岩波女性学事典(2002)
reproductive health/rights
万人が保障されるべき性と生殖に関する健康と権利。国連の国際人口・開発会議(1994年)で採択されたカイロ行動計画に大きく取り入れられた。「身体的、精神的、社会的に良好な状態」で「安全で満足な性生活を営めること。子どもを産むかどうか、産むならばいつ、何人産むかを決定する自由を持つ」ことを含む。妊娠、出産、中絶、避妊、生殖器のあり方、生殖器にかかわる疾病、生殖医療などに関して社会的圧力や強制を受けている女性(より少ないながら男性も含む)たちは世界に多い。日本においても、母体保護法の内容や刑法堕胎罪条項、少子化、望まない妊娠、性感染症の増大、更年期障害、骨粗鬆症、子宮内膜症、子宮がん、乳がん、前立腺がん、不妊、内分泌など幅広く問題が存在し、この概念の重要性は高い。リプロダクティブ・ヘルス/ライツにかかわる領域についての研究や統計の整備とともに、保健医療に関する情報・サービスを誰もが手にすることができるような制度の充実が望まれている。