リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

第3次男女共同参画基本計画(2010年)

7月の答申とその後に行われた会議で提出された案の間に何があったのか?

民主党政権時に閣議決定された唯一の基本計画だけど、意欲的な内容は消されてしまった。

第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(答申)の掲載平成22年7月23日

第10分野「生涯を通じた女性の健康支援」
Ⅰ これまでの施策の効果と、「生涯を通じた女性の健康支援」が十分に進まなかった理由
1 「生涯を通じた女性の健康支援」については、特定不妊治療費助成事業の実施、不妊治療のカウンセリング体制の普及、周産期24医療ネットワークの整備、HIVエイズ性感染症・薬物乱用の有害性に関する啓発教材の中高生への配布等の施策は進展しているが、妊娠中の喫煙・飲酒率の低下等は十分に進んでいない。
 また、HIV感染者、エイズ患者数が増加傾向にあること、小児科・産科医を始めとする医師不足や地域における医療機関における救急医療体制不足の問題が発生していること、性差医療の普及など女性の健康ニーズに応える体制が十分でないことなどの課題がある。


2 生涯を通じた女性の健康支援が十分に進まなかった理由は以下のとおりである。
(1) 子どもを産む・産まないにかかわらず、女性には、乳・幼児期、思春期、妊娠・出産期、更年期、高齢期等人生の各段階に応じた健康上の問題がある。しかし、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」(性と生殖に関する健康と権利)25の考え方が認識されてこなかったため、女性の健康は、子どもを産み、育てるという観点から、主に妊娠、出産、授乳期を中心に捉えられ、生涯を通じて重要な問題であるとの認識が普及してこなかった。
(2) 性差医療は緒についたところであり、取組が十分に進んでいない。
(3) 女性の医師等の仕事と生活の調和など、就業を継続する環境整備が十分に進んでいない。このことが、小児科、産婦人科などの医師不足にもつながっている。


Ⅱ 今後の目標
  男女が互いの身体的性差を十分に理解し合い、人権を尊重しつつ、相手に対する思いやりをもって生きていくことは、男女共同参画社会の形成に当たっての前提と言える。心身及びその健康について正確な知識・情報を入手することは、主体的に行動し、健康を享受できるようにしていくために必要である。特に、女性は、妊娠や出産をする可能性もあり、生涯を通じて男性と異なる健康上の問題に直面することに、男女とも留意する必要がある。
 このため、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」(性と生殖に関する健康と権利)の視点から、子どもを産む・産まないにかかわらず、また、年齢にかかわらず、すべての女性の生涯を通じた健康のための総合的な政策展開を推進する。さらに、男女の性差に応じた健康を支援するための総合的な取組を推進する。


Ⅲ 施策の基本的方向と具体的な取組
1 生涯を通じた男女の健康の保持増進
(1) 施策の基本的方向
 男女がその健康状態に応じて適切に自己管理を行うことができるようにするための健康教育、相談体制を確立する。特に女性については、思春期、妊娠・出産期、更年期、高齢期等人生の各段階に応じた適切な健康の保持増進ができるよう総合的な対策を推進する。
(2) 具体的な取組
① 生涯を通じた健康の保持増進のため、健康教育、健康相談、普及啓発、健康診査・指導などを推進する。
② 長い人生を寝たきりにならずに健康に過ごすための成人期・高齢期の女性の健康づくり支援を行う。
若い女性のやせすぎや中高年の肥満防止等、健康の維持増進等のため、食育を推進する。
④ 科学的根拠に基づいた健康情報の収集・分析・提供を行う。


