忘備録
疲れて形式をそろえるのは諦めた。とりあえず貼り付けておこうっと
第208回国会 参議院 厚生労働委員会 第14号 令和4年5月17日
044 橋本泰宏 厚生労働省子ども家庭局長
人工妊娠中絶につきましては、今委員おっしゃったような女性の自己決定というふうな観点からの御意見、また胎児の生命尊重といった観点からの御意見など、様々な御意見が国民の間でも存在しており、また、個々人の倫理観や道徳観、家族観、そういった、様々そういった問題に関わる深い難しい問題であるというふうに認識いたしております。
厚生労働省としては、母体保護法の規定の在り方については、このような国民各層における議論が深まることが重要と考えておりまして、引き続き、所管省庁として、関係省庁や関係団体等と連携して母体保護法の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
045 福島みずほ
リプロダクティブヘルス・アンド・ライツは、まさに国連のカイロ行動宣言、北京宣言、北京行動綱領、ニューヨーク特別会議でも合意が得られて日本も合意していますし、第五次男女共同参画計画においても特に重要と記載をされております。胎児の生命尊重といいますが、論点が全く違います。厚生労働省は、女性のリプロダクティブヘルス・アンド・ライツを認めないんですか。
配偶者の同意要件というのは、女性が、配偶者が反対、同意してくれなければ中絶そのものができない、出産を強要されるという問題です。二人で話をするという話でもないんです。中絶をするのに本人で判断できないんですよ。これはまさしく女性のリプロダクティブヘルス・アンド・ライツ、侵害していると思います。
これ、胎児の生命尊重と違う話です。また、胎児の生命尊重というのは女性のリプロダクティブヘルス・アンド・ライツと対立すると思いますが、いかがですか。しっかり女性のリプロダクティブヘルス・アンド・ライツに立つという形で母体保護法を見直すべきじゃないですか。第208回国会 参議院 法務委員会 第3号 令和4年3月16日
146 川又竹男 厚生労働省大臣官房審議官
母体保護法の基になります旧優生保護法でございますが、昭和二十三年に議員立法で制定されたということでございますが、その際に、この人工妊娠中絶における配偶者の同意要件というのが立法当時から設けられております。
その当時のちょっと記録が必ずしも明確ではない面はございますけれども、この人工妊娠中絶における配偶者の同意という要件についてどう考えるかという点につきましては、胎児の生命尊重という観点がある一方、また、女性の自己決定権等に関する様々な議論が国民の間でもございます。また、個人の倫理観、道徳観とも深く関係する、そうした難しい面がある問題であるというふうに考えております。
147 山添拓
いや、記録が明確でないとおっしゃるんですけれども、女性が自らの意思で堕胎をすることは刑罰の対象となり、女性だけでは駄目で、男性が同意をすると違法性がなくなり処罰されない、これはおかしいのではありませんか。大臣と厚労省にそれぞれ伺います。
148 川又竹男
繰り返しになりますが、立法当時から、議員立法での規定がございました。また、胎児の生命尊重、あるいは女性の自己決定権、様々な議論が今現在でも国民の間でもございます。倫理観、道徳観とも深く関係している、そうした問題として受け止めております。
これをどう今後していくのか、あるいは考えていくのかということにつきましては、国民各層における議論というものを踏まえる必要があるというふうに考えております。
149 古川禎久 法務大臣
母体保護法は、母性の生命健康を保護するということを目的として、一定の要件の下で医師による人工妊娠中絶を認めているということを承知いたしております。
そのようなこの母体保護法の運用の中でそういう事態が生じるということにせよ、あくまでも母体保護法の目的は母性の生命健康を保護するということを目的としたものでございます。
150 山添拓
ちょっとおっしゃっていることが私の問題意識と必ずしもかみ合っていないように思うのですが、繰り返しますけれども、女性が一人で中絶すると刑罰の対象になる、男性が同意すれば合法というのは、これは憲法の下で説明が付かないと思います。
望まない妊娠は女性の人生設計を大きく左右するにもかかわらず、最終的な決定権は男性にあると、男性に選択権があると、決定権を与えていると。これは不合理だと思います。
改めて厚労省に伺いますが、この母体保護法の配偶者同意要件はなくすべきではありませんか。
151 川又竹男
繰り返しになって恐縮ですが、この問題、様々な意見ございます。女性の自己決定権をどう考えるのか、あるいは、一方は、胎児の生命尊重、そうした中で、個々人の倫理観、道徳観、深く関係する問題であると考えておりまして、国民各層においてこれをどう考えるかと、議論が深まっていくことがまず重要であるというふうに考えております。
152 山添拓
確認いたしますけれども、この配偶者同意要件ですが、配偶者同意要件と法文上も配偶者の同意となっているように、未婚の交際相手にすぎない場合には同意は不要ですね。
153 川又竹男
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○政府参考人(川又竹男君) 配偶者となっておりますので未婚のときは含まれておりません。未婚の場合は含まないと。
154 山添拓
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○山添拓君 ですから、冒頭にお示しした元看護学生のケースは、本来中絶手術に相手の同意は不要だったわけです。しかし、今も多くのクリニックは、未婚のパートナーについても同意が必要と示していると伺います。これは、もし同意なく中絶手術を行った場合には、業務上堕胎罪に問われかねないということがあるわけですね。
今、厚労省から、未婚の場合には含まれないと答弁がありました。そのように周知するべきではありませんか。
155 川又竹男
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○政府参考人(川又竹男君) 先ほども申し上げました指導者の講習会、関係者の講習会等では、この件についてもプログラムの中でお示しをしているところでございます。
156 山添拓
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○山添拓君 それは十分ではないためにこのような事態が起こっています。
DVの場合にも配偶者の同意は不要だとされるとされています。しかし、暴行や脅迫があったかどうか、それは誰が認定するのでしょうか。
157 矢倉克夫
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○委員長(矢倉克夫君) どなたへの質問でしょうか。
158 山添拓
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○山添拓君 厚労省です。
159 川又竹男
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○政府参考人(川又竹男君) 医療機関は捜査機関ではございませんので、つぶさに状況を証拠をもって調べることはできませんけれども、本人、患者さんからの聞き取り等において、医師、手術を行う医師の方で判断をさせていただいているところでございます。
160 山添拓
