リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

谷口弥三郎語録

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まだまだあるんだけど……とりあえず。


第2回国会 参議院 本会議 第52号 昭和23年6月23日
優生保護法の説明

027 谷口弥三郎
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○谷口弥三郎君 只今議題となりました優生保護法案に関しまする厚生委員会における審議の経過と結果を御報告申上げます。本法案は本院議員提出法案でありまして、谷口より提案か理由及び内容の説明があつたのでございます。その要旨を簡單に申上げますと、我が國は敗戰によりまして、その領土の四割強を失いました結果、甚だしく狭められました國土の上に、八千万からの國民が生活しておりますために、食糧不足は尚今後も当分持続するのは当然であるのでございます。尤も我が國の天然資源は、貧弱ではありますが、まだ十分開発利用されてはおりませんので、或いはその方面に対して灌漑、発電などの施設をなしますとか、漁業の開発をいたしますとすれば、相当の、約八千万くらいの人口は自給自足が將來でき、得るようになるとは思うのでございますが、現在すでに我が國の人口は昨年の十月調査によりましても七千八百万、その後の出生或いは引揚者を加えますと、現に八千万を少し越しておるような飽和状態であるのでございます。從つてこれを解決する上におきましては、或いは食糧の増産を特にやりますとか、移民の懇請をするということが必要でございますが、尚第三の対策といたし産兒制限問題も考えられるのでございます。併しこの産兒制限は極めて注意をいたしませんというと、子供の將來を考えるような比較的優秀な階級の方のみが産兒制限をいたしまして、無自覚者や低能者などが行いません結果、國民素質の低下即ち民族の逆淘汰を起す虞れがあるのでございます。又現に我が國におきましては、すでに逆淘汰の傾向が現われておるのでございます。例えば精神病にいたしましても、或いは先天性の失明者などにいたしましても、段々と増加いたしておるのでございます。尚精神薄弱兒などにおきましても非常に段段殖えて参りまして、以前は浮浪兒の約半数が精神薄弱と唱えられておりましたが、私共が先月九州各地の厚生施設設を巡視して見ますというと、福岡の百道松風園とか佐賀の浮浪兒收容所などにおきましては、その浮浪兒の八〇%までが精神薄弱即ち低能であるというような状況でございます。從つてこの際どうしても先天性の遺傳病者の出生を抑制するということが民族の逆淘汰を防止する上から申しましても、亦八千万以上に人口が増加するのを幾らかでも抑制する上において必要と存じておるのでございます。尚これまでは母性の健康までも度外いたしまして、ただ出生増加に專念いたしておりました態度をこの際改めて頂いて、母性保護の立場から或る程度の人工妊娠中絶を認めて、いわゆるそれによつて又人口の自然増加を抑制したいというのがこの法案提出の大要であるのでございます。
 この法案の内容を簡單に申上げますと、これは七章、それに附則を加えまして三十七條から成つておるのでございます。
 第一章の総則におきましては、本法案の目的を明らかにいたしまして、本法な優生学的の見地から、不良分子の出生を防止し、尚同時に母体の健康を保護するということを目的にいたしておるのであります。そうじて優生手術と人工妊娠中絶の定義を明らかにいたしております。
 第二章におきましては、優生手術の章でございますが、この第三條に、同意を前提といたしました任意の優生手術を規定しておるのでございます。第四條から十條に亘りましては、社会公共の立場から、強制的に優生手術を行い得るという規定を挿入したのでございます。尤も任意の優生手術におきましては、本人が事の是非を十分に判断した上で、同意するということが本質的な要素でありますが、例えば未成年者或いは精神病者、精神薄弱者のように、自分だけで意思の決定ができない者につきましては、これを認めぬ。任意断種を行わせぬということにいたしております。そして以てこの制度で、相続権侵害などに惡用されぬようにというような注意を加えておるのでございます。第四章以下のいわゆる強制断種の制度は、これは社会生活をいたします上に、甚だしく不適應な者とか、或いは生きて行くことが第三者から見ても極めて悲惨な状況を呈する君に対しては、優生保護委員会の審査決定によつて、たとえ本人の同意がなくてもその者には優生手術を行い得るというようにいたしておるのでございます。これは惡質な、強度な遺傳因子を國民素質の上に残さないようにというのが目的であるのでございます。この場合には社会公共の立場からとは申しながら、本人の意思を無視するのでありますからして、対象となる病名を別表として法律に列挙いたしておるのでございます。そうして、尚本人或いは関係者が不服の場合には、再審制度と、その上に裁判所の判決を求めるというようにいたしておるのでございます。尤も強制断種の手術は、專ら公益のためにしますので、その費用は國庫が負担するということにいたしておるのでございます。
第三章の母性保護の章におきましては、人工妊娠中絶ということについて規定をいたしておるのでございますが、これまでは妊娠中絶と申しますのは、医学上の立場からいたしまして、母体の生命を救うためにのみ行われておつたのでございますが、今回はこれを今少し拡めまして、そうして母性保護という方面にまで拡張いたしておるのでございます。即ち客観的にも妥当性が明らかな場合には本人及び配偶者の同意だけで人工妊娠中絶を行い得るということにいたしておりますが、荷その他の者におきましては、地区即ち保健所内にあります優生保護委員会の判定を求めるということにいたしております。