2 妊娠・出産等に関する健康支援
(1) 施策の基本的方向
 妊娠・出産期は、女性の健康支援にとっての大きな節目であり、地域において安心して安全に子どもを産み育てることができるよう支援体制を充実するとともに、仕事と生活の調和の確立など支援を受けやすい環境整備を進める。特に、周産期医療体制の確保、不妊に悩む男女への対策を推進する。また、性に関する商業的、不正確な情報が氾濫する中にあっては、望まない妊娠を防ぐという観点を含めて、性に関する健康問題について、正しく理解し適切に行動を取れることが必要である。このため、家庭・地域と連携し、学校において、発達段階に応じた適切な性教育を実施する。さらに、性と生殖に関して健康であることの重要性について、国民への正確な情報提供等に努める。
(2) 具体的な取組
① 市町村による妊婦等に対する早期の妊娠届出の勧奨などにより、妊娠・出産期の健康管理の充実を図るとともに、妊婦健診の公費負担や出産育児一時金などにより、その経済的負担の軽減を図る。
② 周産期医療や救急医療体制、小児医療体制を充実する。
不妊治療に関する経済的支援、不妊専門の相談体制の充実等を進める。
④ 仕事と生活の調和を推進することなどにより、不妊治療のための休暇が取りやすい環境整備を進める。
⑤ 発達段階に応じた適切な性教育を推進する。
⑥ 人工妊娠中絶・生殖補助医療に関する法制度について、多様な国民の意見を踏まえた上で検討が行われる必要がある。


3 健康をおびやかす問題についての対策の推進
3-1 HIVエイズや、子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染を始めとする性感染症の予防から治療までの総合的な対策の推進
(1) 施策の基本的方向
HIVエイズや、子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染を始
めとする性感染症は、健康に甚大な影響を及ぼすものであり、その予防から治療までの
総合的な対策を推進する。
(2) 具体的な取組
HIVエイズや、子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染を始めとする性感染症の予防に関する積極的な啓発活動を行う。
② 医療・検査・相談体制を充実する。
③ 研究開発を推進する。
HIVエイズ等について発達段階に応じた教育を推進する。
3-2 薬物乱用、喫煙・飲酒対策の推進
(1) 施策の基本的方向
薬物乱用は本人の身体及び精神の健康をむしばむのみならず、家庭崩壊や犯罪の原因となるなど社会の基盤を揺るがしかねない行為であり、対策の強化を図る。また、喫煙や過度の飲酒も健康を損なうこととなりやすく、特に女性は、生殖機能や胎児に悪影響があることなどから、受動喫煙防止対策を徹底するとともに、健康被害に関する情報提供等の対策を推進する。
(2) 具体的な取組
① 薬物の供給遮断、乱用者の取締り等需要の根絶を進める。
② 薬物乱用防止に関する教育・啓発を行う。
③ 喫煙・飲酒に関する正確な情報提供を行う。


性差医療の推進
(1) 施策の基本的方向
 疾患の罹患状況が男女で異なるなど、生涯を通じた健康の保持のためには、性差に応じた的確な医療を受けることが必要である。このため、性差医療に関する調査・研究を進めるとともに、性差医療の重要性に関する普及啓発、医療体制整備、性差を踏まえた心身の健康維持支援や生活習慣病の予防施策を進める。
(2) 具体的な取組
① 男女の精神的・身体的性差を踏まえた医療に関する調査・研究を充実する。
② 国民・医療関係者に対し、性差医療に関する知識の普及を進める。
③ 健康や医療サービス提供に関する男女別データの収集を行う。
④ 女性外来、性差医療に関する拠点病院の整備等、性差医療提供の体制整備を進める。
⑤ 精神面で孤立しやすい男性の相談・自殺予防なども含め、男女の心身の健康維持の支援を進める。
⑥ 性差に応じたがん検診(乳がん卵巣がん、子宮がん、前立腺がん)や生活習慣病の予防施策等を進める。


5 医療分野における女性の参画の拡大
(1) 施策の基本的方向
 女性の生涯を通じた健康支援のニーズに対応するため、医療体制の充実とともに、医療分野における女性の参画の拡大が必要である。例えば、医師国家試験合格者の3割以上を女性が占めており、医師の質の向上、国民の健康の保持増進を図るためにも、女性医師が働き続け、能力を発揮しやすい条件整備が必要である。医師、看護師、助産師、薬剤師、医療技術者等の仕事と生活の調和の確保、就業継続・再就業支援などを進める。
(2) 具体的な取組
① 医師、看護師、助産師、薬剤師、医療技術者等の仕事と生活の調和の確保を進める。
保育所の充実、メンター制度等、継続就業を支援する。
③ 離職後の復帰支援を促進する。
助産師を一層活用するため、医療機関との連携、研修の充実等を促進する。