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○山添拓君 女性が申告をすればそれを医師の聞き取りの上に確認していくということであろうと思います。
国連女性差別撤廃委員会は、刑法や母体保護法の改正を求めて勧告しています。ところが、日本政府は、昨年九月に提出した第九回の報告書で、刑法や母体保護法の改正に向けた検討状況について何らコメントしていません。法務省と厚労省にそれぞれ理由を伺います。
161 川原隆司
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○政府参考人(川原隆司君) お答えを申し上げます。
先ほど大臣からも御答弁がございましたように、母体保護法は、母性の生命健康を保護することを目的として、一定の要件の下で医師による人工妊娠中絶を認めていると承知しておりまして、その場合には堕胎罪として処罰されないこととなるものでございます。他方、母体保護法で認められていない堕胎を含めて自己堕胎罪を廃止して、一律に処罰しないとすることについては慎重な検討を要すると考えているところでございます。
その上で、今御指摘の女子差別撤廃条約実施状況第九回報告に当たりまして、女子差別撤廃委員会から我が国に送付されました事前の質問票においては、人工妊娠中絶を処罰の対象から外すとして刑法及び母体保護法を改正することなどを求めた前回の委員会の勧告に沿って、これらの規定を改正するために締約国が講じようとしている措置についての情報提供が求められました。
そこで、医師による人工妊娠中絶について定める母体保護法の要件を満たす場合には堕胎罪が成立しないことを説明するのが適当と考えたものでございます。事前質問票への回答を踏まえまして、今後、女子差別撤廃委員会による更なる審査が行われるものと承知しておりますが、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。
162 川又竹男
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○政府参考人(川又竹男君) 女子差別撤廃条約実施状況第九回報告におきまして、母体保護法において、人工妊娠中絶には原則として配偶者の同意を必要としておりますけれども、配偶者が知れないとき、あるいは意思を表示することができないとき、妊娠後に配偶者が亡くなったときは本人の同意だけで人工妊娠中絶が可能であるという旨を回答しております。
なお、この場合において、配偶者が知れないときというときには、事実上所在不明の場合も含まれると、また、意思を表示することができないときには事実上その意思を表示することができない場合も含まれること、また、強制性交加害者の同意を求める趣旨ではないこと、妊婦が配偶者暴力被害を受けているなど、婚姻関係が実質破綻しており、人工妊娠中絶について配偶者の同意を得ることが困難な場合は、本人の同意だけで足りる場合に該当するということなどにつきまして、解釈を明確化して、関係機関に周知を図っているところでございます。
この要件自体をどうするかと、除外すべきではないかという点につきましては、繰り返しになりますが、胎児の生命尊重や女性の自己決定権等に関する様々な御意見が国民の中で存在している中で、個々人の倫理観、道徳観とも深く関係する課題でありまして、そうした課題が多いものというふうに考えております。
第204回国会 参議院 厚生労働委員会 第24号 令和3年6月10日
026 渡辺由美子 厚生労働省子ども家庭局長
御指摘の人工妊娠中絶につきましては、委員のように、女性の自己決定権、リプロダクティブヘルス・ライツということを重視するお立場があることも承知しておりますが、一方で、胎児の生命尊重というお立場もあり、また個々人の倫理観、道徳観とも深く関係する非常に難しい問題であると認識しております。
このため、人工妊娠中絶への公的助成ということについては、まずはこの人工妊娠中絶そのものの在り方に対しての国民のコンセンサスということが深まることが重要であると考えておりまして、現時点で公的助成に踏み込むという段階までのコンセンサスは得られていないと思っております。
ただ、御指摘のような望まない妊娠をした若年妊婦に対しての支援ということは、養子縁組とかあるいは里子へのつなぎということも含めて、これはしっかりとやっていきたいというふうに考えております。
027 福島みずほ
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○福島みずほ君 局長の答弁で非常に危惧を感ずるんですね。
中絶を制限することと中絶を減らしていくことは、意味も方法も違います。リプロは、カイロ行動計画、北京行動綱領、国連ニューヨーク特別会議でも合意を得ておりますし、日本も約束をしています。第五次男女共同参画計画でもリプロダクティブヘルス・アンド・ライツの視点は殊に重要であると明記されています。
やはりここは支援を、生理の貧困も問題だけれども、中絶費用がなくて中絶できないという、日本の女性の中に、若年者もそうですが、貧困の問題がまさに起きていることを是非考えていただきたい。新生児遺棄をなくしたいんですよね。日本の女性が何でこんな状況なのかと思いますので、是非よろしくお願いします。
配偶者の同意要件、それから法律婚、事実婚以外で未婚の場合でも配偶者の同意を実際取っていることをなくすために是非通達を出してほしいと申し上げ、質問を終わります。第204回国会 参議院 厚生労働委員会 第22号 令和3年6月3日
115 渡辺由美子 厚生労働省子ども家庭局長
この配偶者の同意につきましてはこの委員会でも度々委員から御指摘ございますが、この同意そのものを変えるかどうかということについては何度も御答弁しておりますように、女性の自己決定権というお立場の意見もある一方で、胎児の生命尊重という御意見もありますので、これ自体を変えるということについては、まだまだ国民的なコンセンサスがあるという状況ではないと考えております。
一方で、配偶者の定義ということにつきましては、これまでも、例えばレイプの場合ですとかDVの場合ということについては解釈の明確化ということをしてまいりましたので、ちょっと御指摘のような事例が具体的にどうなのかという辺り少し現場にも聞きながら、どのようなことが考えられるかということを検討していきたいと思います。
116 福島みずほ
条文は配偶者の同意とあるけれども、現場では、未婚だろうが相手の同意を取らせるというか、中絶やりませんということがあって、本当に困っているという例を実は聞いております。産婦人科の人に聞いても、えっ、未婚の場合は要らなかったんでしたっけという声も実は聞くんですよね。
ですから、どうかこれ是非、定型の書式をリニューアルするか、未婚の場合には配偶者の同意禁止ぐらい、要らないというようなメッセージを是非厚生労働省から発していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
第204回国会 参議院 内閣委員会 第23号 令和3年6月1日
150 三原じゅん子 厚生労働副大臣 人工妊娠中絶に関しましては、母性の生命健康の保護が極めて重要であることは認識しております。
その上で、人工妊娠中絶の公的補助に関しては、胎児の生命尊重や女性の自己決定権等について様々な御意見が国民の間で存在し、さらに、個々人のこの倫理観や道徳観というものも深く関係する大変難しい問題であるのではないかなと認識しております。
