リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

ミフェプリストンの催奇性

ミフェプリストンの安全性と副作用に関する論文2本

概要を仮訳する。


[http://Mifepristone and misoprostol sequential regimen side effects, complications and safety

Contraception. 2006 Jul;74(1):48-55. doi: 10.1016/j.contraception.2006.03.016. Epub 2006年5月15日.
ミフェプリストンとミソプロストール逐次レジメンの副作用、合併症、安全性
Regine Sitruk-Ware
PMID: 16781261 DOI: 10.1016/j.contraception.2006.03.016
要旨
 プロゲステロンおよびグルココルチコイド受容体に強い親和性を示すミフェプリストンは、in vitroおよび動物実験において、これらのホルモンに対して競合的拮抗作用を示す。その抗プロゲステロン活性から、ミフェプリストンをヒトの早期妊娠の終了に用いることが提案された。ミフェプリストンは当初600mgの用量で単独で使用されたが、その後低用量のプロスタグランジンと併用されるようになり、早期妊娠終了(TOP)の医学的方法として95%の成功率を示し、妊娠継続の発生は1%未満に減少した。プロスタグランジンの使用は、妊娠第1期における外科的TOPの前の子宮頸管拡張、妊娠第1期を超える医学的理由による治療的TOP、子宮内で胎児が死亡した場合の陣痛誘発など、他の適応にも拡大された。この治療法の有効性と安全性は、フランスで最初に承認されて以来15年以上にわたり、承認された推奨事項を忠実に守って使用されてきたことに基づいて確認されている。この論文では、現在31カ国で承認されている主な適応症でミソプロストールと併用した場合の、動物で実施した毒性学的研究、安全性追跡調査および副作用について報告する。特に、まれではあるが関連する安全性の問題、すなわち子宮出血多量、骨盤内感染症、妊娠継続に重点が置かれている。また、警告の根拠や使用禁忌についても説明している。


Continuation of pregnancy after first-trimester exposure to mifepristone: an observational prospective study

BJOG. 2013 Apr;120(5):568-74. doi: 10.1111/1471-0528.12147. Epub 2013年1月24日.
初回ミフェプリストン曝露後の妊娠継続:観察的前向き研究
N Bernard 1, E Elefant, P Carlier, M Tebacher, C E Barjhoux, M A Bos-Thompson, E Amar, J Descotes, T Vial
pmid: 23346916 doi: 10.1111/1471-0528.12147


要旨
目的: 初回ミフェプリストン曝露後の妊娠継続の追跡調査について報告すること。

デザイン: 観察的前向き研究。

設定:フランス: フランス。

サンプル: 妊娠初期12週にミフェプリストンに曝露された患者。

方法: 妊娠初期のミフェプリストン曝露のリスクについて、本人または担当医がフランスのファーマコビジランスセンターまたはパリ催奇形性情報サービスに問い合わせた女性を研究に組み入れた。除外基準は、妊娠22週以降の依頼、または胎児の病理学的検査を伴わないその後の選択的妊娠中絶であった。初回接触時に母親の既往歴と薬物曝露に関するデータを収集し、追跡調査時に妊娠転帰を記録した。

主要アウトカム評価項目 :重大な先天奇形の発生率。

結果: 合計105件の妊娠が対象となり、46件がミフェプリストン単独に曝露され、59件がミフェプリストンとミソプロストールの両方に曝露された。生児出産は94例(90.4%)、流産は10例(9.6%)であった(うち1例は重大な奇形)。1例でトリソミー21と診断され、選択的妊娠中止が行われた。重大な先天奇形の全発生率は4.2%(95%CI 1.2-10.4%)であり、ミフェプリストン単独に曝露された38例中2例、ミフェプリストンとミソプロストールの両方に曝露された57例中2例であった。

結論: この初のプロスペクティブ研究により、ミフェプリストンへの初回曝露後の主要奇形発生率は、一般集団で予想される2~3%よりもわずかに高い程度であることが判明した。このような知見は、ミフェプリストン曝露後の妊娠継続のリスク評価において心強いデータを提供する。
© 2013 The Authors BJOG An International Journal of Obstetrics and Gynaecology © 2013 RCOG.