リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

指導・監査の適正手続きに向け「対応認定弁護士」29人認定医師・弁護士らの任意団体、保険医の自殺防ぎ人権擁護を目指す

レポート 2022年10月17日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

指導・監査の適正手続きに向け「対応認定弁護士」29人認定 | m3.com


 第10回健康保険法改正研究会シンポジウムが10月16日、大阪市で行われ、保険医指導・監査対策協会事務局長で、弁護士の竹内俊一氏は、「保険医指導・監査対応認定弁護士」をこれまで29人認定したと報告した。

 同協会が行う「対応認定弁護士」の認定は、保険医が適正な手続きで指導・監査を受けられる権利を保障するため、指導・監査の制度に精通し、経験を積んだ弁護士を養成するのが狙い。指導・監査では、過去には保険医の自殺例もあり、保険医の人権擁護を目指す。

 竹内氏は、「指導・監査の経験知を持ち、対応できる弁護士を養成していきたい」と語り、研修・セミナーも開催、経験が少ない弁護士に対しては、経験豊富な弁護士が共同受任するなど、全体のレベルアップを図っていく方針。竹内氏は「保険医が指導等を機に自殺すれば、スタッフ、患者、患者家族にも影響してくる。地方厚生局をたたくのではなく、あくまでも適正な手続きの観点から、(地方厚生局と保険医が)双方が納得できるところを探していくのが狙い」と語り、全国どこでも相談があれば対応していくとし、必要に応じた活用を医師らに呼びかけた。

 健康保険法改正研究会は、医師や弁護士の有志で組織し、指導・監査・処分改善を目指し、活動している。保険医指導・監査対策協会は、同研究会のメンバーを中心に2021年12月に発足、会長は井上清成弁護士(井上法律事務所所長)が務める。現在は任意団体だが、法人化を目指す。5月に東京、7月に鹿児島での試行的な選考会で計14人を認定、10月15日の第1回選考会で、1日かけて講義と集団面接を行い、計15人を認定した。



竹内俊一弁護士

 日本弁護士連合会は、2014年9月に「健康保険法等に基づく指導・監査制度の改善に関する意見書」を公表。その後、行政問題対応センターを設立、行政弁護部会も設置した。保険医指導・監査対策協会の「対応認定弁護士」認定は、日弁連のこうした動きに先行した取り組みと言える。

 16日のシンポジウムで、弁護士の上原武彦氏は、「行政弁護部会では、指導・監査、税務調査、生活保護申請の3分野に関与している。行く行くは行政弁護センターを作りたいと考えている。行政手続きの処分に至る前の段階で、苦しんでいる人を助ける活動に取り組んでいきたい」と、民事弁護、刑事弁護に続き、行政弁護の確立を目指す日弁連の動きを説明。指導・監査の場合、弁護士ができるのはあくまで「帯同」にとどまり、地方厚生局側からの質問に、保険医に代わって回答することなどはできない。