リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

2021年末に載った論座を再掲します!

朝日新聞ウェブ論座2021年12月21日掲載記事

本文(初稿)を再掲します。

中絶薬の導入で日本女性にも中絶の権利を


世界における避妊と中絶の発達
 人類は古代から呪術や薬草から物理的刺激まで様々な方法を用いて妊娠を制御しようとしてきた。しかし近代医学が発展するまで長らくこれという決定打はなかった。19世紀後半の医療技術の発達によって、ようやく人類はそれまでに比べてはるかに安全かつ確実に妊娠を終わらせることができる外科的中絶法を手にした。この変化を第一次中絶革命と呼ぶことにする。現在の日本の中絶の過半数で用いられている「搔爬」は、基本的にこの頃の技術を継承したものであり、日本で最初に紹介されたのは1906年の日本婦人科学会雑誌一巻に載ったドイツの論文の抄訳だった。
 搔爬とは正確には「子宮頸管拡張法」と「子宮内膜搔爬法」を組み合わせた手法で、英語ではD&Cの略語がよく用いられる。この手術では、先に水分を吸うと膨張する資材を用いて固く閉じている子宮口を押し広げておき、子宮内に金属製の柄の長いさじのような器具を挿し込んで子宮内膜を360度掻き取ることで妊娠産物を取り除く。処置自体は10~15分程度で終わるが、前処置と全身麻酔のために数時間を要する。日帰り手術が多いが、前日から入院することもある。
 搔爬に使われるキュレットの先端は小さいため、妊娠産物が小さすぎると「取り残す」ことがある。そのために、非常に早期に妊娠に気づいた女性は、胎児が育つまで何週間か待たされることがある。これは中絶を受けることを決めた女性にとって心理的に非常に酷であり、妊娠週数が進んでからの施術は妊娠産物が大きくなるため出血量の増加など様々なリスクも高めることになる。
 現在日本の中絶では94%程度が妊娠12週未満の初期中絶であり、2019年の日本産婦人科医会の調査によれば、初期中絶の方法は搔爬単独が全体の24%、搔爬と吸引法の併用が36%、吸引単独が40%だった。未だに6割に搔爬が使われていることになる*1
 2012年のWHOのガイドライン『安全な中絶 第2版』では、D&Cは旧式で安全性に劣る手法だとして「未だにD&Cが使われているなら中絶薬か吸引法に切り替えるべきだ」と指導している。その9年後の今年7月、厚生労働省日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会に対し、会員に「吸引法」を周知するよう依頼状を出したが、搔爬から吸引に置き換える指導もしていなければ実態の確認もしていない。
 一方、海外では20世紀後半以降、妊娠をより良く管理できる医療技術が急速に発達し、普及した。まず1960年のアメリカで、世界初の経口避妊ピルが発売された。女性が自分一人で避妊できるこの経口薬は一大センセーションを巻き起こし、当時の各国の女性運動の担い手たちは「ザ・ピル」の合法化を重大な獲得目標に掲げた。ほとんどの国の女性たちは、まず避妊ピルの獲得を目指し、それに成功すると、次に中絶合法化運動に進んだ。
 イギリスは例外だった。家族計画法で全国保健サービスを通じた避妊が提供されるようになった1967年に、妊娠中絶法でかなり緩い理由による中絶も解禁されたのである。イギリス議会のホームページでは、「これらの法律の成立は、社会の性に対する考え方の変化を反映しており、知識をつけもっと対話していく必要があることを示している。重要なのは、女性が初めて自分の生殖能力を自己管理できるようになったことである」と説明している。


