法令情報詳細画面(日本法令索引シンプル表示):母体保護法(昭和23年7月13日法律第156号)
母体保護法 昭和23年7月13日法律第156号 | 日本法令索引
この画面で利用できる機能は次のとおりです。
1. 法令・法案の基本情報
2. 法令沿革(この法令の改正、廃止等の履歴)
3. 被改正法令(この法令によって改正された他の法令)
4. 審議経過(この法案の審議経過が掲載されている国会会議録)
5. 法令本文へのリンク
6. 法律案・条約承認案件本文へのリンク
7. ヘルプ(使い方ガイド)(別画面)
「6. 法律案・条約承認案件本文へのリンク」をクリックすると:
6. 法律案・条約承認案件本文へのリンク
法律案・条約承認案件の本文を収録している国の機関のウェブサイトに移動できます。別画面で表示されます。
その下の「参議院法制局_参議院議員提出法律案情報」をクリックすると、1948年に提出された優生保護法(案)が出てくる。その末尾にこの法律を提案する理由が述べられている。
理 由
現行の国民優生法(昭和十五年法律第百七号)は、戦時国策の一立法として人口増殖政策の基調に立ち、悪質な遺伝確実と認められる疾患の増加を防ぐためにのみ優生手術を認め、一般的には、いやしくも人口増殖の目的に反する手段は一切これを禁止してきたのであるが、現在においては、戦後の変ぼうした社会的環境を考慮して、国民素質の向上策について新しい発足をすることが必要である。即ち、悪質な素質の遺伝による国民資質の低下を防止すべきは勿論であるが、更に進んで、母性の生命健康の保護という観点から、優生手術の対象範囲を拡張するとともに、あらたに、人工妊娠中絶についても必要な限度においてこれを認める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
同様に、「2. 法令沿革」をクリックすると、ずらりと法改正のリストが出てくるので、その中から以下をクリックする。
改正: 平成8年6月26日号外 法律第105号〔第一二次改正〕 【題名改正:標題に同じ】
次が開く⇒優生保護法の一部を改正する法律 平成8年6月26日法律第105号 | 日本法令索引
ここで「4.審議経過」を見ていくと、趣旨説明として次が見つかる。
007・和田貞夫
○和田委員長 次に、厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
優生保護法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、先般来各会派間において御協議いただき、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしてございます。
その起草案の趣旨及び内容について、委員長から簡単に御説明申し上げます。
本案は、現行の優生保護法の目的その他の規定のうち不良な子孫の出生を防止するという優生思想に基づく部分が障害者に対する差別となっていること等にかんがみ、所要の規定を整備しようとするもので、その主な内容は、
第一に、法律の題名を優生保護法から母体保護法に改め、法律の目的中「優生上の見地から不良
な子孫の出生を防止するとともに」を「不妊手術及び人工妊娠中絶に関する事項を定めること等により」に改めること。
第二に、「優生手術」の語を「不妊手術」に改め、遺伝性疾患等の防止のための手術及び精神病者等に対する本人の同意によらない手術に関する規定を削除すること。
第三に、遺伝性疾患等の防止のための人工妊娠中絶に係る規定を削除すること。
第四に、都道府県優生保護審査会及び優生保護相談所を廃止すること。
第五に、この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行すること。
以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
—————————————
優生保護法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604237X02919960614/7
厚労省は、優生保護法が成立した時から現行の母体保護法になった経過を以下にまとめている。
・母体保護法(◆昭和23年07月13日法律第156号)
○母体保護法
(昭和二十三年七月十三日)
(法律第百五十六号)
第二回通常国会
芦田内閣
優生保護法をここに公布する。
母体保護法
(平八法一〇五・改称)
第一章 総則
