リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

令和4年度衛生行政報告例の概況

母体保護法統計 2022年度の中絶数は122,725件で前年より微減、中絶率は変わらず

令和4年度衛生行政報告例の概況|厚生労働省

中絶件数は若干減少ですが中絶率が変わらないので、おそらく母数が減っているのだろうと思ってざくっと計算したら40万6千人減っていました。「少子化対策(産ませる対策)」ではなく、「人口減少社会」をどう乗り切っていくかの対策が必要だということを、いいかげん政府は見据えてほしい。


ただし、中絶数の漸減はどこまで本当なのだろうと最近疑っています。避妊実行率が下がっているためです。(しかも最近は避妊に関するきちんとした統計が全然ありません。国連の最新の報告でも、日本の最新データは2015年です。)


収入が減りつつある産婦人科医師たちの「所得隠し」が悪化している可能性があると見ているのですが、では「どの程度」あるのかといえば、散発的に出てくる「脱税」のニュースだけでは、まったく予測が付きません。一方でセックスレス率も高まっているので、ますます何とも言えません。実態が不明だったら、有効な対策はできないですよね……。


なお、概況報告では妊娠週数の細目が分かりませんが、もし妊娠週数の分け方が昨年度と同じで、中絶薬の対象になる妊娠9週までがどれだけいるのかを全く明らかにしていなかったら、しっかり批判しないといけませんね。

注:1)実施率の「総数」は、分母に15~49歳の女子人口を用い、分子に50歳以上の数値を除いた人工妊娠中絶件数を用いて計 算した。 2)実施率の「20歳未満」は、分母に15~19歳の女子人口を用い、分子に15歳未満を含めた人工妊娠中絶件数を用いて計算した。