リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

日本政府の欺瞞:避妊・中絶を除いたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(皆保険)の達成

ICPD+25でのうのうと「誰一人取り残さない」と誓っている

グローバルでは「誰一人取り残さない」が国内の「女性は取り残す」のか?
 WHOは「包括的な性と生殖に関する保健サービスへのアクセスは、ジェンダー平等にも貢献しつつ、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に向けて前進するために不可欠である」としている。リプロのヘルスケアをことごとく自己負担にしている日本は、UHCを達成していない!

www.nairobisummiticpd.org

仮訳します。

ICPD行動計画の「未完の事業」 2019年10月31日 コミットメント


タイトル:日本は、各主体がICPD行動計画の「未完の事業」に取り組むという目標を再確認するよう、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けた機運を加速させることを誓約する


 コミットメント説明:ICPDから25年、私たちは目覚ましい前進を遂げた。しかし、2019年版世界人口現状報告書のタイトル「未完の事業」が示唆するように、なすべきことはまだたくさんある。
 特に、脆弱な状況にある人々や人道的状況にある人々、特に女性と女児が、SRHに特別な注意を払いながら、必要なサービスにアクセスできるよう、最大限の努力を払う必要がある。これは、誰一人として取り残されることのないよう、人間の安全保障の概念に基づいて行われなければならない。
 さらに、私たちは、少子化、高齢化、都市化を含む差し迫った人口問題や人口動態の変遷に取り組むことが極めて重要であると考えています。この観点から、我が国は、人口高齢化に関する教訓や知見を世界や地域の場で共有しており、単に課題や対応策を共有するだけでなく、少子高齢化への対応を含め、ライフコース全体の視点に立った政策実行を加速するため、国際社会と連携していきたいと考えている。
 日本は、UHC達成に向けた自らの経験を踏まえ、世界全体でUHCの重要性を強調してきた。各主体がそれぞれの役割を再認識し、ICPD行動計画の「未完の課題」に取り組むという目標を再確認し、このナイロビで示された様々なコミットメントを推進するため、私たち日本は、誰一人取り残さない「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」の達成に向けた機運を加速させることを約束します。


行動するコミットメント:グローバル  
提出国:日本

中絶、健康、ジェンダーのステレオタイプ、ベッロ・ピッツァロッサ、ルチア著

忘備録

Abortion, health and gender stereotypes, by Berro Pizzarossa, Lucia

フローゲン大学(オランダ)に提出されたLucia Berro Pizzarossa (2019)
資料の宝庫。ダウンロード回数も多い。

この第二部にあたる論文が2017年に出ている。
Global Survey of National Constitutions - PMC

女性と健康:持続可能な開発の鍵  ランセット 2015年

Women and Health: the key for sustainable development, Lancet Commission, 2015
仮訳します

エグゼクティブ・サマリー
 女子と女性の健康は過渡期にあり、過去数十年で大幅に改善された面もあるが、まだ満たされていない重要なニーズがある。 人口の高齢化と健康の社会的決定要因の変化により、リプロダクティブ・ヘルス、栄養、感染症に関連する疾病負担と、慢性疾患や非感染性疾患(NCDs)の新たな流行が共存するようになった。同時に、女性の健康における世界的な優先順位は、母子の健康という狭い焦点から、性と生殖に関する健康というより広い枠組みへ、そしてライフコース・アプローチに基づく女性の健康という包括的な概念へと変化している。 この拡大されたビジョンは、生殖期を越えて女性を苦しめる健康上の課題や、男性と共通する課題、しかし生物学的、ジェンダー、その他の社会的決定要因のために不釣り合いに女性を苦しめる症状や結果を組み込んだものである。
 ライフコースを通して女性が直面する課題が複雑であるため、保健制度に一層の焦点を当てる必要がある。保健制度は、女性の数が急速に増加している保健医療労働力の一員として、また家庭や地域社会での主要な介護者としての伝統的な役割において、女性のケアへの多くの貢献に大きく依存している。 女性と健康-この委員会の焦点は、女性と健康が相互作用する多面的な経路を指す新しい概念である。従来の女性の健康という排他的な焦点から、保健医療の利用者と提供者の両方としての女性の役割を取り上げ、両者の相乗効果の可能性を強調する。私たちは、生涯を通じて健康である女性が男女平等を経験し、介護者としての役割を含め、社会で能力を発揮し、力を与えられ、評価されることで、潜在能力を発揮し、自分自身の健康と福祉、家族や地域社会、ひいては持続可能な開発に大きく貢献する準備が整うという前提に立った好循環を思い描いている。
 このような考え方には、ヘルスケアの消費者としても提供者としても、少女と女性が直面する特有の障害に対する女性中心の解決策を特定するための、学際的で分野横断的な視点が必要である。 この委員会では、女性と健康の複雑な関係についての既存の証拠と独自の証拠を分析する。世界的に起こっている経済的、環境的、社会的、政治的、人口統計学的、そして疫学的な主要な転換期、保健制度への影響、そして女性と健康への影響を検証する。 生殖の役割にとどまらない女性の健康の広がりを示すために、ライフコース的アプローチを用いて少女と女性の健康状態を分析する。私たちは、女性が保健システムや家庭やコミュニティで行っている有給・無給のヘルスケア関連業務の経済的価値を推計し、それは保健システムや社会に対する隠れた助力になっている。私たちは、女性が社会的、生物学的、職業的役割を統合し、その能力をフルに発揮できるようにするためには、ジェンダーを変革する政策が必要であり、健康で、評価され、能力を発揮し、エンパワーされた女性は、持続可能な開発に大きく貢献する(キーメッセージ)、と結論づける。これらの問題を踏まえ、私たちは開発パートナー、政府、市民社会、提唱者、学者、専門家団体に対し、女性と健康のアジェンダを推進するために必要な重要な行動を提案する。