安全な中絶の模索
 1970年代の初めにかけて次々と中絶が合法化された西欧の医師たちは、安全な中絶手法を求めて国際的に交流するようになった。この秋、そうした医師の一人で邦訳された『文化としての妊娠中絶』の著者として日本人にも知られるマルコム・ポッツ博士に、オンラインでインタビューする機会に恵まれた。ケンブリッジで学位を取得したポッツ博士が、栄誉も収入もある職を捨ててイギリス初の男性中絶医になったきっかけの一つは、ヤミ中絶で感染症にかかって子宮を全摘し、壊死した両手の指先を切断するはめになった女性患者を南米で目の当たりにしたことだった。「子宮も手も失った若い女性がこれからどんな人生を歩んでいくのか……」と大きな衝撃を受け、安全な中絶の必要性を胸に刻んだのだという。
 ポッツ博士は1970年前後に英米を行き来して手動吸引器を普及させた第一人者でもある。インタビュー中にポッツ博士は、おもむろに手動吸引器を取り出して取っ手を引っ張るしぐさをしてみせ、「とても簡単で、二回もやれば誰でもマスターできる」と茶目っ気たっぷりにほほ笑んだ。博士を始めとする熱心な欧米の医師たちは、すでに中絶が合法化されていた東欧圏から吸引の技術や局所麻酔法を学び、アメリカで考案された柔軟なプラスチック製で安全かつ有用なカーマン式カニューレを組み合わせた吸引法を精力的に広めた。先進国では当時発売されたばかりのぴかぴかの電動吸引機が人気だったが、ポッツ博士は女性にとってより快適で途上国でも使える手動吸引器を重視した。電動・手動ともあまり経験のない人でも安全に中絶を行える吸引法は、それまでの搔爬法に置き換わって1970年代の欧米の合法的中絶におけるゴールド・スタンダードになった。1973年に全米で中絶を合法化した最高裁のロウ判決の判決文には、1970~71年に米国12州で行われた中絶の大半が吸引で行われたと記されている。この変化を「第二次中絶革命」と呼ぶことにする。
 しかし、中絶方法の改善はそこでは止まらなかった。1980年代には南米の女性たちが胃薬ミソプロストロールの子宮収縮薬作用を発見し、ヤミ中絶で死ぬ女性が激減した。フランスで人工流産薬RU486(ミフェプリストン)が開発された際にも、このミソプロストールと併用する方法が安全で、妊娠初期なら96%も成功することが確認された。ところが、発売を目前にした1988年のフランスで中絶薬の倫理性をめぐる強い反論が巻き起こった。製薬メーカーはいったん市場から撤退しかけたが、時のフランス厚生大臣は「この薬は女性の倫理的資産である」と弁護して、無事に発売にこぎつけた。ただし、フランスで論争が起きているあいだに中国が先に承認したため、フランスは2番目の中絶薬承認国になった。中絶手術を不要にしたこの薬の登場は、まさに「第三次中絶革命」の名にふさわしい。1991年にはイギリスが3番目の承認国になり、2000年までに世界20ヵ国以上が承認し、2021年10月時点では82ヵ国が承認している。


G7諸国との比較
 避妊や中絶のありようは、各国の文化や宗教、女性運動と医療の関係等の違いによってまちまちだが、ここではG7諸国を比較対象として取り上げ、避妊ピルの承認と、実質的な中絶合法化、ミフェプリストンの承認の時期について検討してみよう。表1にそれぞれのタイミングと、避妊ピル承認から中絶合法化までにかかった年数、中絶合法化から中絶薬承認までにかかった年数をまとめた。

