リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

指定医師の選定の標準

第13回国会 衆議院 厚生委員会 第23号 昭和27年4月17日

谷口弥三郎:ただいまのところでは、この指定の標準を、大体大学または大きな病院におきまして、二年以上産科婦人科の教室で勉強した者、そうして、なお診療所におきましては、簡単な手術、特に開腹手術くらいができるような設備を持つており、それからなお第三の條件として、これは非常にむずかしいのでありますけれども、まじめに仕事をして、報告なども完全にやつていただけるような方を、希望者の中から選定いたしまして、そうして指定をして行く。……


谷口:指定の基準がむずかしいために、同じ産婦人科の医者であつても、指定漏れになる者があるのではないかというお尋ねでございますが、これは母性保護の立場からいたしまして、やはり実際に技術、設備がない者に指定をいたしますと、そういう方が手術をすれば、かなり失敗をいたしましたり、障害を起したり、そういうようなことがありますために、特に指定医というのを選定をしておるのであります。それから指定医外の方は、この法律で特に許されておりますところの人工妊娠中絶ということは、できぬことになつております。もしその人が医者であれば、特別の場合、非常な出血をいたしますとか、何か危険の症状があつて、どうしても人工妊娠中絶をしなければならぬという場合は、医者の医療行為としてすることはできるのですが、その他の場合には全部指定医のもとに来るようにということにいたしておるのでございます。なお、指定医の標準はこしらえておりますが、先刻も苅田委員のお尋ねがありましたときに申し上げましたように、どうしても、そういうふうな設備のないために、地方で指定医が十分できておらぬというようなところには、幾らかわくをゆるめまして、なるべく指定医をつくつておくという考えでございます。


谷口:……万一人工妊娠中絶をしなければならぬ場合には、指定医のところでなくては安全にできないのだというふうなことを……強く普及してもらう……

選定の標準は
1.大学または大きな病院におきまして、二年以上産科婦人科の教室で勉強した者
2.簡単な手術、特に開腹手術くらいができるような設備がある
3.まじめに仕事をして、報告なども完全にやつていただけるような方を、希望者の中から選定


「実際に技術、設備がない者」だと「失敗」したり、「障害を起したり」するので、「特に指定医というのを選定」するというけれども、上記の条件だけで「技術」のあることをどうやって担保するのだろうか? 全くもって疑問である。なのに「指定医」しか安全にできないのだという考えを(助産婦や保健婦を通じて)普及させるのだという。

ましてや、今、WHOでは准看護師レベルでも安全に扱えるとされている中絶薬を「指定医師」でなければ処方できないと強弁するのは、まったくの大嘘であり、利益誘導でしかない。医会は解散するか、根こそぎ体質改善をする必要があるとわたしは思う。