リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

APA(アメリカ心理学会)がリプロダクティブ・ライツ支持について新決議を発表

American Psychological Association, February 2022

APA RESOLUTION Affirming and Building on APA’s History of Support for Reproductive Rights

1969年、APA理事会は、妊娠の終了を精神衛生と児童福祉の問題であり、APAの正当な関心事であるとし、その終了は妊婦の市民権とみなされるべきで、他の医療処置や外科的処置と同様に医師と相談して処理され、特に認可医療施設において認可医療専門家が行う場合は合法とみなされることを決議したことに鑑み、


1989年、APA理事会は、中絶を再犯罪化し、生殖に関するあらゆる選択肢へのアクセスを制限しようとする誤報と虚偽を非難し、選択の自由と女性の重要な人生の決断をコントロールすることが心理的健康を促進するという結論を支持する科学データの優位性を強調・確認し、生殖の自由に関する科学情報を政策立案者や一般市民、州の心理学会やAPA部門に普及させる活動を直ちに開始するよう決議したことに鑑み、


APAは、科学的・専門的な報告書や論文の作成と普及、ハイド修正条項などの法律に関する解説、さまざまな事例におけるアミカス・ブリーフ(アクロン対アクロン生殖医療センター、ハリス対マクレー、ボーエン対ケンドリック、ソーンバーグ対米国産科婦人科学会など)など、宣言や決議の後、具体的に社会活動を行った歴史をもつことに鑑み、


APAが発表した研究、報告書、公益擁護活動は、多様な集団やコミュニティにおける身体的・精神的健康の社会的決定要因の累積的逆境に関連する多くの健康格差を明らかにしてきた(APA, 2021; Forde et al, 2019; Major et al, 2009)。APAは、薬物、貧困、暴力への暴露などの否定的な社会問題が、そのような要因との関連が観察されたとしても、中絶や精神衛生上の問題を引き起こすものではないことを議論し続けてきた。精神衛生上のリスクを挙げている研究では、事前の精神衛生上の診断を考慮していないため、デザインの欠陥が指摘されていることに鑑み、


リプロダクティブ・ライツの現代的・歴史的侵害は、黒人、ラティーナ、先住民の女性に対する強制不妊手術など(Borreroら、2009;Ceballoら、2015;Vamosら、2011)を不当に標的にしている(Novakら、2018;Patel、2017;Torpy 2000)。
健康公平性の観点から開発された一連の証拠は、中絶制限の害が「経済的資源がない、若い年齢、障害、移民状況、あるいは黒人、先住民、その他の有色人種であるなどの理由で、基本的なヘルスケアへのアクセスがすでに困難な地域社会に最も厳しく降りかかる」ことを示しており、死のリスクを含む可能性がある(Arnold,2014;Fried,2013;Guttmacher Institute,2021 para 4;Praters他、2018)ことに鑑み、


中絶の権利を含むリプロダクティブ・ジャスティスは、社会的、構造的、文化的不平等と関連する人権問題である。リプロダクティブ・ジャスティスの枠組みには、自律、代理、家族計画、エンパワーメント、コントロールの範囲内で考慮する必要がある経済、健康、環境、社会正義の問題が含まれる(El Kotni & Singer, 2019; Fried, 2013; Gurr, 2011; Lopez, 2008; Luna, 2021 Price, 2021; Ross & Solinger, 2017)。縦断的な研究は、中絶を制限された人々が、短期的には心理的苦痛や不安の増大(Biggsら、2016;Harrisら、2014)、生命を脅かす分娩合併症、大きな慢性疼痛、経済不安(Chrisler、2012;Foster、2020;Russo、2014;Russo & Steinberg、2012)などに直面していることを示していることに鑑み、


正義と人々の権利と尊厳の尊重に関するAPA倫理原則(APA, 2017)と一致し、誰もが自己決定の権利を有するべきであり、これには自らの身体に対する自律性と主体性が含まれることに鑑み、

よって、APAは以下のことを決議する。

  • 中絶規制を非難し、特に社会的に疎外されたコミュニティの人々に重点を置いて、妊娠可能な個人のためのリプロダクティブ・ジャスティス(例えば、安価な避妊への平等なアクセス、包括的性教育、性的暴力からの自由、リプロダクティブ人権侵害を防ぐためのシステムの監視と説明責任など)を獲得することにコミットすることを再確認する。
  • 地方、州、連邦の政策立案者に対し、すべての女性のリプロダクティブ・ライツを保護し、抑圧的な政策に対処するための改革を実施するよう促す。50年前のRoe v. Wade判例を支持し続けている相当な心理科学と、胎児の生存可能時まで中絶を行うかどうかを選ぶ女性の権利を守るプライバシーに関する基本的かつ憲法上の権利という同判決を活用する行動を起こすよう促す。
  • 中絶に関連するアミカスブリーフ(意見書)を作成する機会を模索する。
  • 行動健康の公平性とリプロダクティブ・ジャスティスを推進し、行動健康の成果を形成する上で社会的決定要因が果たす役割の理解を深め、様々な集団におけるリプロダクティブ・イン-イクイティが行動健康に及ぼす悪影響を防止しようとする研究、教育、擁護、介入、予防、プログラム開発の取り組みを支援・指導すること。