リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

日本の刑法堕胎罪 新旧比較

旧刑法では自己堕胎は1~6か月の重禁錮、現刑法の自己堕胎は1年以下の懲役

旧刑法堕胎罪の条文

第330条 懐胎ノ婦女薬物其他ノ方法ヲ以テ堕胎シタル者ハ一月以上六月以下ノ重禁錮ニ処ス 
第331条 薬物其他ノ方法ヲ以テ堕胎セシメタル者ハ亦前条ニ因テ婦女ヲ死ニ致シタル者ハ一年以上三年以下ノ重禁錮ニ処ス 第332条 医師穏婆又ハ薬商前条ノ罪ヲ犯シタル者ハ各一等ヲ加フ 
第333条 懐胎ノ婦女ヲ威迫シ又ハ誑騙シテ堕胎セシメタル者ハ一年以上四年以下ノ重禁錮ニ処ス 
第334条 懐胎ノ婦女ナルコトヲ知テ殴打其他暴行ヲ加ヘ因テ堕胎ニ至ラシメタル者ハ二年以上五年以下ノ重禁錮ニ処ス其堕胎セシムルノ意ニ出タル者ハ軽懲役ニ処ス 
第335条 前二条ノ罪ヲ犯シ因テ婦女ヲ癈篤疾又ハ死ニ致シタル者ハ殴打創傷ノ各本条ニ照シ重キニ従テ処断ス

杏林社会科学研究 第 36 巻 4 号 2 0 2 1 年 3 月「各種堕胎罪と罪数」大山徹((なおこの論文は、岡山の済生会総合病院の医師が行った不同意堕胎致傷罪について罪数が加算されない問題を取り上げたそれ自体が希少なものだと言えよう。ただし、「ボアソナードが策定に尽力した旧刑法では」として上記330~335条を引用しているが、引用元は示していない。))

行刑法の条文 e-Gov法令検索

第二十九章 堕胎の罪
(堕胎)
第二百十二条 妊娠中の女子が薬物を用い、又はその他の方法により、堕胎したときは、一年以下の懲役に処する。
(同意堕胎及び同致死傷)
第二百十三条 女子の嘱託を受け、又はその承諾を得て堕胎させた者は、二年以下の懲役に処する。よって女子を死傷させた者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
(業務上堕胎及び同致死傷)
第二百十四条 医師、助産師、薬剤師又は医薬品販売業者が女子の嘱託を受け、又はその承諾を得て堕胎させたときは、三月以上五年以下の懲役に処する。よって女子を死傷させたときは、六月以上七年以下の懲役に処する。
(不同意堕胎)
第二百十五条 女子の嘱託を受けないで、又はその承諾を得ないで堕胎させた者は、六月以上七年以下の懲役に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
(不同意堕胎致死傷)
第二百十六条 前条の罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。