『ジェーンの物語』

書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)からもうすぐ発売!

私の本って、マニアっぽくてなかなか読んでくれる人がいないと思ってきたので、売れ行きを機にしたことがないのですが、今回の『ジェーンの物語』は、一般読者にぜひ読んでほしい内容です。今の日本のフェミニストの生きづらさを一掃したい! アメリカのフェミニストの考え方、機動力を共有したい!!です。


http://www.kankanbou.com/books/kaigai/kaigai_essay/0623
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夢のある家庭づくりや子育てができる社会を築くために:(提言)

日本初の少子化対策のための有識者会議で「男女の固定的性役割分業の見直し」が真っ先に提言されていた


少子化への対応を考える有識者会議. 資料・少子化への対応を考える有識者会議提言--夢のある家庭づくりや子育てができる社会を築くために(提言)1998(平成10)年12月21日 国立社会保障・人口問題研究所のサイトにもあった!

所収:『保育情報』保育研究所 編. (通号 266) 1999.04,p.38~46.  
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I4703260

 日本で少子化への対応を考えるために設けられた初めての会議である内閣総理大臣主催の「少子化への対応を考える有識者会議」は、男女の固定的性別役割分業や職場優先の企業風土の是正を何より重視していた。一九九八年一二月二一日に「夢のある家庭づくりや子育てができる社会を築くために(提言)」 では、その後の少子化対策で何度も繰り返し出てくるテーマのほとんどがすでに提示されていた。この提言では、以下のような「現状」が認識されていた。


一、理想として二人または三人の挙児希望はあるが、それが実現できていない。
二、子育てと仕事の両立が困難であきらめざるをえない人々がいる。
三、若い男女、特に女性にとって結婚や育児に伴う負担の重さが大きく意識される状況があるために結婚自体をためらう人々がいる。
四、親から自立して働きながら新たな家庭を築き、子どもを育てていく、という責任ある喜びや楽しさを経験することを困難にするような社会経済的・心理的な要因がある。