そのため、人工妊娠中絶への公的補助、助成につきましても、まずは人工妊娠中絶の在り方に関する国民各層における議論というものが深まることが重要だというふうに考えております。第204回国会 参議院 厚生労働委員会 第17号 令和3年5月20日
210 渡辺由美子 御指摘の母体保護法の規定、特に配偶者の同意要件を含むこの要件の在り方につきましては、胎児の生命尊重という考え方や、あるいはおっしゃった女性の自己決定権、いわゆるリプロダクティブヘルスといった様々な観点からの御意見が国民の間で存在しておるとも思いますし、また個々人の倫理観、道徳観、あるいは家族観とも深く関係する非常に難しい問題ですので、ある意味国民のコンセンサスということも必要であると思いますので、慎重な対応が必要と考えております。
ただ、御指摘のありましたようなケース、いわゆる予期せぬ妊娠に悩む若年妊婦の方々に対しましては、いろいろNPO等、こういった方々への支援に積極的なNPO等によるアウトリーチ、あるいはSNSによる相談支援事業等を実施しておりまして、例えば里親と、里子に出すとか特別養子等、そういった選択肢もありますので、そういった意味で、予期せぬ妊娠に悩む方々への支援というものをしっかりと進めていきたいと思っております。第204回国会 参議院 厚生労働委員会 第15号 令和3年5月13日
098 福島みずほ 是非、この国際産婦人科連合が提起しているように、日本の女性が安心、安全でアクセス可能で安価なその中絶薬すら手にすることができないという状況を本当に変えていきたいというふうに思っております。
母体保護法の中で、中絶をするのに配偶者の要件が必要です。このことについていろんな人と議論をしました。
つまり、二人で話し合って決めるということでもないんですよ。夫が反対したら中絶ができない。夫が反対したら出産を強要されるんですよ。妻はゼロ、夫が一〇〇ですよ、同意権持っているんだから。これだと女性は、自分は出産したくない、自分の人生にとって物すごい大変革になると思ったとしても、夫の同意がなければ中絶できないんですよ。
これって、中絶拒絶権、そして出産強要権を夫が持つということじゃないですか。これって、リプロダクティブライツ・アンド・ヘルス、全く女性にないと思いますが、いかがですか。
099 渡辺由美子 御指摘の母体保護法の規定でございますけれども、御指摘のような、一方で、そのリプロダクティブヘルス・ライツといいますか、女性の自己決定権という問題もございますが、一方で、また胎児の生命尊重というもう一つの大きな課題もございます。
そういう中で、この問題については様々な御意見が国民の間で存在していると思っておりますので、先般、レイプの場合ですとかあるいはDVの場合については解釈を示させていただきましたが、やはりこの配偶者の同意ということについて見直すということには慎重な対応が必要であろうと思っております。
100 福島みずほ 胎児の生命尊重、関係ないですよ。関係ないというのは、夫が同意権を持つということの問題なんですよ。妻が決めるのではなく、夫の同意がなければ中絶ができない、夫が判断権を持つということで、同意しなければ出産を強要されるということですから、ここを問題にしているわけです。夫と妻の間の問題じゃないですか。夫が何で出産を強要できるのか。これ、極めて問題だと思いますよ。だって、産むのは女性なわけですから。
これは、母体保護法の中の配偶者要件は撤廃をすべきだというふうに強く申し上げますし、政府が是非やってくれるように、場合によっては議員立法で取り組むべきことだというふうに思っております。第204回国会 参議院 厚生労働委員会 第3号 令和3年3月16日
036 渡辺由美子 先にちょっと私の方から回答させていただきます。
御指摘の配偶者の同意要件の在り方につきましては、女性の自己決定権ということはもちろんですが、一方で、胎児の生命尊重といったことなど、様々な御意見が国民の間で存在しておりまして、個々人の倫理観あるいは道徳観とも深く関係する難しい問題であると認識をしておりまして、厚生労働省といたしましては、こうした国民各層における議論が深まるということが重要であるというふうに考えております。第147回国会 衆議院 厚生委員会 第14号 平成12年5月12日
161 真野章 厚生省児童家庭局長 人工妊娠中絶の問題につきましては、ことし二月一日の参議院本会議におきまして、前総理から、「胎児の生命尊重、女性の自己決定についての考え方などをめぐり、国民各層に多様な意見が存在いたしております。また、国際的にも対応は分かれているものと承知をいたしております。国民個々人の倫理観、道徳観、宗教観とも深く関係しており、国民各層における議論の深まりが重要であると考えております。」という答弁がなされておりまして、私ども、その答弁のとおりに考えております。
先生御指摘の、日本母性保護産婦人科医会から母体保護法の改正につきましての提言が出されたということは承知をいたしております。こういう提言なども踏まえまして、国民各層における議論の深まりを期待したいと思っております。第147回国会 参議院 国民福祉委員会 第18号 平成12年5月9日
119 堂本暁子 きょうは児童手当についての質問ですけれども、大臣は少子化対策の中核的、象徴的な施策と児童手当を位置づけておられますが、社会保障制度審議会の調査によりますと、女性が本当に必要としているのは現金給付ではなく、むしろ保育とか育児休暇といったような別のところにあります。その観点からきょう質問をさせていただきます。
二十六日の本会議で私が質問させていただいたときの御答弁で、大臣は少子化対策として安心して妊娠、出産できる環境整備を行うことは重要というふうに御答弁くださいました。また、母体保護法改正に関する当委員会での審議でも、包括的な女性の健康支援策が必要だということをおっしゃっていらっしゃいました。望まない妊娠を減らすためのサービス、情報の提供など女性の健康支援策について、とかく胎児の生命尊重が優先するというように別の御意見が存在するのでということで、過去十年間話がそらされてきた、あるいは政策が実行されないできたということがあります。そのことは前回も申し上げたところですが、女性の人権の問題、そして諸外国に比べて日本はそうした健康、女性の健康ということで非常に立ちおくれてしまった。それは別の次元であるにもかかわらず、ある種のすりかえがなされてきたためだというふうに思うんですね。
それで、前回に続いて私はあえてもう一度伺いますけれども、早急にこれは対応しなければならない課題である。それは少子化対策でもあるでしょうし、何よりも一人一人の女性にとっての幸福につながる問題だと思いますが、大臣の御認識を伺いたく思います。
120 丹羽雄哉 厚生大臣 この問題につきましては、過去たびたび堂本委員の方からさまざまな形で御叱責を賜っておるわけでございます。女性の妊娠・出産期のみならず、思春期、更年期など生涯を通じて男性とは異なる健康上の問題に直面をいたしまして心身や生活の状況が変化をし得るために、リプロダクティブヘルス・ライツの観点に立ちまして、女性の生涯を通じた健康施策というものを総合的に推進するということは大変重要であるということも私は申し上げておるような次第でございます。全く同じ考え方に立つものでございます。
厚生省といたしましても、これまで思春期、妊娠・出産期、更年期など女性のライフステージであるとか、あるいは乳がん、子宮がん、骨粗鬆症など女性特有の疾病に対応した保健医療のサービスが生涯を通じて適切に提供されますように各種の施策の拡充に努めてきたところでございますし、今後ともそういった姿勢において積極的に女性の生涯を通じた健康政策について推進をしていく決意でございます。第147回国会 参議院 国民福祉委員会 第17号 平成12年4月27日
