リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

イギリスにおける遠隔医療による早期の薬による中絶:コスト計算の分析

BJOG

. 2022 May;129(6):969-975. doi: 10.1111/1471-0528.17033. Epub 2021 Dec 20.
Early medical abortion by telemedicine in the United Kingdom: a costing analysis
J E Hawkins 1, A Glasier 2, S Hall 3, L Regan 4 5, RCOG Telemedicine cost-effectiveness working group
Collaborators, Affiliations expand
PMID: 34839579 DOI: 10.1111/1471-0528.17033

概要を仮訳します。

目的
 英国で遠隔医療による自宅での早期薬による中絶(EMA)を定期的に導入することによって得られる潜在的な費用削減効果を明らかにすること。

設計:コスト計算研究。

設定:英国。

母集団
 2020年に独立系の中絶業者3社と国民保健サービス(NHS)の中絶クリニック2社が提供するEMAを受けている女性。

方法
 各中絶手術の費用と、失敗または不完全な中絶と輸血を必要とする出血の管理にかかる費用を計算する。

主な成果指標
 コスト削減。

結果
 独立した人工妊娠中絶の提供者によって行われた人工妊娠中絶1件あたりの全体の推定コスト削減額は15.80ポンドで、NHSにとって年間300万ポンド以上の節約となる。NHSのサービスからの限られたデータは、中絶あたり188.84ポンドの推定平均節約となった。


結論
 遠隔医療EMAが日常化された場合、外科的中絶よりもむしろ薬による中絶の対象となる女性の数が増加し、早期の中絶の結果生じる有害事象が減少すれば、大きなコスト削減がもたらされる可能性がある。