(この法律の目的)第一条 この法律は、不妊手術及び人工妊娠中絶に関する事項を定めること等により、母性の生命健康を保護することを目的とする。
(平八法一〇五・一部改正)(定義)
第二条 この法律で不妊手術とは、生殖腺を除去することなしに、生殖を不能にする手術で内閣府令をもつて定めるものをいう。
2 この法律で人工妊娠中絶とは、胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出することをいう。
(平八法一〇五・平一一法一六〇・令四法七六・一部改正)
第二章 不妊手術
(平八法一〇五・改称)
第三条 医師は、次の各号の一に該当する者に対して、本人の同意及び配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様な事情にある者を含む。以下同じ。)があるときはその同意を得て、不妊手術を行うことができる。ただし、未成年者については、この限りでない。
一 妊娠又は分娩が、母体の生命に危険を及ぼすおそれのあるもの
二 現に数人の子を有し、かつ、分娩ごとに、母体の健康度を著しく低下するおそれのあるもの
2 前項各号に掲げる場合には、その配偶者についても同項の規定による不妊手術を行うことができる。
3 第一項の同意は、配偶者が知れないとき又はその意思を表示することができないときは本人の同意だけで足りる。
(昭二四法二一六・昭二七法一四一・平八法二八・平八法一〇五・一部改正)
第四条から第十三条まで 削除
(平八法一〇五)
第三章 母性保護
(医師の認定による人工妊娠中絶)
第十四条 都道府県の区域を単位として設立された公益社団法人たる医師会の指定する医師(以下「指定医師」という。)は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。
一 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
二 暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に 姦淫(かんいん)されて妊娠したもの
2 前項の同意は、配偶者が知れないとき若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなつたときには本人の同意だけで足りる。
(昭二七法一四一・旧第十二条繰下・全改、昭六二法九八・平五法七四・平七法九四・平八法二八・平八法一〇五・平一八法五〇・一部改正)(
受胎調節の実地指導)
第十五条 女子に対して内閣総理大臣が指定する避妊用の器具を使用する受胎調節の実地指導は、医師のほかは、都道府県知事の指定を受けた者でなければ業として行つてはならない。ただし、子宮腔内に避妊用の器具を挿入する行為は、医師でなければ業として行つてはならない。
2 前項の都道府県知事の指定を受けることができる者は、内閣総理大臣の定める基準に従つて都道府県知事の認定する講習を終了した助産師、保健師又は看護師とする。
3 前二項に定めるものの外、都道府県知事の指定又は認定に関して必要な事項は、政令でこれを定める。
(昭二七法一四一・全改、昭二八法二一三・平一一法一六〇・平一三法一五三・令四法七六・一部改正)
第四章及び第五章 削除
(平八法一〇五)
第十六条から第二十四条まで 削除
(平八法一〇五)
第六章 届出、禁止その他
(届出)
第二十五条 医師又は指定医師は、第三条第一項又は第十四条第一項の規定によつて不妊手術又は人工妊娠中絶を行つた場合は、その月中の手術の結果を取りまとめて翌月十日までに、理由を記して、都道府県知事に届け出なければならない。
(昭二七法一四一・平八法一〇五・一部改正)
(通知)
第二十六条 不妊手術を受けた者は、婚姻しようとするときは、その相手方に対して、不妊手術を受けた旨を通知しなければならない。
(平八法一〇五・一部改正)
(秘密の保持)
第二十七条 不妊手術又は人工妊娠中絶の施行の事務に従事した者は、職務上知り得た人の秘密を、漏らしてはならない。その職を退いた後においても同様とする。
(昭二四法一五四・昭二七法一四一・昭五七法八〇・平八法一〇五・一部改正)
(禁止)
第二十八条 何人も、この法律の規定による場合の外、故なく、生殖を不能にすることを目的として手術又はレントゲン照射を行つてはならない。
(昭二四法二一六・一部改正)
第七章 罰則
(第十五条第一項違反)
第二十九条 第十五条第一項の規定に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。