023 真野章 厚生省児童家庭局長 人工妊娠中絶の問題につきましては、二月一日の参議院本会議でも総理から御答弁がございましたように、胎児の生命尊重、女性の自己決定についての考え方などをめぐりまして国民各層に多様な意見がある、そしてまた国際的にも対応が分かれていると。そういう状況で、またこの問題が国民個々人の倫理観、道徳観、宗教観とも深く関係をしておって、国民各層における議論の深まりが重要だということを御答弁されておりまして、私どももそういうふうに考えております。
また、専門団体からそういう提言が出されたというふうに承知はいたしておりますが、まさにそういうことも踏まえまして、国民各層における議論の深まりを期待しているというところでございます。第147回国会 参議院 予算委員会 第6号 平成12年3月7日
012 小山孝雄 次に、憲法第十三条と胎児の生命尊重という問題についてお尋ねをいたします。法制局長官、お見えでしょうか。
昭和五十七年三月十五日に、十七年前でありますが、現在の我が党の議員会長の村上正邦議員と当時の鈴木総理、森下厚生大臣、角田法制局長官の間で非常に注目されるやりとりがありました。憲法十三条と胎児の生命尊重に関する質疑でございます。
その内容につき法制局長官にお尋ねいたしますが、資料として議事録をお配りしてあるはずでございますが、簡単に申しますと、一つは、人間の生命は受胎に始まり、受胎をして生命が宿ったときから人間の生命というものを尊重し、これを守っていかなければならない。こうした生命尊重は、憲法第十三条にうたわれているとおり、あらゆる立法、施策を通じて最大限尊重されなければならないという趣旨である。
二つ目は、生命の宿った新しい命の象徴である胎児を人工的に中絶するということは、生命尊重の基本に触れる問題である。当時は優生保護法と言いましたが、その優生保護法の中に経済的理由による中絶ということが掲げられているが、これは単なる経済的事由ではなしに、継続して妊娠、分娩することが母体の健康を著しく害するおそれがある場合と、厳しくこれは解釈されるべきものであるという点が第二点。
第三点が、憲法第十三条で、「すべて国民は、個人として尊重される。」に言う、個人が尊重されなければならない理由は、人間性そのものの価値のゆえんであり、近い将来生まれてくる胎児もまた尊厳なものである、したがって胎児の生命を尊重することは憲法十三条の趣旨に沿うものである、このように要約できるかと思います。
この見解は現在も変わっていないと思いますが、確認の意味で内閣法制局長官に見解を尋ねます。
013 津野修 お答えいたします。
憲法第十三条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」というふうに規定されているわけでございます。
そこで、お尋ねの胎児との関係でございますけれども、これは先ほど先生の方から御指摘がございました、角田法制局長官が昭和五十七年三月十五日の参議院予算委員会でお答えしているとおりでございますけれども、内容を申し上げますと、胎児は近い将来基本的人権の享有者である人となるのであるから、その生命を保護し、尊重することは憲法第十三条の趣旨に沿うものと解されるというふうにお答えしているわけでございまして、私どもも現在においても同様の見解を持っているところでございます。
014 小山孝雄
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○小山孝雄君 すなわち、胎児の生命は憲法十三条で最大限尊重されなければならないものであり、だからこそ、資料もお配りしておりますように、刑法第二百十二条は堕胎罪を設けております。そして、その罪は一年以下の懲役刑も科してあるわけでございます。憲法、刑法がこのように重く規定しているところに大穴をあけたのが昭和二十四年の優生保護法という法律でございます。
憲法調査会が設置されました今、論議が本院でも始まりました。私もメンバーの一人として加わらせていただいておりますが、現在、論議されておりますその中で憲法と現実の乖離という問題が言われておりまして、私は、この生命尊重の問題につきましても、今確認いただいた憲法の趣旨と現実が非常に乖離している大きな問題だと思っているところであります。なぜなら、これは生まれるべくして授かった生命が大量に失われているという現実があるからでございます。
厚生省にお尋ねいたしますけれども、平成十年度の人工妊娠中絶件数と、それが母体保護法のどの条文により許可されたものなのか、トータルとそのおのおのの分類の数をお示しいただきます。
015 真野章
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○政府参考人(真野章君) 平成十年度人工妊娠中絶件数は、厚生省の母体保護統計報告でございますが、三十三万三千二百二十件でございます。
先生御指摘の人工妊娠中絶の要件でございますが、母体保護法第十四条におきまして、「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」、第二号といたしまして、「暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの」に対して、都道府県の医師会の指定する医師が本人及び配偶者の同意を得て実施することができるとされております。
016 小山孝雄
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○小山孝雄君 大半が母体保護法十四条一項一号に基づいて行われている。このお配りしている資料、「出生数と人工妊娠中絶数の推移」というのをごらんいただきたいと思いますが、昭和二十四年がこの母体保護法の前身の優生保護法が制定され、施行された年であります。それから今日までちょうど五十年でございます。その間に生まれた子供の数は八千二百二十七万六千四百三十七人、そして正式に届け出られた数字だけでも人工妊娠中絶数が三千四百四万一千十四件と、このように膨大な数でございます。実際にはこの二倍から三倍あるというのが常識だ、このように報ずる機関もございます。したがって、累々たる胎児のしかばねの上に築かれた戦後の日本だ、このようにも言えるかと思います。
厚生省に尋ねますが、この中絶理由、大量の中絶件数の大半が身体的または経済的理由によって母体の健康を著しく害するおそれのある場合、このような事由で中絶された、こういうことでありますが、その中の身体的理由とは何でしょうか。また、経済的理由とは何でしょうか。
第147回国会 参議院 本会議 第3号 平成12年2月1日
003 小渕恵三 (総理)
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○国務大臣(小渕恵三君) 村上正邦議員にお答え申し上げます。
ただいま村上議員は、日本と日本人の現在と将来を憂い、熱情を込めて議員の信念を訴えられました。私は緊張して拝聴させていただきました。また、議員から、私と富国有徳にちなんだ漢詩をいただきました。私は、この詩を拳々服膺し国政に全力で取り組んでまいりたいと思います。