 第四章は、優生保護委員会に関する規定でございますが、これにはこの委員会は自己の責任におきまして、審査決定をなし得る処理機関といたして、中央、都道府縣及び地区の三種にいたしております。
 第五章におきましては、優生結婚相談所、第六章は優生手術又は人工妊娠中絶を行いました場合の医師又は指定医師の届出、秘密保持というようなものを規定しますし、第七章に罰則を規定いたしておるのでありまして、これが大体の内容でございます。本法案につきまして、六月十九日以來三回に亘りまして厚生委員会の各委員は、極めて熱心なる質疑應答をされたのでございます。詳細は速記録に讓りまして、その中の質問の二三を拾つて見ますと、生殖を不能にする手術というものが、一体どういうものであるかというお尋ねがございましたのに対しまして、これは生殖腺を除去しませずに、男子では精子管、女子では卵管を結びましたり、又は切断いたしまして、そうして精子卵子が通過することのできんようにする手術であるという答えでございます。次には精神病者の手術をする場合には、本人が非常に狂暴である場合には危險ではないかというようなお尋ねがございましたのに、この手術をやりますまでは、そういう場合には麻酔をかけて行いますので、而もその手術は極く簡單で男子でも五分、女子でも十分くらいで手術ができるし、生命上の危険はないというような答えがあつたのでございます。第三の質問には、第一條の不良な子孫というのは一体どういう意味かというお尋ねに対しまして、これは優生上の見地からの不良でありまして、惡質な遺傳性の疾患を指すのであるとの答弁でございます。第四には本法案場は、遺傳学を前提としてそれを根拠としてできておるが、白痴とか、魯鈍のような場合には、絶対的にこれは遺傳するものかというお尋ねに対しましては、遺傳につきましては特別の考慮を拂つております。尤も両親が白痴のような場合には約七%くらいは白痴の子供が生れるということになつておりますので、この点は審査委員会で愼重に審査をいたしました結果、手術を決めるということにいたしたいという答弁があつたのでございます。
 又優生保護委員会の委員に裁判官とか檢察官を入れる理由はどうかというお尋ねに対しまして、例えば強姦などによりまして、妊娠した場合には、民生委員とか医者だけでは不十分であるから、どうしても裁判官、檢察官を加えて置く必要があるというような説明があつたのでございます。その外優生結婚相談所には私立は認めんかというお尋ねがありましたが、これは國立以外にも厚生大臣が認可によつて許すことができるようになつております。一定基準の設備をしますというと、申請をして私立でやることができる。ただ余り廣告的にならんようにというような説明があつたのでございます。その外貧困の理由のみで本手術はできんかというお尋ねがございましたが、貧困というのみでは本手術は受けることはできん。又外國におきましても、そういう例がないという答えであるのでございます。その外社團法人であります都道府縣の医師会をしてこの医師を指定させる、指定医師という制度がございますが、それで医師を指定せしむるよりか、都道府縣の優生保護委員会その他のもので指定させた方がよくはないかというお尋ねがありましたに対しまして、社團法人であります医師会は、現存都道府縣に一つずつ設置せられておるのでありまして、いずれも公的の存在でありまして、会員は任意加入でありますために、全医師には及んでおりませんけれども、役員は官公私立又は組合立の病院、医院の医師とか、或いは学界人でありますから、指定の際には会員であると否とに拘わらず、必ず公平に医師の技術と設備等を参酌して指定しますので、医師の技術とか設備などを最もよく知つておるのは医師会でありますので、從つて医師会をして指定せしむるのが妥当であるというような答えであつたのでございます。又優生保護法を実施した場合には、予算はどのくらい要るかというお尋ねに対しまして、約二千八百万円程度要る予定であるという説明がございました。その外の質疑應答は省略書さして頂きます。
 以上の質疑がありました後に討論に入りましたが、格別討論も申出がありませんので、直ちに採決に入りました。全会一致を以て原案の通り可決すべきものと議決した次第でございます。以上簡單でありますが、これを以て御報告を終ります。(拍手)
 第二に予防接種法案につきまして御報告いたしたいと思います。予防接種法案の厚生委員会におきます審議の経過並びに結果を申上げますと、この法案は六月十日に厚生委員会に本審査付託となりまして、六月二日及び十九日の二回に審議をいたしたのでございます。六月十二日厚生大臣からいたしまして、この予防接種法につきまして提案理由及び内容の御説明があつたのでございます。
 その概要を申上げますと、我が國の傳染病発生の趨勢は戰爭末期からだんだん増加の傾向でありまして、終戰後の社会的混乱の結果昭和二十年、二十一年と引続いて傳染病の爆発的発生と蔓延を惹起したのでございます。加うるに戦争によります疲弊、特に衛生施設の不備とか医薬品の不足というような惡條件を伴いましたために、誠に憂慮すべき状態になつたのでございますが、幸いにも連合諸國の強力な援助を受けまして、又國民の協力、当局の努力などの結果によりまして、昨年に至りましては極めて急速に非常な減数を見たのでございます。かような傳染病の流行の終熄いうことに対しましては、外國からも非常に賞讃の言葉も得ておるような次第であるのでございます。併し本病が昨年におきまして可なり減数をいたしまして、而も大水害のありましたにも拘わらず少かつたということは、これは主として予防接種が可なり廣く行われたという結果が非常に効果をもたらしたものであると思つておる。從つて政府としては傳染病対策としてこの予防接種を十分に行いたい、今後は天然痘に限らず傳染病の虞れあるというような疾病で、学界におきましてその免疫の効果を確認されておりますものに対しては、全面的にこれを行いたいということが希望であるというように説明をされたのであります。