 有識者会議は、こうした現状分析より、「家族や子育てに夢を持つことができ、それを実現することができる社会とするために、環境整備を実行すること、および提案する推進体制を確立し、速やかに実施に移すこと」を提言している。
 この提言では、特に環境整備すべき内容として「働き方」「家庭、地域、教育のあり方」「推進体制」の三つを掲げ、最初の二つについてはいずれも「男女の固定的な性別役割分業」の見直しを真っ先に挙げている。国連人口基金の二〇一九年の研究によれば、男女平等主義への移行と男性の家庭への関与強化は、出生率の好転を達成する前提条件であると複数の研究が結論しており、高度先進国における開発(富、健康、教育の面で)が出生率に及ぼすプラスの影響は、男女平等のレベルが高いことが条件となると指摘している別の研究もあり、有識者会議の指摘は正しいと言えるだろう。
 この一九九八年の「少子化への対応を考える有識者会議」のメンバーのうち、何人かは二〇〇〇年以降の「男女共同参画基本計画」の策定に関わる主要メンバーにもなっており、「少子化対策」と「男女共同参画推進」は切っても切り離せないものであることが窺われる。ところが後者において、この重要なジェンダー平等の観念を自民党は叩き潰し、政府は回避してきた。それによって、実質的に「子育て支援」の推進は阻まれてきたことになる。
 また、同提言では基本的な留意点として第一に「結婚や出産は当事者の自由な選択にゆだねられるものであり、社会が個人に対し押しつけてはいけない」を挙げている。また、「出生率上昇の為には女性が家庭に戻れば良いとするのは非現実的。男女共同参画社会の理念に反するとともに、労働力人口が減少に転じる見通しの中で、女性の就労機会を制限することは不適切・不合理である」とも指摘している。
 こうした有識者会議の提言が日本の少子化対策に活かされてきたかどうかを先回りして確認しておこう。一九九九年一二月の少子化対策推進基本方針は、有識者会議の提言に応じて、「近年の出生率低下の主な要因としては、晩婚化の進行等による未婚率の上昇がある。その背景には、結婚に関する意識の変化と併せて、固定的な性別役割分業を前提とした職場優先の企業風土、核家族化や都市化の進行等により、仕事と子育ての両立の負担感が増大していることや、子育てそのものの負担感が増大していることがあるものと考えられる」とした。そのうえで、基本的な施策 の第一に「固定的な性別役割分業や職場優先の企業風土の是正」を挙げ、職場や家庭、農山漁村における固定的な性別役割分担意識を是正と男女共同参画社会の形成の促進を謳っていた。同年示された新エンゼルプランで示された8つの重点目標においても、1「保育サービス等子育て支援サービスの充実」、2「仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備」に続く3つ目の目標として「働き方についての固定的な性別役割分業や職場優先の企業風土の是正」が挙げられていた。
 ところが、二〇〇三年の次世代育成支援対策推進法では、性別役割分業に関する記述は消え、同年の少子化社会対策基本法では、「第二条 少子化に対処するための施策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するとの認識の下に、国民の意識の変化、生活様式の多様化等に十分留意しつつ、男女共同参画社会の形成とあいまって、家庭や子育てに夢を持ち、かつ、次代の社会を担う子どもを安心して生み、育てることができる環境を整備することを旨として講ぜられなければならない」と家庭責任を強調し、「男女共同参画社会の形成」と大きく括る書き方になり、意識改革の具体策は消えてしまった。二〇〇四年の少子化社会対策大綱においては、「男女がともに仕事時間と生活時間のバランスが取れるように働き方を見直す」、「男女がともに子どもを生み、育てやすい環境を整備する」、「男女共同参画会議等の関係する重要政策 会議等との間で緊密に連携・協力を図り、施策を推進する」と努力目標的な項目が並び、唯一「(9)妊娠・出産しても安心して働き続けられる職場環境の整備を進める」の中で、「男女雇用機会均等法に基づく妊娠・出産等を理由とした解雇の禁止や通院休暇等の母性健康管理の措置、労働基準法に基づく産前産後休業等の母性保護規定の周知徹底を図るとともに、職場における固定的な性別役割分担意識の解消、職場内で仕事と家庭の両立を尊ぶ職場風土の形成、職場慣行の是正に向けた啓発活動を行う」という形で入ったものの、意識解消のための方策は掲げられていない。二〇一〇年の子ども・子育てビジョン(第2次大綱)には、「持続可能で活力ある経済社会が実現する ・男女が互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなくその個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の実現を目指します。」とあるが、やはり具体策は示されていない。
 二〇一五年の第三次大綱では、「男性の働き方」の改革に焦点があてられるようになったものの、意識改革には触れられていない。二〇二〇年の第四次大綱では、固定的な性別役割分業への言及はやはりなかったばかりか、「希望出生率1・8」実現という目標が掲げられた。このように政府の側から「目標値」を掲げて人口政策を推進することは、二〇一四年のカイロ宣言と行動計画の中で人権侵害として否定されている。ところが、日本政府はそのことを全く意にも介していないようである。
 二〇二三年のこども未来戦略方針では、「こども・子育て政策を推進するに当たっては、今も根強い固定的な性別役割分担意識から脱却し、社会全体の意識の変革や働き方改革を正面に据えた総合的な対策をあらゆる政策手段を用いて実施していく必要がある」との認識がようやく戻ってきた。とはいえ、ここでも具体策は何も示されておらず、何も変わっていないのが現状である。
 二〇一九年の国連人口基金の報告によれば、「男女平等主義への移行と男性の家庭への関与強化は、出生率の好転を達成する前提条件」だとしており、日本政府(特に自民党政権)における女性政策の軽視やリプロの権利への反発、ジェンダー・バッシングは、少子化対策も潰してきたと言える。

