三井住友信託銀行 調査月報 2022 年 9 月号
<要旨>
2022 年 5 月にイーロン・マスク氏が日本消滅ツイートをしたことが大きな注目を集めた。
超高齢社会に突入し、死亡数の増加は避けられない中で、人口減少に歯止めをかけるには、出生数の増加・維持が不可欠であるが、出生数を左右する①出産期相当の女性人口、②結婚する人の割合、③結婚した人のうち一人が産む子供の数、という 3 つの要素を確認すると、いずれも一段と厳しさを増す状況にある。
ただし、結婚・出産をそもそも望まない人が増えているのではなく、望みながらも叶わない人が多いことから、②結婚する人の割合、③結婚した人のうち一人が産む子供の数に対しては対応の余地は残されている。
結婚・出産を望みつつも叶わない要因は、若年男性を巡る雇用・所得環境の悪化や仕事と家事・育児との両立の困難さがある。特に後者については、労働力人口減少への対応として、政策的に女性の社会参画を促す一方で、同時に進めるべき家事・育児との両立を可能とする社会全体での支援体制や、働き方、性別役割意識の変革などが十分に進まず、かえって少子化が進むという状況がある。こうした状況を打破するためには、働き方の変革とともに、育児の社会化を同時に進めることが求められる。
まず基本を押さえよう。
出生数を左右すると考えられる、①出産期相当の女性人口、②結婚する人の割合、③結婚した人のうち一人が産む子供の数、という 3 つの要因についてみていくこととする。なお、本稿では、出産期相当の女性年齢を合計特殊出生率の算出方法に従い15~49 歳とする。
産める年齢の女性の数も出生率もどんどん減っている。
未婚率も増えている。
既婚カップルの子どもの数も減っている。
理想には反して結婚せず働いている女性が多い現実がある。
独身でいる第一位の理由はいい相手に巡り合わない、第二位の理由は今はまだ結婚する必要を感じていないだが、第三位は男性は結婚資金がない、女性は他にやりたいことがあるが続く。
男性は非正規職であるほど、女性は正規職であるほど、未婚率が高い。
予定こども数を実現できない一番の理由は健康と年齢
既婚女性も働くようになっている。(専業主婦は減っている。)
日本政府が家族施策に費やす予算はまだまだ低い。