 この法案の内容を簡單に申上げますとこれには先ず第一に定期に予防接種を行いまするのには、痘瘡、ジフテリア、腸チフス、パラチフズ、百日咳、結核などであります。臨時に行いますところのものは発疹チフス、ペスト。コレラ、猩紅熱、インフルエンザ、及びワイル氏病ということにいたしてあります。第二に予防接種を行います義務を市町村長といたします。市町村長は保健所長の指示を受けてこれを行うことにいたしておるのであります。併し厚生大臣が必要と認めました場合には、都道府縣知事に命じて臨時の予防接種を行うこともできるというようになつております。又都道府縣の知事も病氣が蔓延するような場合には、臨時に市町村長に予防接種を行うように規定をいたしております。予防接種を受けました者に対しましては、証明書を與えて、市町村には台帳を作りまして記録をはつきりといたしております。(「簡單明瞭に願います」と呼ぶ者あり)以上が法案の内容でございます。
 これに対して熱心な質疑應答があつたのでございますが、例えば各注射をやるということに対しては、可なりの人数を要するのだから、できるだけ簡單に、或いはこの注射の時期などに対しては、多数の人数を用いて、短かい時間にやらせることが必要であろう、又これに対しては、生活費のない者にはどうするか、或いは生活費のある者から、幾らくらい取る予定であるかというようなことに対しての質問がございましたが、それに対しておのおの説明があつたのであります。例えば金のある方に対しては、ジフテリアの場合は三円二十四銭とか、痘瘡は九十銭取るなどの説明がございました。両今後予防接種をいたします場合には、母子手帳にこれを書いて置くというようなことにいたしております。以上その他詳しいことは御迷惑であるけれども、速記録を見て頂くことにいたしまして、これで省かせて頂きます。
 質疑を終えまして討論に入りましたけれども、格別の討論もございませんので、直ちに採決に入りまして、全会一致で原案通り可決すべきものと決定した次第でございます。以上を似て終ります。(拍手)


経済条項を入れるために
第5回国会 衆議院 厚生委員会 第20号 昭和24年5月16日

015 床次徳二
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○床次委員 優生保護法につきまして数点お尋ねいたしたいと思いますが、第一は、優生的立場の問題から取上げてみたいと思うのであります。第三條の「遺傳性病的性格」の字句を「遺傳性精神病質」に改めたことは説明にありましたが、かかる病気を「有し、且つ、子孫にこれが遺傳する慮れのあるもの」という字句を削りまして、單に「有しているもの」に改められました結果、少し範囲が広くなると思いますが、それを予想してお考えになつておるのでしようか。
016 谷口弥三郎
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○谷口参議院議員 これは前のように「子孫にこれが遺傳する虞れのあるもの」といたしたのでは、非常に限局されまして、むろん調査をするのにも非常にめんどうでありますが、特に非常に厳選されるというようなことになりますので、今ごろの状態から考えましても、遺傳性の精神病というようなものであれば、「遺傳する虞れのある」とか言わずに、そういうものを持つておるものというように廣げた方がよかろうということで廣げるようにいたしたのでございます。
017 床次徳二
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○床次委員 次に第四條の問題に移りますが、第四條の一番大きな問題は、今までのものは医師が「申請することができる。」とありましたのが、「申請しなければならない。」となりまして、いわゆる強制という形になつて参つたのであります。この強制が行われることに対しましては、一般患者と申しますか、これを受けまする者、あるいは一般国民の立場におきましても十分事柄を了解しなければならないと思うのであります。ただいまの第三條にも関連しておりますが、範囲が多少廣くなつた。廣くなつたことにつきまして一般の者がよく理解をすればよろしいと思うのでありますが、はたして十二分に今日理解することができるようになつたかどうかということをお尋ねいたしたいと思います。元來私は強制が考えられるようになつたことに対しましては非常に賛成なのであります。今日ここまで本法が発展して参つたことに対しては、私個人として非常に喜びでありますが、はたして一般国民がそこまで理解するようになり得たかどうか。特に直接関係があります指定せられました医師が、その医師の義務といたしましてここに立法することが、はたして上手にでき、確実に職責を果し得るかどうかについて多少懸念を持つのでありますが、これに対して御意見を承りたいと思います。
018 谷口弥三郎
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○谷口参議院議員 ただいまの御質問は、私どもも実はそう考えるのでありますが、御承知のように、この第四條におきましては、医師がそういう病名を確認いたしました場合に、公益上必要と思えば審査することができるというような、医師の任意判定にまかせておつたのでありますが、かかる病者は全部ぜひともそれらの子孫の出生を防止しなければならぬという立場から申しますと、医者に任意判定を下させるということでは不十分と存じまして、ぜひ医者に申請しなければならないという義務をつけることがほんとうに公益上必要であろうというようなことで、申請しなければならないことにいたしたのであります。なおまた医者の立場から申しますと、申請することができるというくらいの程度では、申請してもせんでもよい、あまりしていると患者の方から恨まれるというような点もありますが、申請しなければならないと法律で義務づけられておれば、安心して申請することができるという点があると思います。なおまた患者の立場から申しますと、患者自身には、これはよほど啓蒙いたしましたり、相当お話しなければならぬと思いますが、とにかく公益上必要なものにはぜひ十分啓蒙して、この意に沿うて強制優生手術ができますようにいたしたい、こういうふうな考え方であります。