この会議のメンバーは、こちらの資料にある。

少子化への対応を推進する国民会議

国民会議は、有識者会議が「以上の提言を実施に移していく中心的な役割を担う場として、内閣総理大臣主宰のもと、労使をはじめ趣旨に賛同する各界関係者の参加を募り」設置するよう求めたもので、有識者会議では「政府だけで進めていくことは適当ではなく、可能でもない」として、「広く国民的な取組み」を求めるのと同時に、「意識改革や各種制度・慣行の見直しについては、各組織の上に立つ者の認識と行動が極めて重要である」としていたが、そのトップの「認識」を変える仕組みについては考えられていなかった。要するに、「少子化」対策を成功させるためには「男女の固定的な役割分担」を徹底的に見なおせるような「ジェンダーに敏感」になる必要があったが、そうした「認識」を養うための「方策」がどこにもない。なので、国民会議の面々は、全くジェンダー意識に欠ける「対策」しか持ち出せなかったし、それではジェンダー不平等な社会の中での女性の負担感を減らすことはできなかったのである。

日本保育協会青年部のかわらばんII 第101号1999.12に、参加者の報告が見つかったのでコピペする。

 日保協青年部副部長 伊澤昭治 「少子化への対応を推進する国民会議」幹事会中間報告

はじめに
 国民会議幹事会に出席する機会を与えられたのは平成11年7月、日保協本部より「国民会議幹事会の発足」に伴い委員選出について青年部に依頼があり、東京近郊でということで神奈川という地理から出席をすることになったのが、切っ掛けであった。お引き受けするに当たり政府レベルでの会議と言うことで一民間保育所の園長としての立場でと言うことを条件に浅学非才ながらお受けしたのが始まりでした。
 「国民会議」は皆さんご承知の通り、内閣総理大臣が指名する有識者によって平成10年7月に開催された「少子化への対応を考える有識者会議」の中に位置づけられ、平成10年12月に出された「夢ある家庭づくりや子育てができる社会を築くために(提言)」の具体的取り組みを課題としております。有識者会議で提言された「少子化に対応するためには国民的な理解と広がりをもって、家庭や子育てに夢を持つことができる環境を整備」を促進するために各界関係者の参加により、少子化への対応を推進する具体的取り組みを広げるために平成11年6月28日に第1回国民会議が開催。 国民会議内閣総理大臣が主宰し議長を務め、

有識者会議提言中の具体的方策について、それぞれの担当する施策を推進し、その進歩状況及び今後の実施方策等について情報交換し、各施策の推進に資する。
少子化への対応に関し、広く国民に向けた情報発信を行う。を検討課題としている。 保育関係団体からは日本保育協会上村一理事長が委員として出席されました。 国民会議に幹事会を設置し各種団体の少子化対策への具体的取り組み状況や今後の計画等を具体的に報告しあい、今後の少子化対策国民会議本体への資料作りの為に議論する場として第1回国民会議の中で提案されている。

 第1回幹事会は8月30日に開催され、国民会議参加団体各1名の幹事(計21人)と厚生省・労働省を始めとする18関係省庁の出席で行われた。冒頭有識者会議メンバー2名の会議内容や提言が具体的施策となるよう議論して欲しい旨発言があり、その後幹事の自己紹介と今後の日程及び進め方等の説明を行い初回を終えた。
 第2回から第4回までは各団体の報告を中心に行う。 各種団体の少子化問題についての今後の取り組み等を含む報告の概略は以下の通り。(報告順に)