村上議員は、今回の施政方針演説そして代表質問に対する野党の態度について、憲政史上の大きな汚点であると述べられました。野党議員に対して、言論、政策で闘うという本来の議会制度のあり方に立ち返るよう呼びかけられました。私は、本日、村上議員が、野党不在の代表質問であることも考慮されて、二院制における参議院独自の役割を重視する立場から、与野党の枠組みを超えて政治全体を見据えて質問されたことに対し、まず深く敬意を表したいと思います。
村上議員は、産業革命以来の近代社会の特徴について、あらゆるものを量的に追求することにあるとされた上で、二十一世紀には物質万能主義ではなく、心の豊かさ、精神の時代が到来すると指摘されました。また、日本に見られるさまざまな世紀末現象の原因として、本来、日本人が持つ道徳観やすばらしい精神文化が失われつつあることを挙げ、心の確立の必要性を訴えられました。
これまで近代社会は、人間が自然を管理し利用することにより量的な発展を重視してまいりました。現代の大量生産、大量消費、大量廃棄という近代社会のシステムはもはや限界に来ていると言わざるを得ません。まさに人類は、村上議員の御指摘のとおり、新たな価値観、社会の仕組みを必要としておると思います。金銭ではかることのできない価値をとうとび、心の豊かさも重視する姿勢と物を大切にする循環型社会を目指すべきであります。
また、我が国は第二次大戦後、急速に経済成長をなし遂げました。衣食足りて礼節を知り倉廩実ちて栄辱を知ると言います。しかしながら、私たちが直面する現実はこれとは異なった様相を呈していると憂えるものであります。
私は、かねてから二十一世紀の日本のあるべき姿として、経済的富に加え、物と心のバランスのとれた国、すなわち富国有徳の国を目指すと申し上げてまいりました。富国有徳の国を支えるものは、究極のところ人であります。私は、その意味で社会のあり方まで含めた抜本的教育改革が求められていると確信するものであります。まず、大人みずからが倫理やモラルにふだんから注意し、子供の健全な発達を支えていく社会を築いていかなければなりません。その上で、自分に厳しく相手に優しく、助け合い、いたわりの気持ちの大切さを持った子供たちがはぐくまれるよう、教育改革に全力で取り組んでまいる決意を申し上げたところであります。
靖国問題につきましては、日本人の魂の問題であるとされた上での御質問がありました。
昭和六十年に当時の中曽根総理が実施した方式による靖国神社公式参拝が憲法に違反しないとの政府見解は、現在でも変わっておりません。
今日の我が国の繁栄が戦没者の方々のとうとい犠牲にあることは申すまでもありません。議員は、国のため戦場に散った方々に対して深く思いをいたし、国が慰霊し顕彰することは世界共通のことでありますと述べられましたが、私自身、戦没者の追悼に対する気持ちについては人後に落ちないつもりであります。
今後、公式参拝を実施するかどうかにつきましては、この私の現在置かれた立場から率直に申し上げるならば、多くの我が国国民や遺族の方々の思い、及び近隣諸国の国民感情など、諸般の事情を総合的に考慮し、自主的に検討した上で決定すべきものと考えております。
国民との直接対話についてお尋ねがありました。
「若聞人なくば、たとひ辻立して成とも吾志を述ん」、これは江戸中期の心学者である石田梅巌の言葉であります。これは、私が官房長官としてお仕えいたしました竹下総理が所信表明演説で述べられたことであります。私の信念でもあります。
これまで私は、できる限り国民の皆さんと直接にお話をし、また御意見に耳を傾けることを政治の原点と考え、努力してまいりました。先日、自民党大会で申し上げた国民との対話の日につきましては、今後精力的に取り組んでまいる所存でございます。
連立政権についてお尋ねがありました。
私は、いかなる政策、いかなる改革も政治の安定なくしては実行し得ないと確信しております。
私は、一昨年の参議院選挙後、日本が危機的状況に陥る中で、政治の安定が何よりも大事であるとの思いで、自自連立、そして先般の自自公連立政権を樹立いたしました。連立政権の運営に当たっては、党と党との信頼関係がまずもって必要であります。これに加え、三党党首間の確固たる信頼関係が重要であるとの村上議員の御指摘、まさにそのとおりであります。信なくば立たずであります。
私は、小沢党首、神崎代表との間で強い信頼関係で結ばれていると自負しているところでありますが、さらに一層胸襟を開き、難局を乗り切るべく、かたいスクラムを組んで進んでまいりたいと考えております。
次に、九州・沖縄サミットについて開催の決定を高く評価していただいた上で、ぜひ成功させなければならないとの力強い御主張がありました。まさに私の思いと軌を一にするものであり、私は、このサミットを成功させることは私に課せられた国際的な責務であると考えております。
その上で、村上議員から三つの貴重な御提言をいただきました。
まず、万国津梁館を会場として沖縄アジア会議を創設してはどうかという御提案でありましたが、九州・沖縄サミットは七年ぶりにアジアで開催されるサミットであり、サミット前後にはアジア諸国からの参加も得た多くの交流プログラムが計画されているところであります。政府としては、議員御指摘のように、サミットの開催を契機として、今後沖縄が万国への橋渡しとしてアジアの国々との交流の場になることを期待し、御提案を十分念頭に置きつつ、このための努力を行ってまいりたいと考えております。
次に、沖縄・国際子どもサミットを検討してはどうかとのお尋ねでありました。
世界の子供たちがみずから二十一世紀の世界を考えることは極めて有意義であります。沖縄県では、次の世代を担うG8の若者が一堂に会し、若者ならではの純粋な視点で二十一世紀の世界像を議論するG8高校生サミットを六月に開催することといたしており、政府としても引き続きこれを積極的に支援してまいる所存であります。
さらに、沖縄の苦しみ、悩みを世界に訴え、新千年紀の幕あけにふさわしい平和への宣言を世界に発信すべきではないかとの御提言がありました。
そもそも私がサミットの沖縄での開催を決定いたしましたのは、沖縄での長い歴史の痛みを踏まえ、稲嶺知事を初め県民の方々の熱い期待にこたえるためでありました。
村上議員が引用されました大田中将の電報は、私の沖縄への思いを一層強固なものとして沖縄開催の決定につながったものであります。
私は、昨年九月にAPECの会議でニュージーランドを訪問いたしましたが、その際、同国に在住の大田中将の四女の昭子さんとお会いいたしました。昭子さんは、戦後、ニュージーランドの方と結婚せられたことにより、いろいろな苦労をされた方でありましたが、今回のサミット開催決定により、御尊父の沖縄への思いがこのことによって結実した気持ちである旨、涙ながらに述べられました。私も胸を熱くすると同時に、改めてその成功のために力を尽くさなければならないと覚悟をいたした次第でございます。
私は、施政方針演説で申し上げましたとおり、二〇〇〇年という節目の年に開かれる九州・沖縄サミットを平和の世紀の建設を世界に発信する機会ととらえ、明るく力強いメッセージを打ち出したいと考えております。こうした私の平和に対する思いをサミットの結論に反映させるよう、議員の御提言も踏まえ、G8各国ともよく相談してまいります。
以上、村上議員の御提案について私の考えも述べさせていただきました。九州・沖縄サミットの成功のために、国民の皆様からいただくあらゆる御提言についても率直にお聞きをし、真摯に検討したいと考えておりますので、ここに国民の皆様の積極的な御協力をお願い申し上げるものであります。