019 床次徳二
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○床次委員 ただいまのお話まことにけつこうだと思いますが、ここに強制し得るようになるためには十分な準備が必要だと思います。今回の改正によりましてこれが実施されることになりますれば、はたして国家において十分医者に啓蒙していただく。あるいは現在のお医者さんは十分啓蒙されておるかもしれませんが、遺憾のない程度にまで医者の方が周知しておるかどうか。また國民に対しましてもその周知の方法を講じておるか。あるいはなければ予算をとつてこれに対して十分なることをなさる必要があると思いますが、これに対する御準備はいかがであるか、お伺いしたいと思います。
020 谷口弥三郎
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○谷口参議院議員 ただいまのお尋ねはしごくごもつともと思つて、大いに賛意を表する次第でありますが、実はこれに対しまして特別に予算というほどのものはとつておりません。ただこの優生保護法におきましては、ぜひあらゆる方面に徹底せんければならぬというので、一昨日も申し上げたようにわずかばかり、百万円ばかりの金をもらつて、文書その他印刷物をもつて、あるいはいろいろ機会に啓蒙するというぐらいで、まだ予算もできておらないのでありますから、その点は御了承願います。
021 床次徳二
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○床次委員 この問題につきましては、まずお医者さんの十分納得できる程度の啓蒙をぜひやつていただきたいと思うのであります。
 なお参考までに伺いたいのでありますが、現行法の四條で、お医者さんが、どれぐらい申請をしておるかということを、これはむしろ御当局の方に承つた方がよいかと思いますが、承りたいと思います。
022 三木行治
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○三木(行)政府委員 前年度におきましては優生手術は二十七件であります。
023 床次徳二
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○床次委員 ただいまの事項に関連いたしまして、これは医師に義務があるわけでありますが、申請しなかつた場合には、義務違反という問題も出て参るのであります。これに対しまして医師に対する励行の規定、あるいは制裁というものはどういうふうになつておるか伺いたいと思います。
024 谷口弥三郎
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○谷口参議院議員 ただいまのお尋ねでありますが、これは医師に対して義務づけいたしておりまして、医師に注意を與えはいたしますが、別に特別の処罰をいたすということまでにはしておりません。
025 床次徳二
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○床次委員 次にただいまの強制申請に関連いたしますが、それぞれ、手続によつて医師が申請しました場合は、審査が行われる。その審査に対して不服の場合には、さらに訴えをすることができるというのがこの第九條にありますが、現在この第九條の規定はどんなふうに運営されておりますか。現状をひとつ御説明いただきたいと思います。こういうような事例があるでしようか。あるいはどうしても不服として、最後に訴えを起し、そのあかつきにおいて納得して手術を受けた。そういうことがありますか、どうか。
026 三木行治
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○三木(行)政府委員 御指摘になりましたような件は、ただいままでのところ一件もございません。
027 床次徳二
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○床次委員 次に十三條の問題に移りたいと思いますが、十三條の問題はいわゆる優生の問題と、なおあわせて人口の問題も同時に含んで考えておられるように思うのであります。一應優生の立場において関連しておりますが、御説明をいただきたいと思うのであります。從來の規定でありますと、十三條の二号と三号は、およそ「分娩によつて母体の健康を著しく害する慮れのあるもの」という字が書いてありますが、今度の改正法によりますと、「妊娠の継続又は分娩が母体の健康を著しく害するもの」ということになつておりまして、「虞れのあるもの」という字が入つておらないのであります。これによつて適用の範囲が廣くなつたか、狭くなつたかということを承りたいと思います。
028 谷口弥三郎
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○谷口参議院議員 ただいまのお尋ねに対してお答えいたします。これまでの優生保護法におきましては、第十三條の第二号に「分娩後一年以内の期間に更に妊娠し、」あるいは第三号に「現に数人の子を有している者が更に妊娠し、」というようなふうにいたしておつたものを「一年以内」、「数人の子」というのをとりました。そうしてその先の方に「妊娠の継続又は分娩が母体の健康を著しく害するもの」として「虞れのあるもの」、というのを除けましたのは、「慮れのあるもの」と書きますと、いかにもよほど先のことを考えるようなふうになりますので、「著しく害するものという現在並びにごく近い將来を入れるくらいの程度の方がよくはないかというので、「慮れ」をとつたのであります。
