リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

国会議事録に見る「胎児の人権」

文脈から見てみよう

1972年 民社党の女性議員が「つわり休暇」の必要性を訴える際に、「母性保護」と「胎児の人権」を守るために必要と主張。

第68回国会 参議院 決算委員会 第10号 昭和47年5月12日
157 萩原幽香
○萩原幽香子君 私は、前の原労働大臣の時代に、流産の一番多いのはいつでございますかということをお尋ねいたしました。そしたら、原労働大臣は、私は子供を産んだことがございませんからその点はわかりませんと、こうおっしゃいました。そこで、私がお医者さんに聞いたところ、あるいはまた私の経験から申しましても、流産が一番多いのは二カ月の後半から三カ月の前半でございます。したがいまして、胎児と母体を守るためにも、どうしてもつわり休暇というものを労基法の中に入れるべきだという主張をいたしました。そのときに労働大臣は、それでは今度の労基法を改正する際には何とか考えましょうというお約束をしてくださったわけでございますけれども、いまあっちゃこっちゃさわっておりますからどこだということははっきり言えないということでございましたが、この問題はどういうふうになっておりますでしょうか、ちょっとお伺いしたいと思います。


158 渡邊健二
○政府委員(渡邊健二君) 先ほども申し上げましたように、現在引き続き検討いたしております基準法研究会の研究問題の中には、女子の年少者の個々の問題も入っております。これらいろいろな問題につきましては、各方面から現在まで非常にたくさんの御意見、御要望等が出されておりますので、同研究会で検討するにあたりましては、それらの御意見をすべて問題研究の一つの問題点の対象といたしまして、検討事項の中に入れておりますので、先生がいま申されましたようなつわり休暇のような問題もいままで出ております。御意見としてわれわれ承知いたしておりますので、当然検討の中では対象になっていく問題であるだろうと思います。


159 萩原幽香
○萩原幽香子君 これは非常に母性保護の立場から申しまして大切なことでございますし、私は胎児の人権だとも考えるわけでございますね。そういう点はぜひひとつおくみ取りをいただきたいと思います。


次は1980年 超音波診断装置について

第91回国会 衆議院 法務委員会 第24号 昭和55年5月14日
141 長谷雄幸久
○長谷雄委員 いまの御答弁の中で、確かにこの機器がもともと疾病の診断に開発されたものだということ、これは理解できます。母体と胎児の安全のために開発されたものでございます。
 話を伺いますと、担当のお医者さんは、この機械によって診断した結果、男性か女性かという胎児の判別は一応できる。ところがお医者さんとして言わないことになっている、教えないことになっているのだ、ところが、やはり求められれば人情として教えるということのようですね。この教えることがいいか悪いかは別問題として、教えられれば両親としてはまたそれなりの一つの気持ちの変化もあるのではないかということ、そこが将来大きな社会問題に発展する可能性があると私は思っているのです。
 つまり、両親としては、今度生まれてくる新生児がたとえば男児を希望しておった。ところが診断の結果女児であった。これは要らないからという形で合法的に堕胎、先ほど私が言いました優生保護法の適用もありますので、堕胎罪の適用が余りないようですけれども、そういうことで将来いわば合法的に堕胎が行われてくるのではないか。こういうことは非常に問題、特に胎児の人権問題から見て非常に大きな問題、まして、胎児だけでなくて母体の人権にもかかわる重要な問題だと思うのですね。この点についてはどういうお考えを持っておりましょうか。