沖縄サミットの成功のための危機管理上の対応は万全なのかとのお尋ねでありますが、沖縄サミットを成功させるためには、警備上の諸対策を初め、危機管理に万全を期することが不可欠であると考えており、関係省庁において現在あらゆる角度から総合的に検討を行っておるところであります。
次に、アジア共通市場の創設についてお尋ねがありましたが、我が国は、多角的貿易体制の優越性を重視しておる立場であることは御承知のとおりであり、この立場を変えるものではありません。他方、アジアとの経済関係の強化に伴い、今後二十一世紀へ向け、国際ルールの枠組みのもとでさまざまな方途を検討することが適切であると考えます。
次に、経済統合による共通通貨創設についてでありますが、経済的、歴史的、文化的背景が比較的近い欧州であっても通貨統合は長い時間をかけようやく実現したものであり、欧州よりも複雑で多様な背景を持つアジア地域においては、長期的な可能性はともかく、今すぐに通貨統合を推進する環境は必ずしも整っていないのではないかと考えます。他方、アジア諸国の通貨の安定は我が国にとっても重大な関心事であり、アジア通貨の安定に向けて、マニラ・フレームワークの活用や円の国際化の推進等を通じて、今後とも積極的な役割を果たしてまいりたいと考えております。
新しいアジア外交についてお尋ねがありました。
我が国外交が主体的な立場をとって、アメリカ、中国、韓国、インドネシア、ロシア等々、アジアと太平洋の国々や地域との間に一層の信頼関係を構築していかなければならないとの御指摘は全く見解を同じくするものであります。その認識のもと、今後ともアジア外交を積極的に進めてまいりたいと考えております。
中国と台湾との関係につきましては、台湾をめぐる問題が、関係当事者の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望するとの我が国の立場をこれまでも機会をとらえて明らかにしてきております。この話し合いによる平和的解決を望む立場は、およそ両岸の当事者の英知を信頼していることの裏返しであるとともに、この地域、ひいては世界の恒久的平和と安定のためにも、武力による解決は決して望ましいものではないという私どもの信念の正直な反映でもあります。御趣旨を踏まえ、隣人たる日本人の真摯な希望を今後とも適時適切に訴えてまいりたいと考えます。
中国との関係につきましては、最も重要な二国間関係の一つとしてこれを重視し、御指摘のように未来を見据え、筋を通し、これまで築いてきた首脳レベルの信頼関係を基本に、その進展に一層努めてまいります。
また、北朝鮮との関係につきましても、日朝双方が言うべきことは言い、本音で忌憚のない話し合いができるようになることが重要との御指摘に同感であります。日朝関係の改善は難しい課題ではありますが、そのためにもできるだけ早く国交正常化交渉再開のための予備会談を行い、本格的な対話を実施してまいりたいと考えております。
少子化問題について、若い世代が子育てに誇りや喜びを感じるような意識改革が必要であるとの御主張がありました。
私が主宰する少子化への対応を推進する国民会議に参加されております「リング」あるいは「らせん」等の作家である鈴木光司さんが、御自身を文壇最強の子育てパパと称し、会議でこれまでの自分の二人の子育ての経験を踏まえまして、今の日本の社会に余り結婚したくない、子供を産みたくないという漠然としたムードが漂っている、私はこうしたムードに言葉を当てはめる、要するに意識化するのが小説家としての私の役割であると考えているとおっしゃっておりました。私は、このような子育ての喜びについてどんどんと発信されていけばと願っておるところであります。
また、議員から税制を含めた長期的な取り組みや子供三人財団など、子供を産み育てることが大事だという精神風土の国民運動の官民一体となって推進することも必要との御主張がございました。
私は、子育ての意義や喜びについて若い世代に向けての啓発活動を含め、国民的な理解と広がりのある取り組みも重要でありまして、国民会議において各界各層における取り組みを推進するとともに、広く国民に向けた情報発信を行うなど、幅広い対応を行ってまいりたいと考えております。
議員は、生命の尊厳を人類社会の最も根源的な問題と述べられました。生命の尊厳を守るために生命を尊重する気風を醸成していくことは政治の重要な課題であると考えております。
議員から母体保護法に関連し指摘された人工妊娠中絶の問題については、胎児の生命尊重、女性の自己決定についての考え方などをめぐり、国民各層に多様な意見が存在いたしております。また、国際的にも対応は分かれているものと承知をいたしております。国民個々人の倫理観、道徳観、宗教観とも深く関係しており、国民各層における議論の深まりが重要であると考えております。
第136回国会 参議院 外務委員会 第11号 平成8年5月16日
142 吉田哲彦
厚生省保健医療局精神保健課長
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○説明員(吉田哲彦君) 優生保護法につきましては、先ほど申し上げましたように、優生思想の問題があるわけでございますとともに、もう一つこの優生保護法の中には人工妊娠中絶の規定がございます。この規定については、先ほどから御意見のございますように、全面的に改正をすべきという御意見あるいは女性の自由意思による中絶を保障する法律をつくるべきだという御意見のある一方では、胎児の生命尊重のために中絶については強化すべきだというような御意見まで、国民の間で大変幅広い意見があるわけでございます。
この優生保護法については、前段に申し上げた点については改正すべきという点があるわけでございますが、それでも具体的な改正の案についていろいろな御意見がある、さらにその後段の方はもっと幅広い御意見があるということで、今まで長年この問題については検討をし、具体的になりましても成案が得られなかったと、こういう経緯がございます。
この法律問題については、私どもも何とかしなきゃいかぬとは思っております。したがいまして、関係の方々と今鋭意勉強をし、そして御意見を聞きながらまた国民の御意見も聞きながら、具体的にどういう形でやればいいのか、模索をしているという段階でございます。
第118回国会 参議院 社会労働委員会 第2号 平成2年4月24日
197 東條伸一郎
法務大臣官房審議官
○説明員(東條伸一郎君) 人工妊娠中絶それ自体は刑法に書いてあることではございませんで、刑法で言いますと堕胎罪ということでございますが、堕胎罪というのは御承知のとおり、胎児がどのように発育しているかその程度を問わず、要するに自然の分娩期に先立って母体外に人工的に胎児を出すことを堕胎というふうに申しておりまして、それを先生今御指摘のように刑法では原則として処罰するという体系をとっているわけでございます。堕胎罪の保護法益は第一にはやはり胎児の生命あるいは身体の安全、これから人間になっていくものの命を守るという観点から堕胎罪という法律ができているわけでございまして、それを直ちに廃止せよということは胎児の生命尊重の見地からいろいろと議論のあるところだろうと思います。
私どもとしてはかねてから一方では女性の自己決定権といいますか、産む産まないは女性の自由であるというような見地からのいろいろな御議論もあることも承知しておりまして、堕胎罪についてどのように今後立法政策を定めていくかということは私どもの一つの課題でございますが、刑法の全面改正の過程の中でもそれぞれの委員会で非常に真剣な議論がなされたところでございまして、一応答申をいただいている改正草案の中には、なお堕胎罪は存置すべきであるという御答申をいただいておりますが、いずれにいたしましても、問題は刑法全面改正の過程の中で慎重に考えていかなければならないと思っております。現段階で直ちに廃止するというようなことを申し上げる時期ではないと思います。
