リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

飲む中絶薬の承認 安心して使える仕組みを

毎日新聞社

社説:飲む中絶薬の承認 安心して使える仕組みを | 毎日新聞

毎日新聞 2023/6/4 東京朝刊 854文字
 人工妊娠中絶のための飲み薬の製造販売が、国内で初めて承認された。外科手術に比べて身体への負担が少ない。選択肢が広がったことは前進だが、なお課題も残っている。

 英製薬会社が開発した「メフィーゴパック」という薬だ。妊娠9週以内の人が、指定医のもとで2種類の薬剤を服用することにより、中絶が可能になる。


 経口中絶薬は、1988年にフランスで初めて承認され、現在70カ国以上で使われている。世界保健機関(WHO)も安全だとして推奨してきた。しかし、日本では、妊娠初期の中絶方法は、これまで外科手術しか認められず、世界の潮流から遅れていた。

 承認には、条件が付けられた。腹痛や出血などの副作用があるため、当面、入院が可能な病院・診療所での使用に限られる。外来であっても、中絶が確認されるまでは院内待機が求められる。


 安全性を考慮すれば、当初は慎重を期すのはやむを得ないだろう。だが、病院と有床診療所に限定することで、女性が薬にアクセスしにくい状況を招かないか懸念が残る。知見を生かしながら、柔軟に対応していく必要がある。

 費用の問題もある。中絶薬の服用は、外科手術と同様、原則として保険が適用されず、自由診療となる。薬代に加え、医療機関での診察・検査などの料金を含めると10万円程度かかると想定されている。もう少し安価に提供できるようにすべきではないか。