横山利秋議員/日本社会党・護憲共同
1983年の優生保護法改定問題のさなかに、「お母さんの人権か胎児の人権か」と二項対立的に捉えてみせます。

第98回国会 衆議院 法務委員会 第2号 昭和58年2月23日
187 横山利秋
○横山委員 忙しいからできない、そんなことは理屈になりませんよ。必要性があるならば、私どもだって、そんなもの国会議員だって寝もせずに仕事をするときがあるのですから、役所が忙しいからといってむずかしい、そんなことを言っておってはいかぬ。もっと督励してやらせなさいよ。
 大臣にちょっと伺いたいのですけれども、これは厚生省の問題ではございますけれども、刑法との関係がありますので、優生保護法について伺いたいと思います。
 厚生省が優生保護法改正の準備を進めています。それで、これは婦人団体挙げて反対です。自民党でも、生長の家のバックで玉置参議院議員が一生懸命になっている。しかし、そうかと思うと大鷹さんや女性議員は挙げて反対、こういうことになっておるわけであります。要するに、問題は現在の優生保護法の経済的理由を削除するというところにあるのであります。妊娠中絶は是か非かという論争は、要するに母体、お母さんが大事か、胎児が大事かということの、お母さんの人権か胎児の人権かということにもなりましょう。それから経済的理由を削除する、銭がないからおろしてくれということをいいといったものをいかぬということは、影響するところは、銭があるないということの層に大影響を与えることは言うまでもありません。金持ちはいかぬぞ、貧乏人はいいということばかりでもございますまいが、法律の経済的理由を削除することによって与える一般のお母さんへの影響は実に甚大だと思うのです。
 これは哲学的な問題もございますし、宗教的な問題もございましょう。しかし、婦人団体は総じて挙げて反対ですね。お母さんの立場としては、それは私が決めることだ、何で法律でそんなことを決めなければならぬか、こう言っておるわけです。現在刑法に堕胎罪があるわけですね。優生保護法はその特例とでも申しましょうか、そういうふうに決まっておるということについて、厚生省であるんだが、厚生省の作業は協議があなたのところにありましたか、また、あったとしたらどういう返事をなさっていらっしゃるのでしょうか。
188 秦野章
○秦野国務大臣 ただいまの問題、優生問題は、問題点はいま先生がおっしゃったことで全部尽きていると思いますので、改めて申し上げませんが、正直言って厚生省も弱っている。自民党も二つに割れているような感じでございますから、そういう中で、まだ厚生省が私どもに相談をしてこういうことでいきたいとかなんとかという段階にまで来ておらぬような、そういう感じでございます。おっしゃるように、確かに哲学まで含んだ大問題でございますから、まだちょっと時間がかかるのではなかろうか、こんな感じでございますが、私としては、私個人としてもこれはなかなかむずかしい問題だ……(横山委員「あなたは判断していないの」と呼ぶ)私もちょっと判断がなかなかし切れない。生命の尊重というふうなことになると、なるほどそうだなと思うけれども、それだけでも片がつかぬなという面もないではない。私はそういうことで、私自身がちょっと結論も出しにくいし、まだ相談も受けていないという段階であることを御了承願いたいと思います。
189 横山利秋
○横山委員 あなたに聞いているのだが、あなたは返事をしないが、実は私は経験があるのですよ、いろいろな家庭的な事情で。どんなに夫が言ったところで、お母さんが判断するということはどこの家庭でも普通だと思うのです。おまえおろせと言ったところで、お母さんが嫌だと言えばどうしようもないですからね。やはりそれが通例だと思うのです。お母さんが判断するときに、銭がないからとかということばかりではなくて、いろんな事情で判断をするわけですから。これはうっかりすると選挙の大論争になるもので、婦人問題と言えば、いまこの優生保護法です。どこへ行っても、しかるべき女性団体の中では優生保護法ばかりが話題の中心になっています。そして反対派が言っていることですが、玉置さんのところは宗教団体からいっぱい金をもらっていっぱい自民党にばらまいて、全国の各県で優生保護法改正決議とかなんとかやらせて、自民党はいろいろやっておりますよと宣伝をしておるというわけです。
 そういうことで、優生保護法の経済的理由削除ということが政治問題化してしまっている。これは私は余り好ましいことではないと思うのです。国会議員は男が多いですから、男ばかりがそれをいいか悪いかと言って議論したって仕方がないと思うのです。これはほかっておいて本当に社会に害毒というものが実在するか。道義的な問題だとか宗教的な問題は残らぬとは言いません。私も京都でずらっと数百の水子地蔵を見てきて感慨無量の点がありましたけれども、だからと言って法律でこれをとやこうするということは私は適当ではないと思います。
 法務大臣は、問題の所在はきわめて明白でございますから、優生保護法の改正に反対か賛成か一言言ってください。
190 秦野章
○秦野国務大臣 一言で言えとおっしゃられても、いま申し上げたようにむずかしい問題になって、法律で禁止したらすべてやまるかというたら、もぐりが出てくるということもあるし、最近、私もテレビ討論なんかで女性同士の対決した場面も拝見しまして、どっちもなかなかの理屈があるということで、厚生省の裁断、ある程度の結論を私どもとしては見ていくのが政府の中における私の立場だ、こう考えております。
191 横山利秋
○横山委員 こういうところであなたの株を上げることを考えてやったのに、どっちともよう言わぬのですか、情けないな。せめてあなたが反対だと言えば、法務大臣大分見直されると思うのだけれどもね。
 刑事局長、まだ何の相談も受けておりませんか。
192 前田宏
○前田(宏)政府委員 先ほど大臣も申されましたように、厚生省においていろいろと検討はされておるようでございますが、私の方に具体的な意見といいますか、相談は受けていないわけでございます。
193 横山利秋
○横山委員 相談があったら意見を言うつもりですか。
194 前田宏
○前田(宏)政府委員 これも先のことでございますから、どういうふうに厚生省の方から御相談があるかによりまして、私どもの立場で言うべきことがあれば申し上げることになろうと思います。


次はあまりに長いのではしょりますが、要は女性の意見をろくに聞きもせず、短時間の審議でさっさと中絶可能期間を24週から22週に省庁の内部で決めたのかということを堂本暁子議員が細やかに質問したのに対し、「子どもの権利条約」を唐突に持ち出してきた政府側に、「私は胎児の人権、女性の人権という形で今議論は全然しておりません。そういうものが対立する関係だというふうにも考えは持っておりません。」「今私は胎児の人権を云々しようとは思っておりません。むしろそうではなくて、行政上の手続としておかしいと思うんです。私どもはむしろ健康という問題を考えてほしい、日本の女性の置かれている状況、そして意見を聞いてくださいということをお願いしたのでありまして」と訴えている。
第118回国会 参議院 予算委員会 第14号 平成2年5月28日



