する治療は、体外受精のほか、子宮内で行う人工授精やタイミング法も含め保険適用となる。また男性に対する治療も保険適用となる。
 ただし保険適用となる治療の内容は、学会のガイドラインで4段階のうち上位2 つ、A・Bクラスとして一定の効能があると認められた治療に限られる。その他の治療法の一部は、先進医療として実績を積み重ね保険適用を目指すこととなる。
従来の不妊治療に対する助成金にあった年齢と回数の制限は、その合理性が認められ、ほぼ従来のまま残される見込みである。
 受精胚の着床前検査は、体外受精後の妊娠率向上に必要な面もあるが、一方で医学的に必要のない選択をもたらす可能性も指摘されている。中医協では慎重な意見が多く出されており、今回は保険適用されず継続検討となる見込みである。
対象は戸籍上の夫婦のみならず事実婚の夫婦も含まれる。一方、第三者卵子又は精子を用いた生殖補助医療等については、国会で検討中であることを踏まえ、現時点においては保険適用外となる見込みである。
 体外受精を行える医療施設の要件も中医協の場で議論された。胚を取り扱える技術者の配置などが求められる。一方、治療のコーディネーターや患者へのカウンセラーを要件とするか意見が対立していたが、今回改定では要件とはせず、カウンセラー等を備えた施設について報酬面で優遇する扱いとなる見込みである。
 4月からは現在50万円程度の体外受精が保険適用となれば3割負担で済む。保険対象の不妊治療者には朗報であるが、肉体的・精神的負担の大きさは変わらず、引き続きの支援が必要である。また保険適用の年齢制限等は科学的根拠に拠るが、日本では不妊治療を行う人の年齢が高い傾向にあり、本人や家族等の知識不足も一因と考えられる。保険適用を機に、妊娠に関する知識が様々な人に広まることも望みたい。