ナイロビ将来戦略勧告(1990年)に指導的地位に就く女性の割合を1995年までに少なくとも30%にまで増やすという目標が掲げられたが……
- ナイロビ将来戦略(1985年)とは国際婦人年の最終年に開かれた会議で採択された
- ナイロビ将来戦略勧告(1990年)とは、ナイロビ将来戦略の見直しと評価が行われ、1990年代においてナイロビ将来戦略の実施のペースを早めることを求めた勧告
婦人の地位向上のためのナイロビ将来戦略の実施に関する第1回見直しと評価に伴う勧告及び結論(抜粋)
平成2 年(1990年)5月24日 国際連合経済社会理事会採択
12 婦人の地位向上のためのナイロビ将来戦略の実施に関する第1回見直しと評価に伴う勧告及び結論(抜粋) | 内閣府男女共同参画局
7. 政府内機関及び非政府機関における意思決定の場での婦人の数は、増加されるべきである。また、選考と名簿登載の過程への婦人の参加を確保するための努力がなされるべきである。
<勧告6>
すべての公務員の服務規則については、募集、採用、昇進、休暇取得権、訓練、開発及び他の勤務条件の慣行について明確に表現すべきである。
政府、政党、労働組合、職業団体、その他の代表的団体は、それぞれ西暦2000年までに男女の平等参加を達成するため、指導的地位に就く婦人の割合を、1995年までに少なくとも30%にまで増やすという目標を目指し、それらの地位に婦人を就けるための募集及び訓練プログラムを定めるべきである。
政府、政党、労働組合及び婦人団体は、空席になっている職務を充足するために用いられうる婦人の適任者のリストを作成するよう奨励されるべきである。婦人に対し政治や行政上のキャリアに必要な能力を開発する重要性も認識されるべきである。
1991年9月に開催される予定の「公的生活における婦人についての地域間協議(Inter-regional Consultation on Women in Public Life)」は、政府及び非政府機関の最大限の参加者を得る必要があり、また、同協議は、すべての婦人に対し積極的な政治過程への参加を促すような政治活動のための議題をこれからの5年間のために設定すべきである。
他の機関との協力及び各国政府との共同作業のもとに、国連事務局は国、地域、国際レベルでの最高の意思決定組織における男女別構成に関する入手し易いデーターベースをさらに開発し広めるべきである。国連システムは、このようなデーターベースを設置するために各国の政府を援助することができるであろう。
ところが日本は1996年まで重い腰を挙げなかった
「1995年までに指導的地位に就く女性の割合を少なくとも30%に増やすというナイロビ将来戦略勧告をも踏まえ」と、前年までに達成することを求められていたのに、翌年になってようやく動き出し、しかも10年間で30%達成を目指し、2000年度末までに20%という中間目標を立てた。
平成8年(1996年)
国の審議会等における女性委員の登用の促進について
平成8年5月21日
男女共同参画推進本部決定
標記については、「西暦2000年に向けての新国内行動計画(第1次改定)」において、1995年までに指導的地位に就く女性の割合を少なくとも30%に増やすというナイロビ将来戦略勧告をも踏まえ、西暦2000年における審議会等の女性委員の割合の飛躍的な上昇を目指すこととし(基本的施策)、具体的には平成7年度末までに女性委員の割合を総体として15%とする(具体的施策)との目標を掲げ、その実現に努めてきた。今般、この具体的目標を達成したことを踏まえ、今後は、国際的な目標である30%をおよそ10年程度の間に達成するよう引き続き努力を傾注するものとし、当面、平成12年(西暦2000年)度末までのできるだけ早い時期に20%を達成するよう鋭意努めるものとする。
ところが3ヵ月後……審議会委員の女性割合は達成したとして
国の審議会等における女性委員の登用の促進について
平成12年8月15日
男女共同参画推進本部決定
国の審議会等における女性委員の割合については、今般、平成8年5月21日に男女共同参画推進本部で決定された当面の目標である「20%」を達成した。今後は、「20%」を達成した実績を踏まえ、平成17年(西暦2005年)度末までのできるだけ早い時期に、ナイロビ将来戦略勧告で示された国際的な目標である「30%」を達成するよう鋭意努めるものとする。
なお、審議会等における臨時委員、特別委員、専門委員等についても、女性の積極的な登用に努めることとする。
こうした取組を計画的に進めるため、各審議会の女性委員の人数及び比率等を定期的に調査・分析・公表することとする。
しかし、この目標は果たせず、2023年の下記調査会で「このままでは2043年に達成」との説明がなされる。
計画実行・監視専門調査会(第27回)議事録 令和5年(2023年)10 月 13 日(金)
男女共同参画局の小八木大臣官房審議官による資料説明
資料4 第5次男女共同参画基本計画における成果目標の達成状況
……役員の関係でございます。点で表していますけれども、G7諸国につきましては4割弱、女性の役員比率でございますけれども、それから、OECD諸国の平均で3割弱というような一方で、日本につきましてはTOPIX100で14.9%、プライムで11.4%というような数字になっておりまして、かなりの開きがある。
続きまして、これらはずっとそういうような状況だったのかというと、欧米の諸国でも15年ぐらい前は同じような状況だったというようなことで、ここでは逐一は書いておりませんけれども、それぞれ何らかの目標を立てるというような仕組みを作りまして、上げていったというような経緯がございます。
続きまして、今の日本の傾向をそのまま伸ばしますと、いつ30%に届くことになるのかというのがこのグラフでございますけれども、今の傾向でそのまま推移しますと2042年というようなことで20年かかってしまうというようなスピード感でございます。