029 床次徳二
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○床次委員 ただいまの御説明によりますと、少し適用範囲が狭くなつたような感じを受けるので、重ねて恐縮でありますが、別の立場から同じ質問をしてみたいと思います。それは医学的適應によりまして子供をまだ一人も持たない、最初の子供を持つたときに医学上の理由でこれを妊娠中絶する。やはり母体に対して相当障害する場合に行われるのではないかと思います。これはやはりどういうものでありましよう、母体の健康を署しく害するときにおいて適用しておられるのではないかという気がするのでありますが、ただいまその「著しく害する虞れのある」という言葉とその間に軽重があるかどうか。二号、三号の場合と症状において軽重があるかどうかということをおたずねいたしたい。
030 谷口弥三郎
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○谷口参議院議員 ただいまの第十三條の二号、三号と申しますのは、私ども提案者として考えておりますのは、これは主として病気のないもの、病気というほどのものでないもの、病気であつて母体の生命を危険にするというのがこの第十二條の任意手術の方で、人工妊娠中絶をやりたい。第十三條の方は、病気ではないが、母体が妊娠のために著しく害されるというか、まだ病気というところまでなつておらない程度のものに対してこれを行いたい。從つて一人の指定医のみではいかぬから、他の医者の意見まで聞くというふうにいたしておるのであります。
031 床次徳二
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○床次委員 ちよつと医学的の理論についてはわかりかねるのでありますが、今までは一人の子供、最初の子供を生む場合、あるいはすでに数人の子供を持つておつて、そうして妊娠した場合に中絶する場合、この場合には程度があるでしようが、数人の子供を持つておれば比較的軽くても妊娠中絶ができたという解釈なのでありますが、それが現行法の解釈でありますが、どんなふうに扱つておられますか。
032 谷口弥三郎
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○谷口参議院議員 実はこれは初妊の場合は別にいたしまして、一年以内とか、年子を持つとか、数人の子供を有するというところに持つて参りましたのは、主としてただいまのような関係でありまして、特に病的というようなわけではないのでありますから、数人の子がある場合には、一人の子よりも容易に流産を許すというような気持は十分あるのでございます。しかしそれは一つの含みでありまして、数人の子を持つているような方が妊娠をすれば、健康はきつとなお一層弱るだろう、またその後の母体の保護どころか、子供の養育まで困難しはせぬか、年子の場合もそれに相一致するというのでありまして、特別の差異は置いておらぬのであります。
033 床次徳二
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○床次委員 これは現行法の字句の問題でありますが、どうも現行法ではあまりはつきりとこれを現わしていなかつたような気がするのであります。それで改正法と比べて見て私の疑問が起つたものかと思つております。
 さらに次の問題を伺つてみたいと思うのでありますが、次は人口問題としての立場において考えられている向きが確かにあると思うのであります。この点本法は元來優生保護法という形になつておりまするが、從來これが人口問題的の立場において、便宜的に人工流産が範囲を廣く認められたという点があつたかと思うのであります。今回の改正法はさらにそれを多少廣くしようというところにねらいがあると思いますが、さように解釈してよろしいものでございましようか。
034 谷口弥三郎
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○谷口参議院議員 実はこの優生保護法は、御承知のように優生と母性の保護の二つを兼ね備えたものでございまして、人工妊娠中絶は、優生の必要からやる場合と、母性を保護する場合と、二つあるのでありまして、母性保護という立場から、母体の健康を害するものというのが特にあつたのでございますが、今回特に経済方面まで加えましたのも、ある一面から申しますと、人口政策的にも聞えますけれども、やはり母性の保護ということを土台にして、これに加えられておるのでございます。だから人口問題を直接に扱つているのではないのであります。
035 床次徳二
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○床次委員 その点はよくわかりましたが、母性の健康を保護するために妊娠に対していろいろ準備する、場合によつては妊娠中絶をするというようなことも考えられますが、しかし妊娠中絶によつて健康を害せられるかもしれないという人は、妊娠する前に受胎調節を行うことが普通であろうかと思います。從來は実は受胎調節、すなわち受胎を予防するということは一般的には認められていなかつた、違法な行為であると考えられておつたのでありますが、最近いわゆる受胎調節薬が発賣を認められたことにより、結果において受胎調節をすることは社会通念上適法になつたと解釈できると思うのであります。從つて、妊娠によつて健康を害せられるおそれがある人は、妊娠中絶をなすよりも、むしろ予防的な立場においてまず受胎調節をなすべきものである。今度の改正法によつて妊娠を中絶する人は、受胎調節を失敗したというか、やるべき予防が効果を奏しないで、妊娠中絶をせざるを得なくなつた人でありまして、予防が徹底すれば、この適用は実際にはそう多くなくていいはずでありますから、受胎調節の失敗者がこの適用によつて人工妊娠中絶を受けるのであると考えてよいかどうか、お尋ねいたします。