 一見して日本の特異さは明らかである。日本は避妊ピルの承認よりも51年も早く中絶を合法化しており、中絶が合法化されてから73年経った今でも中絶薬は承認されていない。戦後の優生保護法によって、日本ではおびただしい数の「望まない妊娠」が避妊ではなく中絶で調整されてきた。2021年現在までに行われてきた中絶件数は、公式の統計で約4000万件にも上る。
 一方、避妊ピル承認後も、日本人の使用率は非常に低い。表2に2019年の国連の調査を元にG7諸国の避妊率と主な避妊方法を示す。ホルモン作用を用いた現代的手法とされている経口避妊ピル、避妊注射、インプラントIUDの小計も算出した。こうして比べてみると、日本は他の6ヵ国に比べて総避妊率が低く、避妊ピルの3%を含め現代的避妊法の使用率がいたって低く、比較的避妊失敗率の高いコンドームのみに頼っていることが分かる。
 バイエル薬品東京大学の研究チームによる2019年の発表によれば、日本の15~44歳の女性の予定外妊娠は年間推計61万件にものぼり、その分娩や中絶にかかった費用は2520億円、予定外妊娠する可能性のある女性が使った避妊費用は373億円だったという。研究チームの試算では、コンドームより失敗が少ない避妊ピルやIUDなどの使用が10%増えると、避妊費用は109億円分増える一方で、予定外妊娠数は4万件、分娩・中絶費用も181億円少なくなる。(朝日新聞2019年11月27日)
 しかし、日本の避妊ピルはそもそも海外に比べて高額で、すべて自己負担だ。今以上に避妊費用が増えるのでは「より失敗が少ない」方法に切り替える人が増えるとは到底思えない。一方、海外では避妊に健康保険がきく国が多い。G7でもフランス、イギリス、イタリアでは公的健康医療サービスがあるため女性の負担はゼロで避妊を行える。アメリカでは何らかの健康保険に入っている人か、福祉の対象者であれば、避妊ピルを含めてすべての避妊方法が無料になる。ドイツでは20歳までの女性については健康保険で無料になり、福祉の対象者であれば無料でIUDを使える。避妊ピルが無料にならない人でも、6か月分をまとめて払えば50ユーロ(6400円、1100円/月)ですむ。カナダはほとんどの州で有料だが、全国平均価格は経口避妊ピルが月に22ドル(1900円)、IUSは350ドル(31,100円)、IUDは50ドル(4,500円)である。日本の低用量避妊ピルは「薬価基準未収載品」として医療保険の対象外であり、医者が自由に値段をつけ、患者が全額を負担する「自由診療」である。インターネットで調べたところ国内最安と宣伝しているオンライン・クリニックの最低価格は税込み1箱で2,783円、IUSは安いところでも4万円前後、多くのクリニックは避妊目的の場合は5~10万円としている。明らかに日本の避妊はG7諸国の中で最も高い。


なぜ搔爬なのか
 日本は中絶についても健康医療扱いではなく、自由診療、つまり料金は医師の言い値である。世界で幅広い理由で中絶が受けられる80ヵ国について健康保険の適用状況を調べた2018年のグロスマンらの研究によると、34ヵ国が全額保険適用、25ヵ国が一部保険適用であり、合わせて74%を占めていた。中絶薬の世界の平均原価が780円と比較的廉価であることも、保険適用国が増えた理由の一つかもしれない。アメリカなどの10ヵ国は例外的なケースに保険が適用され、日本は基本的に保険がきかない11ヵ国に分類されていた。表3にG7諸国と、日本同様に健康保険のきかないもう一つのOECD加盟国であるオーストリアの中絶費用をまとめた。G7諸国では中絶にも保険がきく国が多い。日本同様に自己負担であるオーストリアの中絶料金は3万9千円から高くても10万8千円程度で、日本よりはるかに安い。明らかに日本の中絶料金はずば抜けて高額である。しかも、日本では今も掻爬が多用されている。
 では、どうして日本の指定医師たちは今も掻爬を使いつづけているのか。あるクリニックは、自院で「ソウハ法」を使用している理由を次のように説明している。

 中絶手術において、ソウハ法がよいか、吸引法がよいかは、経験豊かな医師であれば手術による後遺症の発生に差は全く出ません。手術方法が二つある理由は出身大学で慣習的に決まります。
 多くの大学病院で主として行われる手術法はソウハ法です。中絶手術自体、差がでるような難しい手術ではないので、手術方法による差を出すことは困難です。両方とも簡単な手術方法のため、その手術方法の違いで手術後に後遺症がでるとか、将来的に妊娠しにくくなるなどのようなトラブルの原因や差がでることはあり得ません。もし、トラブルが発生するとしたら、器具の消毒が不完全な場合に生じることが多いです。

