リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

日本産科婦人科学会のホームページで「治療的流産」に言及している唯一の例

CQ403 帝王切開既往妊婦が経腟分娩を希望した場合は? に対する回答の中で

日本のプレグランディンは、当初から「治療的流産」が拡大解釈されることが心配されていたが、現在においても、日本産婦人科医会と日本産科婦人科学会のどちらのホームページを探しても「治療的流産」の定義は見当たらない。一方、両者連名で編纂されている『産婦人科診療ガイドラインー産科編2020』の中に「妊娠中期(22 週未満)での人工(治療的)流産」との表現があり、中期中絶はすべて「治療的流産」であるかのように読める。実際には合法ではない「胎児障がい」の理由で多くの中期中絶が行われているのは周知の事実だが、統計では「母体の健康」のために行われたことになっている。


産婦人科診療ガイドラインー産科編2020』「CQ403 帝王切開既往妊婦が経腟分娩を希望した場合は?」の回答の中に見られる記述:

子宮破裂に対するリスクは最小限にとどめる必要があることから,本書では分娩誘発あるいは陣痛促進の際にプロスタグランジン製剤の使用は避けることとした(CQ415-1 参照).なお,妊娠中期(22 週未満)での人工(治療的)流産時や,22 週以降であっても子宮内胎児死亡の際の死児娩出時にはこのかぎりではない.ただし,ゲメプロスト(プレグランディンⓇ)は 22 週未満の人工(治療的)流産時に,子宮破裂に十分注意しながら使用する

この書き方だと、「妊娠中期(22 週未満)での人工流産」はすべて「治療的流産」であるように読めてしまう。