036 谷口弥三郎
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○谷口参議院議員 ただいまのお話はしごくごもつともで、私どもも実はそういうふうに考えているのであります。人工妊娠中絶ということは末の末の話であつて、できるならば受胎調節によつてやることが、母体を保護する上から申しましても、母体の健康を害させぬ点から申しましても、危険のない点から申しましても、最もよいと思つておるのであります。ただ、ただいまおつしやつたように、いわゆる失敗した、目的を達しなかつたという場合に、これが適用されるようになりたいと思います。從つて今回の改正案の第二十條の優生結婚相談所というところにおきましては、特に受胎調節という点を強調いたしまして、受胎の調節に対する的確なる間違いのない指導法をやるようにしたいと思います。なお現在の國情からいたしまして、優生結婚相談所のみでなく、進んでもつと各指定医とか、各方面にまで受胎調節の指導をやらせなければならぬと考えておりますので、しごく同感でございます。
037 床次徳二
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○床次委員 次に主として第三号の問題についてお尋ねいたしたいと思うのであります。現下母性保護という問題が今大きな問題でありまするが、同時に人口問題もずいぶん論じられておるのでありまして、この問題は同時に人口問題的な立場からも見ることができると思います。この規定が人口問題の一つの具体的な政策として新聞その他にも報道せられまして注目をひいておるところでありますが、ここには「妊娠の継続又は分娩によつて生活が著しく窮迫するもの」と書いてあるのでありまして、母体の保護というよりも、経済的原因を理由として妊娠中絶ができるという感じを強く受けるのであります。経済的な問題でありまするならば、本来社会保障の一つの法として生活保護法というものがありますから、生活に困難しておりますならば、生活保護法によつてそれぞれ給付を受けまして、これを分娩し養育するのが建前であると考えるのであります。しかし時局を反映いたしまして、人口問題的立場から妊娠中絶を認めるということも、あわせて加味されたのではないかと推測するのであります。單なる母性保護という以外にそういうものも含まれているかのように見受けるのでありますが、しかしながらここでは経済的原因だけが認められている。人口問題の立場からいたしますると、出産というものは元来いろいろな立場から制限し得るのではないか。まず予防の立場から申しまして、社会が望ましくない子供、両親が希望しない出産に対して受胎調節が行われておることを考えますると、この三号は幅が挾すぎるのではないかと考えるのであります。特に経済問題だけお取上げになつて、しかもこの経済問題を著しく窮迫という限度においてお認めになつたのについては、いろいろお考えがおありかと思いまするが、御説明いただきたいと思います。
038 谷口弥三郎
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○谷口参議院議員 第十三條の第三号に、生活が窮迫状態に陥るものとしてあげてありますのは、もちろん経済的関係も大いに加味しておるのでございますが、実は前回の優生保護法をつくりました当時に、やはり貧困というのを入れることがきわめて必要であるということも考えたのでございますが、その当時におきましては、貧困というようなことを人工妊娠中絶の適應症にしておる所は世界中どこにもない。何かスエーデン、ノルウエーでその前年の國会に貧困を適應として出したところが、國会で否決された。從つてそれを加味するために、それをカモフラージするために、ほんとうに貧困であれば、母体も妊娠中に十分な栄養がとれぬから健康を害するだろうというようなところから、健康を害する者というのを貧困のかわりに入れて通過をしておるということを聞いておりますので、実はそういうようなものを加味させて、第二國会のときには出したのでございます。ところがその後の情勢からいたしまして、どうしても経済的方面も一緒にはつきりと書いてくれ、そうせぬと現状においてはどうしても末端において非常に困るからというような要望が非常にありましたので、母性保護という立場だけではいくらか——むろん不十分とも思いますけれども、やはり生活が著しく窮迫状態になれば、母体の健康もそううまくは行かぬだろう。ことに生れる子供の養育の点において非常な心配があるだろうというようなことを加味いたしまして、これは單に母性保護というのみではなしに、ただいまお話になりましたような、いわゆる生活問題、経済問題をかなり取上げて一緒に加えたような次第でございます。
039 床次徳二
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○床次委員 現在相当産兒制限の問題が論じられておるのでありますが、本法によりまして比較的生活に困難を感じておる者だけが妊娠中絶ができる、そうでないものはできないという結果に見えるのでありましで、この点はいわゆる人口問題の立場から見ますと、少し妥当でないのじやないかという気がするのであります。先ほども申し上げましたように、現在の過剰人口に対してある程度まで抑制を必要とするものは、社会が希望しないところの子女あるいは両親が希望しないところの子女というものが抑制せられる最初じやないか、もちろん優生的なものはその先にあるわけでありますが、そういう人たちから抑制して行つていいのであつて、必ずしも生活が困難だからとい理由でもつてこれが行われるのは適当でないような気がするのでありますが、いかがでございましようか。