第98回国会 衆議院 決算委員会 第5号 昭和58年5月11日
041 井上一成
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○井上(一)委員 まず私は、優生保護法の改正の問題について尋ねておきたいと思います。
優生保護法第十四条第一項四号の「経済的理由」を削除しようとする動きがあります。しかしこの改正には、次のような重要な問題があるわけです。
一つには、経済的理由に基づく人工妊娠中絶が法律上認められないとすれば、非合法中絶が行われるおそれがあるわけです。そして非合法中絶は母体にもきわめて危険な結果を招くわけです。ある資料によれば、非合法中絶の母体損傷率は合法的中絶に比べて約三十倍にも達していると言われております。
さらに二点目に、GNP世界第二位のわが国で経済的理由の規定は不必要という議論があるわけですが、しかし厚生省が本年一月発表した国民生活実態調査を見ても、四二%が生活が苦しいと訴えて、今後三年間の家計の見通しについて、苦しくなると答えたのが五四・一%、いわゆる長引く不況の中で、生活保護及び生活保護すれすれの貧困世帯がどれだけあるのか厚生省は一番よく知っているわけであります。また、出産年齢の女性の就業率が年々高くなっていることも事実であります。
さらに三点目に、性の解放の風潮が、わが国のみならず世界全体の傾向となっておる。これに伴う十代の婚外妊娠は世界各国の共通の悩みであります。わが国ではその救済措置としてこの十四条一項四号が適用されているわけでありますが、その道を閉ざすことはより深刻な問題を引き起こすことになるわけであります。
四点目に、子供を産むか産まないかは、基本的には夫婦あるいは女性の自由にゆだねるべきであり、女性の社会的、経済的自立と参加を促進する見地からも、その自由を束縛すべきではない。
さらに五点目に、現行の優生保護法のもとでも人工妊娠中絶の絶対数は年々減少しておる。さらに、計画出産、避妊知識の普及により、今後も減少こそすれ増加することはあり得ないと判断をするわけであります。
さらに私は、宗教の立場で人間の生命の尊重、特に胎児の生命尊重を説くのは、それなりに十分理解ができます。しかし、その宗教的立場を現実の行政の場へ法的規制の問題として持ち込むことには、まだまだ議論の余地があろうかと思います。
以上の問題点を含む優生保護法の改正については、医学的にも社会的にも重大な影響をもたらすものであり、行うべきではないと考えるわけでありますが、大臣の見解をお聞きいたしたいと思います。
042 林義郎
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○林国務大臣 井上先生御指摘のように、この問題を改正したいという話が出ていることも事実でありますし、現状のままでいいということになるかどうか、私もいろいろ問題があるだろうと思いまして、検討を続けてきておるところでございます。
先生の御指摘のように、非合法の中絶がかえってふえて危険なことになるではないか、全くそういったこともあるだろうと思います。現実問題としてあるのではないかと思いますし、経済的理由、先生御指摘の四二%云々、こういうふうな話がありましたけれども、この経済的理由というのをどう解釈するかというのは、やはり一つの解釈の問題として、だれがどんな解釈をするのか。経済的に非常に苦しいというような問題というのは一つの解釈の話でありますから、これは果たしてそれでいいのかなということも考えなければいけないのだろうと私は思います。
それから、産む、産まないの権利というのが国際的にもいろいろと言われていることも事実でございますし、それじゃそれを一般の民法上の権利というところまで認めていくのかどうかというようなことも、法律論としては議論をしておかなくてはならない問題だろうと私は思うのです。
そのほか、避妊の体制であるとかいうことも考えていかなければなりませんし、宗教的な観点で胎児の尊厳ということを言われることもありますが、それではすべての宗教がそうであるかというと、私は必ずしもそうではないと思っているのです。そういったこともありますから、私はこの問題は人間のあり方に関連してくる問題だろうと思う。昨今は男女の産み分けなどというのも技術的にできるなどという話もきょうの新聞なんかに出ていましたね。そういったようなことで、いろいろ技術的にできる、科学的にできるという話まで含めて少し考えてみないと、早急に結論が出せる話でもないだろう、私はこう思っているのです。
そういった意味で、私の方もいろいろな形でこれは検討しておるところでございまして、先生の方の御意見も、私は一つ一つの問題は非常にごもっともな御意見だろうと思うのです。だから、そういったものを踏まえましてこれからも検討していかなければならない話ではないだろうか。これはお互い政治家として、人間がどうして生まれて出てくるか、それからどういうふうにしていい生活をしていくか、また死ぬときにどうするかというような問題まで入りまして、やはり統一的なコンセンサスをつくっていくということは必要なことだろうと思っているのです。私は単に一条を改正したから問題がこれで解決するなどと思っていません。あと教育の問題もありますし、それから性教育をどうするかという問題まで入って議論をしていかなければならない問題だろう、こう考えているところでございます。
御趣旨をよく体しましてこれからも検討を続けていきたい、こういうふうに思っております。
第96回国会 参議院 予算委員会 第8号 昭和57年3月15日
047 森下元晴
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○国務大臣(森下元晴君) いわゆるやみ中絶のお話だろうと思います。実数の何倍かがやみからやみに、葬られておると。私は否定はいたしません。しかし、この実数については届け出がないわけでございましてはっきりわかりませんけれども、届け出よりも多いということは常識的な認識として持っております。
048 村上正邦
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○村上正邦君 先ほどお話しありましたが、「経済的理由」ということで命が中絶されるわけですが、この経済的理由ということについて削除する用意がありますか、どうですか。法改正、特に四十七年にこれが国会に提案されているんですね、この経済的理由を削除せよという。その用意があるかどうか、検討いただけるかどうか。
049 森下元晴
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○国務大臣(森下元晴君) この経済的理由という問題については、経緯はよく承知しております。私の個人的なまず考え方を申し上げますと、戦後この法律が、優生保護法ができましたときには、経済的には非常に子供を育てること、また出産することはむずかしい時代でございましたけれども、その後、経済的な理由によって中絶を認めるという根拠は薄らいでおる、またなくなりつつあることは事実でございますし、そのために法案が出されて、残念ながら参議院で廃案にされたということの経緯を踏まえまして、厚生省といたしましては、できるだけ早くコンセンサスが得られるような形で今後検討してまいりたい、前向きで検討してまいりたいということを申し上げたいと思います。
