リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中絶に関する画期的な判決は、インドの女性にとって何を意味するのか

World Economic Forum, WOMEN'S HEALTH, Oct 25, 2022

www.weforum.org

ポイント:
1.インドの最高裁判所は、配偶者の有無にかかわらず、すべての女性が妊娠24週目までの中絶を利用する権利を有するとの判決を下した。
2.この判決により、必要不可欠な医療へのアクセスが拡大し、危険な中絶とそれに伴う死亡の減少につながることが期待される。
3.インドの最高裁による中絶に関する画期的な判決は、経済的平等への道を開き、女性の健康上の不公平を軽減する可能性がある。

今回の変化のポイントはこれまで20週までしか中絶が認められていなかった未婚者に対して、既婚者同様に24週まで認めることにしたということです。しかし、その理由付けがすばらしい。途中飛ばしますが、エッセンシャル医療であるからとか、女性が男性と同等に働くためにとか、女性に対する偏見をなくすために等々、日本にも通じる話が散見されます。一つ違うとしたら、日本では「違法の中絶で亡くなる」女性が少ないということ。だけど、日本の場合、生き死にのかかった問題になっていないからこそ、放置されているという側面もあるのだろう。


記事の最後はいかにも世界経済フォーラムらしい結び方でした。仮訳します。

 女性の家族計画の権利を改めて認める判決は、インドに存在する男女間の深い労働市場の不平等の根本原因にも対処するものです。

 また、ブルームバーグの調査では、インドにおける男女間の58%ポイントの雇用格差を解消することで、2050年までにインドのGDPが6兆ドル拡大するとしており、この判決は、女性の経済的解放とその後の経済成長に向けた非常に重要な一歩となります。