 日本経営者団体連盟
・女性の積極的な活用と雇用環境の整備
@労使の話し合いによる出産・育児休暇制度の拡充
@結婚退職・出産退職の慣行の見直し
・男性の家事・育児参加などにも資する勤務・処遇形態の見直し
裁量労働制、フレックスタイム、時差出勤、在宅勤務などの柔軟な勤務体系の導入。成果主義年俸制の導入。
・異動、配置転換、転勤制度の運用に際して、家事事情への配慮を高める
・出産・子育て後の職場復帰への支援
@職場復帰時における研修の充実
@出産・子育てによる一時的引退後の職場復帰時における処遇の見直し
@労働移動が不利にならない賃金・退職金・福利厚生制度の見直し。


 日本商工会議所
少子化対策に関する普及啓蒙活動(男女雇用機会均等法男女共同参画社会の普及啓蒙、絵画・標語の募集等)、
育児休業制度の徹底や企業内託児所の設置促進等の環境整備、
・結婚支援制度の運営、独身男女交流会の実施、
・空き店舗を利用しての保育所・託児所や駅型保育施設等の設置支援、
・子供会の支援、子育て教室の開催など親への支援、
少子化対策に積極的な企業団体の表彰

 関西経済連合会
・多様な人材の能力発揮が可能な職場環境の整備@多様なライフスタイルに応じた柔軟な雇用制度の創設、
・職場と家庭の両立の確保@職場優先、男性中心の企業風土を見直し、職場と家庭の両立を確保、
・少子高齢ビジネスの積極的展開@保育などの公共部門への民間参入(規制緩和)などの企業家精神の発揮  

日本労働組合総連合会
有識者会議、閣僚会議、国民会議の関係会議への報告、有識者会議の提言を構成組織・地方連合会に周知、
・「要求と提言」を関係省庁各党へ要請、
・@男女がともに仕事と育児が両立できる調和とゆとりある職場・家庭・地域生活の実現に向けた環境整備、@親や養育者が子どもを育てるための社会的支援、
・保育施設の拡充を求める地方議会の決議
・意見書採択の取組み、
・保育ニーズ調査を実施する予定

 全国国公立幼稚園園長会;
・地域の子供たちへの遊び場や機会を提供し援助する事業、
・教育相談事業、幼児教育に関する各種講座の開催、
・他機関や異校種学校との連携や交流を行う事業、
・預かり保育の実施、
子育て支援の手引書作成等の事業の実施、
保育所との連携

 全日本私立幼稚園連合会;(少子化対策についての提言から)
・出産、育児、教育にかかる保護者の負担軽減、
・乳児期の育児は親に返すべきであり、親との関わりの中で、他者に対する信頼感や人を愛する気持ちを育み、結婚や子どもを生むことにつながっていく、
・子育てに配慮した雇用環境の整備を求める、
・企業に対し、子育てが終わった親の就労を支援する制度を作るよう啓発、
・預かり保育等の充実、地域老人の保育への参加を進める、
・子育て相談交流等の充実を図る、
・中学、高校生の幼稚園での体験学習を推進する、
・テレビでもっと家庭の風景を取り上げるよう要望する

 日本保育協会;緊急保育対策等5カ年事業の経緯と実施状況を説明後・行政は基本部分の提示に留めた上での5カ年事業の推進・継続を要望、
認可保育所の独自性が発揮できるよう更なる規制緩和を、
・「保育に欠ける」文言を広義かつ柔軟に解釈し利用者ニーズに応える、
少子化対策という意味からの公的な責任と役割の明確化、
・保育の中心は「子どもたち」である事を基本に多様なサービスの効率的提供と、保育の質の確保

 日本医師会
・地域における育児支援の推進、
・乳幼児健全育成一時預かり事業への支援、
・幼稚園医、保育所嘱託医の地域医師会推薦方式の確保と乳幼児保健管理の充実、
・既存各種委員会で少子化対策を重点課題として位置づけ取り組む

 日本看護協会
・子どもを産み育てることを女性も家族も望み、妊娠・出産は良い経験となるようにする、
・「親になること」を支援、
子育て支援
・虐待や暴力の予防と問題を抱える人への支援、
・病児、障害児、体外受精児など何らかの健康上の問題を持つ子どもとその親への支援、
・他機関との協力・連携

 全国都道府県教育委員会連合会;
・各県教育委員会へ、少子化への対応の取組みに関するアンケート調査の実施及び有識者会議、閣僚会議、国民会議の活動紹介、
・教育委員長協議会の分科会における研究協議、
・教育長協議会の研究部会における調査研究、
・アンケート調査による各県教育委員会有識者会議提言への取組み