次は山谷えり子氏です。「胎児の人権」と「女性の中絶権」を対立させています。

第162回国会 参議院 外交防衛委員会 第4号 平成17年3月29日
103 山谷えり子
山谷えり子君 三月四日の、参議院予算委員会福島みずほ議員が、その北京プラス10の場で政治宣言が採択されました、リプロダクティブライツアンドヘルスなどを規定した北京行動綱領を再確認しましたというふうに言い切っているんですけれども、またリプロダクティブヘルス/ライツって訳の分からない言葉なんですが、これは女性の性と生殖の権利というふうに訳されております。しかしながら、この権利に胎児の人権を認めない、女性の中絶権のみを認めていくという形なものですから、実は国際的な合意が得られておりません。
 実は、私はこの件に関して平成十四年七月二十二日の衆議院決算行政監視委員会で、リプロダクティブライツというのは世界的に合意されていない概念だと、日本政府はどう考えているのかと言ったことがございます。坂東政府参考人は、男女共同参画基本法が制定される前の男女共同参画審議会の答申におきましても、リプロダクティブヘルスについては、生涯を通じた女性の健康ということで、大事だという合意はされているけれども、ライツについてはいろいろな意見があるというふうな記述になっております、国際的な場でもリプロダクティブライツについてはいろいろ議論が行われていることは、今、私が、山谷が御指摘の、今指摘のとおりでございますと答弁なさいました。
 これが北京会議の七年後なんですね。ですから、北京会議でリプロダクティブヘルス/ライツが世界的に合意されたというのは間違いであり、そして日本ではライツは認めてないと坂東政府参考人が言っているんですが、この辺はいかがでしょうか。
104 名取はにわ
○政府参考人(名取はにわ君) お答えいたします。
 リプロダクティブヘルス・ライツは、一九九四年の国際人口・開発会議におきまして、我が国を含めて採択されました行動計画において提唱された概念でありまして、その中心課題は、いつ、何人子供を産むか産まないかを選ぶ自由、安全で満足のいく性生活、安全な妊娠、出産、子供が健康に生まれ育つことなどが含まれております。一九九五年の第四回世界女性会議におきまして、我が国を含みます百八十九か国により採択された北京行動綱領におきましてもこの概念が明記されたところでございまして、本年開催されました北京プラス10におきましても同綱領が再確認されたところでございます。
 なお、坂東前局長のことにつきましてですが、これにつきましては、(発言する者あり)はい、失礼いたしました。これにつきましては、リプロダクティブヘルス・ライツ、特に妊娠中絶についていろいろな議論があるということを述べたものでございまして、一九九四年の国際人口・開発会議以降の国際会議でリプロダクティブライツを含む成果文書を我が国も加わって採択してきたという事実を否定するものではございません。
105 山谷えり子
山谷えり子君 北京会議では、カイロ会議もそうでしたけれども、リベラルな方たちと、カトリック圏、イスラム圏がそれぞれいろんなことを主張して、玉虫色の最後は文章になっているんですね。ですから、日本の場合は堕胎罪があるわけでございます、そしてまた母体保護法で女性の様々な悩みもそれなりに理解するというような法体系になっているわけですから、日本においていわゆるリプロダクティブライツが認められているというような言い方は誤解を招くんじゃないでしょうか。
106 名取はにわ
○政府参考人(名取はにわ君) 議員御指摘のとおり、妊娠中絶に関しましては、国際人口・開発会議の行動計画及び北京行動綱領において、妊娠中絶にかかわる施策の決定又はその変更は、国の法的手続に従い、国又は地方レベルでのみ行うことができることが明記されているところでございまして、我が国では人工妊娠中絶については刑法及び母体保護法において規定されていることでございますので、それらに反して胎児を中絶する自由を認めるものではございません。
107 山谷えり子
山谷えり子君 ジェンダーとかリプロダクティブヘルス/ライツとか、概念が分かれているものを更に英語にして日本人に分かりにくくして行政の政策を進めることはやめていただきたいと思います。国民のコンセンサスが得られていない部分だというふうに思いますので、今後どのように行政をお進めなさるつもりですか。
108 名取はにわ
○政府参考人(名取はにわ君) 議員がおっしゃいましたのは、多分次期の基本計画につきまして、ジェンダーとかリプロダクティブヘルス・ライツという用語を用いることについてのお尋ねだと思いますが、現在この基本計画につきましては中間整理に向けまして専門調査会において御議論をいただいているところでございます。
109 山谷えり子
山谷えり子君 私は、言葉とともにそのような概念も使うべきではないと思っておりますが、中間報告は、細田官房長官が、さきの予算委員会細田男女共同参画担当大臣が、中間報告をし、国民のヒアリングをするというふうに明言なさいましたけれども、いつごろ中間報告していただけるんでしょうか。
110 名取はにわ
○政府参考人(名取はにわ君) 今鋭意取りまとめておりますところでございますので、できましたら連休明けぐらいになろうかなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。