 その上で、「当院の方法」を示している。

 原則、ソウハ法です。なぜならば、多くの医師がその方法に慣れており、また手術件数が多いため消毒滅菌に制限のある吸引方法は手術数の多いクリニックには向かないためです。
 手術方法にて後遺症・副作用の差はなく、むしろ清潔さに依存します。ソウハ法の器具はすべて手術のたびに洗浄・滅菌されますが、吸引法は一度長いチューブを通ってビンに回収されます。
 その回収ビンとチューブとの接続部や器械に血液や組織の一部が残り付着する率が高いため(吸引器は毎回洗浄したり、滅菌しないので)不潔な状態がどうしても否定できません。
 少しでも感染を起こす可能性のあることを避けるために吸引法は行っていません。

 このクリニックが搔爬と対比しているのは、先に述べた吸引法のうち電動式の方に違いない。日本で2015年に承認された手動吸引器はディスポーザブル(使い捨て)なので、洗浄も滅菌も不要だからである。「不潔な状態」が否定できないとこの医師が言うのは、あくまでも使い捨てにしない電動吸引の部品の話であり、1回3万円のコストがかかる手動吸引器という選択肢は全く念頭にないようである。


世界では助産師も中絶提供者
 また、このクリニックは「手術数の多い」ことも自ら公表している。年間取扱件数は6000件であり、価格はすべてコミで一律19万8000円に設定されているので、年間で約1億2000万円を売り上げている計算になる。搔爬に必要なのは、何度でも使い回せる数点の金属製の医療器具と麻酔薬、消毒・滅菌剤くらいである。搔爬の利益率が非常に高いことは言うまでもない。
 なお、このクリニックの「経験豊かな医師なら後遺症に差は出ない」という表明は、すべての医師が未経験だった時期を経ている事実を無視している。現実には、未熟な医師が生身の女性の身体で経験を積んでいるので、一定数後遺症が生じている可能性は大である。
 それよりも、最初からポッツ博士が「二回もやればマスターできる」と証言していた手動吸引法にしておけば、より簡単で安全であり、取り扱える職種も増える。実際、世界保健機関(WHO)では、妊娠初期(12週まで)の「安全な中絶」方法は吸引と中絶薬だとして、「搔爬は古い術式で(もし今も使われているなら)安全な方法に置き換えるべき」(WHO,2012)と指導している。また、WHOは吸引と中絶薬の処方は特別な医師に限定する必要はないとしている。WHOの2015年のマニュアルによれば、妊娠初期の吸引は助産師レベル以上が可能だし、妊娠初期の中絶薬の処方は補助看護師(日本の准看護師)以上の医療従事者であれば産婦人科専門医と同等に安全に行えるのである。
 ところが、日本ではたとえ産婦人科専門医でも、指定医師でなければ中絶を行えない。指定医師は膨大な数の中絶を独占し、利益率の高い危険な搔爬を行いつづけてきたのである。


日本の中絶は安全か
 では、搔爬が多用されている日本の中絶は本当に安全だと言えるのだろうか。日本で初めて中絶医療にどのような手法が使われているのかを調べたのは、2010年に実施された「わが国における中絶医療実態の調査研究」であり、私も研究協力者として参加している。この調査の結果では、妊娠初期の中絶の方法として医師たちが好んでいたのは搔爬単独が35%、搔爬と吸引の併用が48%、吸引単独が11%だった。この調査結果を2012年4月19日の朝日新聞は「日本の中絶 母体に負担」の見出しをつけて、「日本で行われている人工妊娠中絶では、世界保健機関(WHO)が安全と勧めている『吸引法』は1割に過ぎず、事故が比較的起きやすい方法が8割を占めていた」と報じた。
 翌2013年に日本産婦人科医会の医師たちによる「人工妊娠中絶実態調査」が行われた。その分担報告書を書いた医会の医師たちは、搔爬法と併用法を合わせると約8割という上記研究と同様の結果を示しながら次のように結論していた。

