リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

「政治の中心にケアを」岡野八代さんが問うリベラルの不正義

毎日新聞 清水有香 2024/3/24 14:00(最終更新 3/24 14:00)

「政治の中心にケアを」 岡野八代さんが問うリベラルの不正義 | 毎日新聞

 「このままでは人間社会はもたないですよ。だから変えないといけない」。同志社大の岡野八代教授(政治学)は危機感をあらわにした。

 例えば少子化の加速。それは子育てに冷淡な社会の一面を映し出す。自民党の裏金問題の一方で、生活苦を自己責任にするこの国の理不尽な現実に、私たちは目を閉ざしたままでいいのだろうか。フェミニズム思想を専門とする岡野さんが新著『ケアの倫理』(岩波新書)で唱えるのは、ケアを中心にした社会変革だ。

 <誰もがケアされる/する人びとである>。この原点から政治を、社会を、どのように構想できるかを本書は問いかける。


社会制度を問う「ケアの倫理」
 そもそもケアとは何だろう。

 一般には気遣いや世話と訳される。専門職による介護や手当てという意味もある。その相手が他者であれ自分であれ、「気にかける」ことが本質にはある。ケアは社会に遍在し、どんな人間もケアなしには生きていけない。

 にもかかわらず、家事や育児に代表されるケアの営みは「母性」「女らしさ」と結びつけられ、不当におとしめられてきた。本書は女性たちが歴史的に担わされてきたケアを起点に、それを「人類的な活動」として捉え直す。

 「ケアは人間にとって不可欠なもの。なのに、経済的にも社会的にも評価されずにきた。このギャップは一体何を意味しているのかという問いは、現在に至るまで解決されていないのです」

 その問いの中心にあるのが、ケアの「倫理」をめぐる議論だ。…

あとは有料記事です。