(昭二七法一四一・追加、昭五七法八〇・一部改正)
第三十条及び第三十一条 削除
(平八法一〇五)
(第二十五条違反)
第三十二条 第二十五条の規定に違反して、届出をせず又は虚偽の届出をした者は、これを十万円以下の罰金に処する。
(昭二七法一四一・旧第三十一条繰下、昭五七法八〇・一部改正)
(第二十七条違反)
第三十三条 第二十七条の規定に違反して、故なく、人の秘密を漏らした者は、これを六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。(昭二七法一四一・旧第三十二条繰下・一部改正、昭五七法八〇・一部改正)
(第二十八条違反)
第三十四条 第二十八条の規定に違反した者は、これを一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。そのために、人を死に至らしめたときは、三年以下の懲役に処する。
(昭二四法二一六・一部改正、昭二七法一四一・旧第三十三条繰下・一部改正、昭五七法八〇・一部改正)
附 則
(施行期日)
第三十五条 この法律は、公布の日から起算して六十日を経過した日から、これを施行する。
(昭二七法一四一・旧第三十四条繰下)
(関係法律の廃止)
第三十六条 国民優生法(昭和十五年法律第百七号)は、これを廃止する。
(昭二七法一四一・旧第三十五条繰下)
(罰則規定の効力の存続)
第三十七条 この法律施行前になした違反行為に対する罰則の適用については、前条の法律は、この法律施行後も、なおその効力を有する。
(昭二七法一四一・旧第三十六条繰下)
(届出の特例)
第三十八条 第二十五条の規定は、昭和二十一年厚生省令第四十二号(死産の届出に関する規程)の規定による届出をした場合は、その範囲内で、これを適用しない。
(昭二七法一四一・旧第三十七条繰下)
(受胎調節指導のために必要な医薬品)
第三十九条 第十五条第一項の規定により都道府県知事の指定を受けた者は、平成二十七年七月三十一日までを限り、その実地指導を受ける者に対しては、受胎調節のために必要な医薬品で厚生労働大臣が指定するものに限り、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二十四条第一項の規定にかかわらず、販売することができる。
2 都道府県知事は、第十五条第一項の規定により都道府県知事の指定を受けた者が次の各号のいずれかに該当したときは、同項の指定を取り消すことができる。
一 前項の規定により厚生労働大臣が指定する医薬品につき医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第四十三条第一項の規定の適用がある場合において、同項の規定による検定に合格しない当該医薬品を販売したとき
二 前項の規定により厚生労働大臣が指定する医薬品以外の医薬品を業として販売したとき
三 前二号のほか、受胎調節の実地指導を受ける者以外の者に対して、医薬品を業として販売したとき
3 前項の規定による処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条第一項の通知は、聴聞の期日の一週間前までにしなければならない。
(昭三〇法一二七・追加、昭三五法五五・昭三五法一四五・昭四〇法一二八・昭四五法六四・昭五〇法四四・昭五五法八三・昭六〇法七二・平二法五六・平五法八九・平七法一〇八・平一一法一六〇(平一二法八〇)・平一二法八〇・平一七法九〇・平二二法四六・平二五法八四・一部改正)
(指定医師を指定する医師会の特例)
第四十条 第十四条第一項に規定する公益社団法人には、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第五十号)第二百八十三条に規定するもののほか、公益社団法人及び特例社団法人(同法第四十二条第一項に規定する特例社団法人をいう。以下この項において同じ。)以外の一般社団法人であつて、母体保護法の一部を改正する法律(平成二十三年法律第七十五号)の施行の際特例社団法人であつたもの(次項において「特定法人」という。)を含むものとする。
2 内閣総理大臣は、都道府県の区域を単位として設立された特定法人たる医師会に対し、当該医師会が行う第十四条第一項の指定に関し必要があると認めるときは、報告を求め、又は助言若しくは勧告をすることができる。
(平二三法七五・追加、令四法七六・一部改正)
以下、施行日に関する不足は割愛。