我が国の人工妊娠中絶の方法は、妊娠初期・中期共に欧米諸国と異なるが、安全性には大きな問題はない。しかし、妊娠初期の手術法は掻爬法よりも吸引法の方がより安全性が高いことが明らかになった。

 搔爬法よりも吸引法の方が安全性が高いことが明らかになったのであれば、搔爬が多いのは「問題」ではないのか。この調査結果を精査した結果、驚くべきことが分かった。この研究では比較対象に選ばれた論文の選択基準が不可解で、データの選定や比較方法、引用方法にも不適切で不自然な点が散見され、印象操作を行ったとしか言いいようがない箇所がいくつもあり、合理的とは言いがたい断定的な結論を出していたのだ。「搔爬法よりも吸引法が安全」としながら、「日本の中絶の安全性に大きな問題はない」と相矛盾した結論を出していることも勘案すれば、「搔爬が多くても日本の中絶は安全だ」という結論を導き出すための調査だったと疑わざるをえない。(塚原久美「日本の中絶の安全性は確認されたのか」『女性学』28号、2021年)


中絶薬の遠隔診療
 国際産婦人科連合は、WHOがCOVID-19のパンデミック宣言を行った2020年3月に「中絶は必要不可欠な医療」だとして、臨時措置として中絶薬の遠隔診療(オンライン処方)と自己管理中絶(自宅中絶)を推奨した。さらに今年3月には「1年間実施してきて安全性と有用性は確認された」として、この方法を恒久化することを奨励した。その裏には、中絶薬(ミフェプリストンとミソプロストールのコンビ薬)が2019年のWHO必須医薬品コアリストに移されたという事実がある。コアリストに収録される薬は、医療従事者の監視下でなくても服用できるほど安全で、有効性が抜群に優れているばかりか安価で使いやすい必須中の必須の薬なのである。
 海外では中絶薬の普及によって中絶は早期化されており、「中絶」そのもののイメージも転換されてきた。カトリック教徒の多いアイルランドで、1980年代に憲法に書き込まれた「胎児の権利」が2018年の国民投票で廃棄され、中絶が合法化されたのも、現代の「中絶」はかつてとは全く別物だと認識されるようになったためだろう。


女性の権利としての中絶
 国連レベルでも、ここ数年のあいだに女性と少女の中絶の権利が強調されるようになった。2016年の国連社会権規約第12条(性と生殖に関する健康権)に関する一般的意見22号で、「女性と少女が安全な中絶サービスと質の高い中絶後のケアを受けられることを保障し、女性が自らの性と生殖に関する健康について自律的に決定する権利を尊重する」ことが書き込まれた。2019年の国連自由権規約第6条(生命への権利)に関する一般的意見36号でも、「女性又は少女が中絶にアクセスすることを否定する障壁を撤廃する」ことや、「科学的根拠に基づいた情報及び教育、並びに様々な手頃な価格の避妊方法へのアクセスの確保」、「スティグマの防止」なども書き込まれた。中絶の権利はもはや揺るぎない「人権」なのである。さらに上記を自由権規約に書き込む前提として、国連における「人権」とは「生まれた後の人間」のみが有するということも確認された。「胎児生命」を保護法益とした刑法堕胎罪は、女性に対する差別であり権利侵害なのである。
 日本でもようやく第三次中絶革命の申し子である中絶薬の承認申請が出されようとしている。115年前に導入された古い搔爬を前提としてきた法律と医療を全面的に見直すべき時が、まさに今、訪れている。同時に、女性自身が知識をつけ、自分の生殖能力を自己管理できるようになることで、真のジェンダー平等をめざしていくべきだろう。

*1:埼玉医科大学総合医療センターの高井泰、中村永信による調査結果報告「人工妊娠中絶の合併症に関する実態再調査」日本産科婦人科学会誌vol.73, No.12, pp.1746-51, 2021