040 谷口弥三郎
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○谷口参議院議員 私どもにおきましても十分その点は考えておりまして、貧困者全部にこれを適用したいというような気持はないのでございます。やはり貧困者のうちにも優生なものはぜひ残したい。また何かの方法をもつてそういう方には妊娠を継続してもらい、分娩をしてもらつて、その子供は何かの方法で育英方面におきまして十分お世話ができるようにいたしたいと思つておりますので、これは委員会におきまして審査申請をされました場合に、同時にその家の状況、あるいは兄弟の模様その他を調べまして、優生的のものはなるべく人工流産をさせぬようにしたいというふうに考えておるのであります。
041 床次徳二
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○床次委員 ただいまの妊娠中絶の問題は、これを刑法上から見ますと、すぐ堕胎罪の問題になつて参ると思うのであります。この点法務廳の方の御意見も伺いたいと思いますので、法務廳の方の見える間、次の問題についてちよつと質疑をいたしたいと思うのであります。先ほどもちよつとお話がありましたが、優生思想を普及せしむるために優生結婚相談所というものが今後大きな役割を果すと思いますが、この優生結婚相談所の現在の開設状況といいますか、活動状況につきまして、当局の方からお話を承りたいと思います。なお國民の保健指導のために保健所というものができておりますが、将來保健所と優生結婚相談所というものがどんなふうな関係で働いて行くかということについて承りたいと思います。保健所はもとより本來の職務上当然ここに規定してありますようなことも行うべきであると考えるのでありますが、両者がともに働きますれば、相当これは普及指導上にも役に立つと思います。御当局の方針を承りたいと思います。
042 三木行治
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○三木(行)政府委員 優生結婚相談所の普及状況でありますが、これはこの法律の制定当時に所要の予算を要求いたしたのでございますが、予算が成立いたしませんでしたために非常に窮屈でございます。しかし各府縣が熱心に努力をいたしておりまして、ただいまのところ活動いたしておりまするものは十二、三縣でございます。なおこのほかにこの法律に基く民間の優生結婚相談所は四縣それぞれ活動いたしております。
 なお保健所とこの優生結婚相談所との関係でございますが、この法律によりまして優生結婚相談所はこれを保健所に附置することに相なつておりますので、二枚看板でやつて行くということになるわけであります。しかしただいまのところでは予算がございませんので、保健所の母子関係担当の連中その他の職員がこの仕事に従事いたしておるというような次第でございまして、保健所活動というものと一体的に運営いたすことによりまして、この優生結婚相談所は相当に発展できるものである、かように考え、また奨励して行く所存でございます。
043 床次徳二
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○床次委員 今回の改正法がもしも実施せられるとなりましたならば、先ほどもお話がありましたごとく相当予算におきましても拡充せられなければならないと思うのであります。特に強制という問題があります関係上、ただいまお話の保健所との併置もまことにけつこうでありますが、その内容におきまして十分活動ができるようにされるところの準備が必要だということを申し上げたいのであります。
 次に二十八條につきまして、今回新しい改正が行われました優生手術というものに対しまして、レントゲン照射というものがはつきり加わつておりますが、この点に関しまして御説明を承りたいと思います。
044 谷口弥三郎
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○谷口参議院議員 お答えいたします。二十八條におきまして優生手術というのにレントゲン照射のことを特に附け加えましたのは、実は第二國会のときに優生的な処置すなわち永久不妊の方法をとるのには手術とレントゲン照射の両方を初めは加えようかという考えもあつたのでありますが、御承知のようにレントゲン照射というのは、個人によりまして、また分量によりましてなかなかきちんとした一定の期間をきめることができませんために、その期間の終りごろにおきましてひよつと妊娠いたしますと、よく畸形の子供ができましたり、比較的精神の障害された子供ができますような関係から、このレントゲン照射をもつて避妊処置に加えることはよくないという最近の結論に達しまして、從つてレントゲン照射というのは優生処置からはとりのけておつたのであります。ところがこの優生保護法において優生手術のみを取上げておりました結果、中にはこの手術をきらいまして、いわゆる避妊処置としてレントゲン照射がかなり廣く行われておるというような状況になりましたので、これではせつかく優生という方面でやつたことが、実際においてかえつて悪い結果を起こしてはならぬというような関係からいたしまして不妊を目的とするところのほかの手術またはレントゲンの照射によつて不妊をするということをやつてはならぬ、そういうことをやらさぬようにするという、禁止した條項になつて、おるのであります。
045 床次徳二