基本問題・計画専門調査会第62回 平成22年10月25日(月)で配布された計画(案)

第10分野 生涯を通じた女性の健康支援
<目標>
 男女が互いの身体的性差を十分に理解し合い、人権を尊重しつつ、相手に対する思いやりをもって生きていくことは、男女共同参画社会の形成に当たっての前提と言える。心身及びその健康について正確な知識・情報を入手することは、主体的に行動し、健康を享受できるようにしていくために必要である。特に、女性は妊娠や出産をする可能性もあるなど、生涯を通じて男女は異なる健康上の問題に直面することに男女とも留意する必要があり、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」(性と生殖に関する健康と権利)の視点が殊に重要である。
 こうした観点から、子どもを産む・産まないにかかわらず、また、年齢にかかわらず、すべての女性の生涯を通じた健康のための総合的な政策展開を推進するとともに、男女の性差に応じた健康を支援するための総合的な取組を推進する。


<成果目標>※省略


(2)妊娠・出産等に関する健康支援
施策の基本的方向
 妊娠・出産期は、女性の健康支援にとっての大きな節目であり、地域において安心して安全に子どもを産み育てることができるよう支援体制を充実するとともに、仕事と生活の調和の確立など支援を受けやすい環境整備を進める。特に、周産期医療体制の確保、不妊に悩む男女への対策を推進する。また、性に関する商業的、不正確な情報が氾濫する中にあっては、望まない妊娠を防ぐという観点を含めて、性に関する健康問題について、正しく理解し適切に行動を取れることが必要である。このため、家庭・地域と連携し、学校において、発達段階に応じた適切な性教育を実施する。さらに、性と生殖に関して健康であることの重要性について、国民への正確な情報提供等に努める。


具体的施策
ア 妊娠・出産期における女性の健康管理の充実と経済的負担の軽減
・市町村による妊婦等に対する早期の妊娠届出の勧奨などにより、妊娠・出産期の健康管理の充実を図るとともに、妊婦健診の公費負担や出産育児一時金などにより、経済的負担の軽減を図る。

イ 周産期医療や救急医療体制、小児医療体制の充実
①妊娠から出産までの一貫した母子保健サービスの提供
・日常生活圏において、妊娠から出産まで一貫して、健康診査、保健指導・相談、医療援護等の医療サービスの提供等が受けられるよう施策の一層の推進を図る。
・妊娠・出産や人工妊娠中絶等の悩みを抱える者に対して、訪問指導等の母子保健事業を活用した相談支援のほか、「女性健康支援センター」等での相談援助体制の整備を図る。
・母乳育児の推進に取り組む自治体の取組等の紹介などにより、母乳育児の普及に努める。また、母乳育児普及率の調査を行う。また、母乳育児が困難な場合にも配慮して、人工栄養による健全な育児を支援する。
・妊婦健診の適正な受診や妊娠の届出について周知を図るとともに、社会全体で妊産婦に対するやさしい環境をはぐくんでいく「マタニティマーク」の普及を図る。
・母性健康管理指導事項連絡カードの活用を促進し、妊娠中及び出産後の女性労働者に対する適切な母性健康管理の推進を図る。
②周産期医療等の充実
・地域における周産期医療の中核となる総合周産期母子医療センター及びそれを支える地域周産期母子医療センター等への支援(新生児集中治療管理室(NICU)の整備等)、周産期医療に携わる医師・助産師等の養成・確保、救急搬送受入体制の確保を図る。
・すべての分娩機関が産科医療補償制度に加入し、分娩に関する紛争の防止・解決を図るとともに、原因分析による将来の同種事例の防止に役立つ情報の提供などにより、産科医療の質の向上を図る。
・「妊娠と薬情報センター」(独立行政法人 国立成育医療研究センターに設置)において、服薬の影響を心配する妊婦からの相談業務を通じ、妊婦の服薬情報とその後の出生児への薬の影響の有無に関する情報を収集・蓄積し、服薬相談や医薬品添付文書の改訂に活用する。
・休日・夜間も含め、小児救急患者の受入れができる体制を整備する。子どもについては、親の保険料の滞納状況にかかわらず、一定の窓口負担で医療にかかれるようにする。
不妊治療に関する経済的支援、不妊専門の相談体制の充実等
・年齢とともに妊娠する確率は低下していくこと等、妊娠・出産に関する情報提供を行う。
不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、高額の医療費がかかる不妊治療(体外受精、顕微授精)に要する費用に対する助成を行うとともに、適応症と効果が明らかな治療には医療保険の適用を検討し、支援を充実する。
・男女を問わず、不妊治療に関する情報提供や相談体制を強化するため、不妊に関する医学的な相談や不妊による心の悩みの相談等を行う不妊専門相談センターの整備を図る。
不妊治療における安全管理のための体制の確保が図られるようにする。
不妊治療のために休暇が取りやすい環境の整備
・仕事と生活の調和を推進することなどにより、不妊治療のために休暇が取りやすい環境の整備を進める。