050 村上正邦
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○村上正邦君 政府が、政府提案で責任持って四十七年提案したんですから、それが八年もほったらかされているんです。ですからやはり、これは大臣御在任中にどうかひとつ法改正を、政府提案なり用意をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
051 森下元晴
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○国務大臣(森下元晴君) やはり、提案する以上は当然これは法案の通過というところまでいかないと、政府の権威にも関係するし、また厚生省といたしましても自信を持ってさせてもらわなくてはいけない重要な問題でございます。したがって、各方面との十分なコンセンサスを得たい、また、もちろん啓蒙の問題もございます。そういうことで、先ほどお答え申し上げましたように前向きで検討をしたいということを申し上げるわけであります。
052 村上正邦
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○村上正邦君 もう少しはっきりした御返事をいただきたいんですが、時間がありませんので、この問題はまた社労委員会等を通じて議論をしていきたい、こう思っております。
この人命尊重の問題で最後に総理にお願いをしたいんですが、何といってもやはり胎児の生命尊重というもとを正していないから、夕張炭鉱の爆発、ホテルの火災、日航機墜落、無差別殺人、赤ちゃんのコインロッカー、保険金目当ての殺人、家庭内暴力殺人事件等々、このような事件が起きるんだと思います。そこで、こういう風潮を是正していただくために、いまこそ国、国民が一致して生命の尊厳について思いを新たにしなければならないときに来ておると思います。生命尊重の筋を通すために、生命尊重基本法とも言うべき規範が必要であると思います。さらに、生命尊重の精神を徹底するために、私は、生命の日の制定を総理にお願いしたいと思います。
053 鈴木善幸
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○国務大臣(鈴木善幸君) 最近、生命の尊重を無視する、人命を軽視するというような忌まわしい事件が頻発をしておる傾向を見まして、本当にゆゆしい事態である、このように私は受けとめております。個々の問題につきましては、その再発防止のために原因を究明し、その責任を追及し、できるだけの努力を傾けておりますことは村上さん御承知のとおりでございます。
私は、いま御提案がございました基本法の制定、あるいは生命尊重の日というような御提案がございましたが、日本国憲法の精神は十三条を初めとしまして、憲法自体が生命の尊厳、生命の尊重ということで一貫しておるものと、このように、私は受けとめております。平和憲法も、これも一つの本当に大きな支柱である、こう考えております。憲法の精神を外し、その精神を具現するために、これを国政の基本に据えて、あらゆる努力を今後続けてまいりたい、こう思っております。
第72回国会 衆議院 社会労働委員会 第29号 昭和49年5月23日
060 土井たか子
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○土井委員 まだまだ羊水検査については、疑問点が多いということがしきりにいわれておりますね。それによってこれは「胎児が重度の精神又は身体の障害の原因となる疾病又は欠陥を有している」かどうかということをはかるわけでありますから、これは母体を傷つけると同時に、何といっても命の尊重というところが出発点でありますから、そういう点からいうと、胎児を傷つける可能性なしとしない。こういわれているのです。
しかもこれはさらにいうと、不良の子供は生きる権利がないのかという疑問と、まっ正面からこの問題はぶつかるわけですよ。そうして健康でない命というものについても、これを保障していくことができるような社会というものをつくらなければならない。健康でない命というものの定着ということができる社会を保障するということは、これはことばでいうと健康権を保障するということになると思うのですけれども、もう一つ大きな意味でいうと、これは環境権保障ということに私はなると思うのですが、そういう点からいうと、胎児の生命尊重をうたいながら、中絶手術を非難する。中絶手術よりもそれ以前に、避妊ということのほうが大事だというならば、それの対応策として、知識を含めた性教育、避妊教育、こういうものがどうしても私は必要だと思うのです。
あとで参考までに私は持ってまいりますけれども、たとえば外国の例、スウェーデンのような国においては、義務教育諸学校でどういうふうな性教育がなされているか。そのための教科書をわざわざつくって、非常にわかりやすく、ABCから説いているという例があるわけです。現にこういうふうな問題については、厚生省はどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。文部省との間の関係もあると思いますけれども、いまそこにおすわりの皆さま方も、私たちも含めてですけれども、私たちは性知識というものに非常にうといですよ。正確な知識というものをはたしてどの程度持ち合わせているかというと、まことに貧困そのものであります。したがいまして、避妊ということについても、これはやはり正確な知識を男性は女性に対して持っているか、女性は男性に対して持っているか、特に男性は女性に対して持っているか。私は、この中身については、いつもお粗末だなあと思うことが多い。私ですら思うんだから、これはよっぽどですよ。したがいまして、こういう問題についてどういうふうに思っていらっしゃるかということをひとつお聞かせ願いたいです。
第63回国会 参議院 予算委員会 第13号 昭和45年4月2日
121 鹿島俊雄
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○鹿島俊雄君 ただいまお答えをいただきましたが、何といたしましても、この人口政策というものはきわめて早い時期に対策を立てなければならないものでございまして、その場その場において対処できないきわめて重要な問題でございますが、こういった点につきましても深くお考えおきを願う次第であります。
次に、そこで現在の状況にかんがみまして、行き過ぎた人工妊娠中絶は是正すべきである、胎児の生命尊重、性道徳の回復、労働力政策、人口政策等の観点から、現行優生保護法を再検討する必要があると思いまするが、重ねて御所見をお伺いいたします。
122 内田常雄
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○国務大臣(内田常雄君) だんだん申し述べましたように、いまから二十年前につくられた法律と、今日の社会経済情勢が違っておりますので、再検討をすべき段階にあると思いますが、これにつきましては、やはり母性の生命、健康の保護ということが十分重んぜられなければならない点がございますし、また、これがせっかくの国会における立法であり、また修正をされてまいった経緯等もございますので、これらの面をも十分私どもも皆さま方と、場合によりましてはお打ち合わせをする場もつくりまして、そしてできる限り早くこの問題の処置に関する結論を得て対処をいたしてまいるつもりでございます。