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○床次委員 大体御説明ありがとうございました。法務廳の方が見えましてから、さらにこの問題につきまして質問を継続いたしたいと思いますが、なおこの機会にまとめて一の提案者に御説明を伺いたいと思いまするが、ただいままでのお話によりますると、人工妊娠中絶の問題は、大体母性保護という立場において立案しておられるようでありますが、時節柄でありますので、ある程度まで人口問題という立場からもお含みになつて規定しておられる。そういう御趣旨も相当あることと承つていいのでございましようか。あるいは純然たる母性保護という立場でありましようか。
046 谷口弥三郎
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○谷口参議院議員 実はこの一部改正をいたします場合に、受胎調節というのを土台にいたしまして、いわゆる人口問題も加えまして、これに一緒につけ加えたいというような考えを持つておつたのでございますが、受胎調節法というのを法律にすべきかどうか。とにかく受胎調節についてのことをこの中に入れるということはなかなか困難と思いましたので、今回はただ一部受胎調節の必要ということを第二十條の優生結婚相談所の中につけ加えたのみで、これをおいたのであります。從つて土台が優生事保護法というのに、十分な人口問題までも入れることはできませんので、人口問題はまた人口問題としてもつと別の方向から取り上げて行きたい。しかしこれもある一部分は人口問題の解決、あるいは人口の過剰とか、ことに不良な人口の抑制に特に資したいというような気持から提案しておるような次第であります。
047 床次徳二
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○床次委員 ただいまのお話を承りまして、第十三條なり十二條の問題でありまするが、人工妊娠中絶を行うということに対しましては、ある程度まで人口問題の見地を加えて規定するということをお含みになつておることと承知してよろしゆうございますね。


第5回国会 参議院 厚生委員会 第27号 昭和24年5月23日

018 谷口弥三郎
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○谷口弥三郎君 私はこの機会に優生保護法の一部改正のその後の経過を御報告し、私の考えを少し申したいと思います。優生保護法の一部改正につきましては、皆さんの努力によつて無事参議院を通過いたしまして、衆議院の方に送られました。ところが衆議院におきましては、その中の第十三條の第二号、第三号を修正いたしたのでございます。その修正は第二号、第三号を一緒にして修正いたしました結果、その文句は「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害する虞れのあるもの」という一号にいたしましたため、今後の運用が非常に困難な状況になると存じておるのであります。殊にその中でも妊娠及び分娩が身体的理由によつて母体の健康を害する云々と申します、その身体的理由というのが分らんのであります。若しそれを或いは過労とかいうような方面に持つて行きますというと、精神的なシヨツクとかいうような、精神的の方面の場合にはそれを取除かなければならんことになるので、非常に運用が困難になると思うのであります。又経済的理由によつてという場合には、民生委員と医師の意見を聞くのであるということにいたしておりますが、これは医師の意見のみで、あの文句から申しますといいのであつて、民生委員の意見は左程必要もなくなつたような状況になつております。これは今後の審査会においてさぞ困ることであろうと思つております。殊に本朝のごときは、或る方面から多数の者が、ああいう文句では到底いけんから、あれは一つ止めるようにして下さいというようなことを、中野区の方の連中が申して参りましたけれども、もう僅かの時日であります。もう時日もなく、本日を以て第五國会が終了するのでありますために、今後非常に困るとは思いますけれども、皆様方にもお願いして、先ずあれで案を呑んで頂いて、そうして参議院に廻つて來たということでありますから、本会議において通過させて頂きたいと思います。併し実際におきましては、あの改正ではこちらから申上げるのはどうもいかんかと思いますが、私自身としては非常な改惡をされたものと思つて困つておるような次第でございます。どうぞ厚生委員の方々におかれましては、折角のあれが妙な状況になりましたけれども、先ず時日がありませんから、それを呑んで、今回は全会一致で衆議院修正通りに本会議を通過いたしますように、是非何分お願いいたしたいと思います。
019 塚本重藏
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○委員長(塚本重藏君) 優生保護法の改正につきまして、今谷口委員から仰せの通りでありますが、これは直ちに本会議場において衆議院修正に同意を與える議決が行われると思いますが、お含み置き願いまして、御賛成下さいますように……。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
020 塚本重藏
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○委員長(塚本重藏君) 外に何か御発言ありますか……第五國会もいよいよ本日を以て終了することになりましたが、厚生委員会におきましては、第五國会開会以來、殆んど連日休みなく法案の審議並びに請願陳情の審議、併せて四つの調査事件に関しまして、皆さんが精魂を盡してその審議を完うせられましたことにつきまして厚い感謝をしておる次第であります。尚、請願の一部、陳情の一部が残されておりますが、これらの案件は引続き今後の調査と研究とに俟つべきものであるといたしまして、このまま次会に送りたいと思うような次第であります。長々有難うございました。本日はこれを以て散会いたします。