オ 女性の主体的な避妊のための知識等の普及
・安易な人工妊娠中絶を避けるため、人工妊娠中絶が女性の心身に及ぼす影響や安全な避妊についての知識の普及を図る。また、女性が主体的に避妊を行うことができるようにするための避妊の知識の普及等の支援を行う。

カ 学校における性に関する指導の実施
・学習指導要領においては、学校における性に関する指導は、児童生徒が性に関して正しく理解し、適切に行動を取れることを目的として実施されており、体育科、保健体育科、特別活動、道徳などを中心に学校教育活動全体を通じて指導することとしている。なお、指導に当たっては、児童生徒の発達の段階を踏まえること、学校全体で共通理解を図ること、保護者の理解を得ることなどに配慮すること、集団指導と個別指導の連携を密にして効果的に行うことなどに配慮することが大切である。


キ 人工妊娠中絶・生殖補助医療について【P】

以下、割愛


最終的に閣議決定された第3次男女共同参画基本計画

第10分野 生涯を通じた女性の健康支援
<基本的考え方>
 男女が互いの身体的性差を十分に理解し合い、人権を尊重しつつ、相手に対する思いやりを持って生きていくことは、男女共同参画社会の形成に当たっての前提と言える。心身及びその健康について正確な知識・情報を入手することは、主体的に行動し、健康を享受できるようにしていくために必要である。特に、女性は妊娠や出産をする可能性もあるなど、生涯を通じて男女は異なる健康上の問題に直面することに男女とも留意する必要があり、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」(性と生殖に関する健康と権利)の視点が殊に重要である。
 こうした観点から、子どもを産む・産まないに関わらず、また、年齢に関わらず、全ての女性の生涯を通じた健康のための総合的な政策展開を推進するとともに、男女の性差に応じた健康を支援するための総合的な取組を推進する。


<成果目標> ※割愛


1 生涯を通じた男女の健康の保持増進
施策の基本的方向
 男女がその健康状態に応じて適切に自己管理を行うことができるようにするための健康教育、相談体制を確立する。特に女性については、思春期、妊娠・出産期、更年期、高齢期等人生の各段階に応じた適切な健康の保持増進ができるよう総合的な対策を推進する。


具体的施策
 ア 健康寿命の更なる延伸
・世界一の健康長寿国の我が国としては、男女の生涯を通じた健康の管理・保持増進のための施策の推進により、健康寿命の更なる延伸を図る。
イ 地域における医療体制の整備
・安定的な医療提供体制の整備を進める。

