リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

リプロダクティブ・ジャスティス

Reproductive Justice – In Our Own Voice

お茶の水大ジェンダー研究所で2022年12月20日に開かれた「リプロダクティブジャスティス 妊娠・中絶・再生産をめぐる社会正義を切り開く」で発表されたアメリカのイケモト・リサ・C(カリフォルニア大学)さんが、発表「ロー判決・ドブス判決後の米国におけるリプロダクティブ・ライツ/ジャスティス」の中で示していた3つのフレームワークを紹介します。

1. リプロダクティブ・ヘルス
・ サービス、情報、資源
2. リプロダクティブ。ライツ
・ 法
憲法、法制、規制
3.リプロダクティブ・ジャスティ
・ 構造的不平等と社会的不公正が生殖に関わるアクセスと自立をいかに制約するのかを問う
・ インターセクショナリティ分析を用いる
・ 社会的文化的変革の追求


同様に、リサさんが紹介していたサイトのRJの定義です。

 リプロダクティブ・ジャスティス(RJ)とは、私たちのセクシュアリティジェンダー、労働そして生殖をコントロールする人権を意味する。その権利が実現されるためには、すべての女性と少女が、わたしたちの生のあらゆる領域において、わたしたちの身体、家族、コミュニティについて健康な決定を行うための完全な経済的、社会的、政治的権利および資源を持つようになる必要がある。

残りの部分も試訳します。

 リプロダクティブ・ジャスティスの核心は、すべての女性が以下の権利を有するという信念である。

  1. 子どもを産む権利
  2. 子どもを産まない権利、そして
  3. 安全で健康的な環境で、授かった子どもを育てる権利があるという信念である。


 1994年、カイロで開催された国際人口開発会議(ICPD)や米国内の数多くの会議に参加した黒人女性たちがシカゴに集まり、女性のための新しい活動家によるリプロダクティブ・ジャスティス運動の幕開けとなる瞬間が訪れた。イリノイ州プロチョイス同盟の黒人女性コーカスは、黒人女性の世界的なリプロダクティブ・ヘルス状況や、有色人種の女性には最低限の選択肢しかないのにプライバシーに基づく「プロチョイス」運動には限界があるというフラストレーションを共有し、有色人種の女性や低所得女性のために人権の枠組みを採用して、生殖に関する意思決定とともに身体の自律性の問題を扱う必要があると判断したのである。

 人権、社会正義、リプロダクティブ・ライツの信条を採用し、彼女たちは社会変革のための変革的で草の根的な運動を創り出した。リプロダクティブ・ジャスティスの定義と概念が確立されたことで、黒人女性コーカスは、リプロダクティブ・ヘルスと権利について国内で活動している有色人種の女性たちから肯定と支援を得ることを目指した。

 このRJの枠組みを用いて、「In Our Own Voice: National Black Women's Reproductive Justice Agendaは、中絶の権利とアクセス、避妊の公平性、包括的な性教育という3つの重要な政策課題に焦点をあてている。リプロダクティブ・ジャスティスのイニシアチブとして、私たちは人権の観点からこれらの問題に取り組み、人種、性別、階級、性的指向性自認が、この国の黒人女性の生活体験を構成する経済、政治、文化の状況的影響と交錯するように組み入れる。


 私たちは、4つの主要な目標を持って活動に取り組んでいる。

  1. リプロダクティブ・ライツ、健康、正義に関する政策について、国家レベルで黒人女性のリーダーシップを確立すること。
  2. 過酷な資金制限の廃止、避妊具の公平性、包括的な性教育など、中絶の権利とアクセスを支持する黒人女性の協調的な草の根運動を構築すること。
  3. 黒人女性とその家族の生活と幸福に影響を与える国や州のレベルでの継続的な政策変更のための基礎を築くこと。
  4. アメリカの有権者の中で最も進歩的な票田である黒人女性を巻き込み、動機づけること。