ウ 生涯を通じた健康の保持増進のための健康教育、健康相談、普及啓発、健康診査・指導等の推進
・生涯を通じた健康の保持増進のため、健康相談、普及啓発、健康診査・指導等を推進する。
・生涯を通じ、自己の健康を適切に管理・改善するための教育・学習を学校はもちろん、家庭や地域においても積極的に推進する。その際、健康を保持増進するためには、個人の行動選択やそれを支える社会環境づくりなどが大切であることにも留意する。学校においては、児童生徒が健康の大切さを認識できるようにするとともに、自己の健康を管理する資質や能力の基礎を培い、実践力を育成するため、健康教育の推進を図る。

エ 女性の健康づくり支援
①女性の健康保持のための事業等の充実
・避妊、妊娠、不妊性感染症、婦人科的疾患、更年期障害その他女性の健康をめぐる様々な問題について、安心して相談できる体制を整備する等、思春期、妊娠・出産期、更年期、高齢期など女性の生涯を通じた健康保持に関する事業を推進する。
・女性は、妊娠や出産をする可能性があることもあり、ライフサイクルを通じて男性とは異なる健康上の問題に直面する。こうした問題の重要性について男性を含め、広く社会全体の認識が高まり、積極的な取組が行われるよう気運の醸成を図る。
・女性の生涯を通じた健康支援の総合的な推進を図る視点から、保健所、市町村保健センター等において母子保健医療に携わる医師、保健師助産師、看護師等に対する研修等の充実を図る。
②成年期、高齢期における女性の健康づくり支援
・高齢者が元気に活動している姿は健全な社会の象徴である。平均寿命が男性よりも長い女性が、人生を、寝たきりにならず健康に過ごすため、更年期障害の軽減、成年期、高齢期の肥満の予防等を重点とした健康診査、健康指導を行うとともに、健康的な食生活習慣の確立や適切な運動習慣の普及等を推進するほか、老後における健康保持のため健康教育、健康相談、健康診査、機能訓練及び訪問指導といった保健事業の推進を図る。
オ 男性の健康づくり支援
・男性の方が肥満者の割合が高く、喫煙飲酒する者の割合も高い。また、精神面で孤立しやすい。さらに、30 歳代、40 歳代を中心に長時間労働者が多く、仕事と生活の調和がとりにくい状況にある。こうした中で、男性の生涯を通じた健康保持に関する事業を推進する。

カ 食育の推進
・食生活やこれを取り巻く環境が急激に変化する中で、栄養の偏りや食習慣の乱れがみられ、健康への影響が懸念されている。こうした中、男女を問わず、食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践する能力を育むべく、食育に関する施策を推進する。その際、若い女性のやせすぎや中高年の肥満防止等とともに、男性の生活・自活能力の向上にも留意する。

キ 科学的根拠に基づいた健康情報の収集・分析・提供
・各種施策の実施状況及び社会情勢の変化等に応じて、男女の健康保持に関する施策の充実のための総合的な検討を行う。


2 妊娠・出産等に関する健康支援
施策の基本的方向
妊娠・出産期は、女性の健康支援にとっての大きな節目であり、地域において安心して安全に子どもを産み育てることができるよう支援体制を充実するとともに、仕事と生活の調和の確立など支援を受けやすい環境整備を進める。特に、周産期医療体制の確保、不妊に悩む男女への対策を推進する。また、性に関する商業的、不正確な情報が氾濫する中にあっては、望まない妊娠を防ぐという観点を含めて、性に関する健康問題について、正しく理解し適切に行動を取れることが必要である。このため、家庭・地域と連携し、学校において、発達段階に応じた適切な性教育を実施する。さらに、性と生殖に関して健康であることの重要性について、国民への正確な情報提供等に努める。

ア 妊娠・出産期における女性の健康管理の充実と経済的負担の軽減
・市町村による妊婦等に対する早期の妊娠届出の勧奨などにより、妊娠・出産期の健康管理の充実を図るとともに、妊婦健診の公費負担や出産育児一時金などにより、経済的負担の軽減を図る。

イ 周産期医療や救急医療体制、小児医療体制の充実
①妊娠から出産までの一貫した母子保健サービスの提供
・日常生活圏において、妊娠から出産まで一貫して、健康診査、保健指導・相談、医療援護等の医療サービスの提供等が受けられるよう施策の一層の推進を図る。
・妊娠・出産や人工妊娠中絶等の悩みを抱える者に対して、訪問指導等の母子保健事業を活用した相談支援のほか、「女性健康支援センター」等での相談援助体制の整備を図る。
・母乳育児の推進に取り組む自治体の取組等の紹介などにより、母乳育児の普及に努める。また、母乳育児普及率の調査を行う。また、母乳育児が困難な場合にも配慮して、人工栄養による健全な育児を支援する。
・妊婦健診の適正な受診や妊娠の届出について周知を図るとともに、社会全体で妊産婦に対するやさしい環境を育んでいく「マタニティマーク」の普及を図る。
・母性健康管理指導事項連絡カードの活用を促進し、妊娠中及び出産後の女性労働者に対する適切な母性健康管理の推進を図る。
②周産期医療等の充実
・地域における周産期医療の中核となる総合周産期母子医療センター及びそれを支える地域周産期母子医療センター等への支援(新生児集中治療管理室(NICU)の整備等)、周産期医療に携わる医師・助産師等の養成・確保、救急搬送受入体制の確保を図る。
・全ての分娩機関が産科医療補償制度に加入し、分娩に関する紛争の防止・解決を図るとともに、原因分析による将来の同種事例の防止に役立つ情報の提供などにより、産科医療の質の向上を図る。
・「妊娠と薬情報センター」(独立行政法人国立成育医療研究センターに設置)において、服薬の影響を心配する妊婦からの相談業務を通じ、妊婦の服薬情報とその後の出生児への薬の影響の有無に関する情報を収集・蓄積し、服薬相談や医薬品添付文書の改訂に活用する。
・休日・夜間も含め、小児救急患者の受入れができる体制を整備する。子どもについては、親の保険料の滞納状況に関わらず、一定の窓口負担で医療にかかれるようにする。


具体的施策
ア 妊娠・出産期における女性の健康管理の充実と経済的負担の軽減
・市町村による妊婦等に対する早期の妊娠届出の勧奨などにより、妊娠・出産期の健康管理の充実を図るとともに、妊婦健診の公費負担や出産育児一時金などにより、経済的負担の軽減を図る。

イ 周産期医療や救急医療体制、小児医療体制の充実
①妊娠から出産までの一貫した母子保健サービスの提供
・日常生活圏において、妊娠から出産まで一貫して、健康診査、保健指導・相談、医療援護等の医療サービスの提供等が受けられるよう施策の一層の推進を図る。
・妊娠・出産や人工妊娠中絶等の悩みを抱える者に対して、訪問指導等の母子保健事業を活用した相談支援のほか、「女性健康支援センター」等での相談援助体制の整備を図る。
不妊治療に関する経済的支援、不妊専門の相談体制の充実等
・医学的には高齢になると妊娠・出産に関するリスクが高まること等、妊娠・出産に関する情報提供を行う。
不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、高額の医療費がかかる不妊治療(体外受精、顕微授精)に要する費用に対する助成を行うとともに、適応症と効果が明らかな治療には医療保険の適用を検討し、支援を充実する。
・男女を問わず、不妊治療に関する情報提供や相談体制を強化するため、不妊に関する医学的な相談や不妊による心の悩みの相談等を行う不妊専門相談センターの整備を図る。
不妊治療における安全管理のための体制の確保が図られるようにする。
不妊治療のために休暇が取りやすい環境の整備
・仕事と生活の調和を推進することなどにより、不妊治療のために休暇が取りやすい環境の整備を進める。

オ 人工妊娠中絶の心身への影響についての知識等の普及
・人工妊娠中絶が女性の心身に及ぼす影響や安全な避妊についての知識の普及を図る。