 日本PTA全国協議会;
・家庭教育の充実、
・広報啓発  住宅生産団体連合会;
・ファミリー向け借家の供給増化、
・良質な住宅ストックへの置き換え、
・住宅リホームのあり方の研究、
・ライフステージに合わせた住み替えシステムの構築。 

 全国農業協同組合中央会
・農業・農村が女性にとって魅力あるものとなるための取組み、
・女性が定住するための環境整備を図る、
・子育て・子どもの教育に農業・農村の果たす役割をより発揮していく為の取組み

 全国社会福祉協議会
子育て支援に関するフォーラム、セミナーの開催
・国際家族年記念キャンペーン、子どもと家族フォーラム等の開催、
子育て支援等に関する調査・研究、
有識者会議提言への対応、
児童虐待家庭内暴力問題への対応

 全国地域婦人団体連絡協議会
・仲間作り、
・各種情報の提供や学習の場作り、
・家庭教育の見直しやテレビ・出版物の点検等環境の浄化、
・世代を越えた地域の連携

 全国知事会
・青少年子育て体験事業の実施等意識啓発事業の実施、
・乳幼児医療費助成等経済的支援事業、
・独身男女の交流会の開催等その他事業、
・市町村が行う事業に対する助成、
少子化対策専門セクションの設置や検討会・協議会の開催等

 全国市長会;保健福祉施策に関する要望活動から
・エンゼルプランをはじめとした子育て及び仕事との両立支援施策の総合的・計画的推進、
・特別保育事業の補助制度の充実、
保育所等の児童福祉施設の老朽化対策など、施設整備に対する財政支援措置の充実、
・放課後児童健全育成事業の運営費及び施設整備費に対する財政措置の充実、
・児童手当の支給年齢、支給額の引き上げ及び所得制限の見直し等制度の充実、
育児休業制度及びファミリーサポートセンター事業の充実をはじめとした就労環境の整備

 全国町村会;厚生省等への要望活動から
・緊急保育対策等5カ年事業の終了に伴う新たな保育対策事業の策定及び保育にかかる財政措置の充実、
・児童健全育成対策にかかる財政措置の充実、
・乳幼児にかかる医療費の無料化の制度化

 日本新聞協会;
基本的に加盟各社の対応であるが、事実の報道だけでなく、特集や提言報道にも取り組んでいる。シンポジュウムなど国民を啓蒙する企画があって申し出てもらえれば各社とも対応する。

 日本放送協会
望みながら子どもを産めない人たちを支えていく環境作りを課題とし、番組・ニュース・世論調査の実施を通して少子化の現状、少子化の背景や原因、社会への影響などについて幅広く伝えている。

 日本民間放送連盟
少子化の問題に関する現状や様々な課題等について、定時ニュースや報道番組などで積極的に取り上げ、正確な情報提供に努めている。 と各種団体ともその業種特性に沿った形での取組みと今後への課題を示している。


 上記の報告を基に12月22日の第5回幹事会では報告書案の取りまとめ作業に入る予定であったが、議論が充分なされていない部分がクローズアップされ、(特に働き方部門での労使関係の部分)本年2月に第6回幹事会を開催予定となった。 有識者会議の提言には環境整備すべき内容として「働き方に関する事項」と「家庭、地域、教育のあり方などに関する事項」として問題の整理と課題、取り組むべき関係省庁並びに関係団体までも具体的に示されており、上記団体・関係省庁もその趣旨に沿った形で取り組んでいる。その結果、少子化対策推進関係閣僚会議による「少子化対策推進基本方針」が取りまとめられ、新エンゼルプランの策定がなされた訳である。 このように国民的課題として少子化対策が進む中で、その中心的役割として育児支援と就労支援を担ってきた保育所であるが、新児童福祉法が施行されたとは言え、制度運用面等内部的には旧態依然として措置を引きずっている感が強い。保育所として少子化対策や今後の育児・就労支援、ひいては2001年の省庁再編を考えるとき、更なる規制緩和策を講じる事が認可保育所の真価を発揮できるものと考える。

特集:なぜ女性差別はなくならないのか

アジェンダ 未来への課題 2021年夏号

表題の特集に興味をもち『アジェンダ 未来への課題』という雑誌を取り寄せてみた。すると、私も参加していた「セーフアボーションデー 堕胎罪なくそ!」というイベントの6時間超の動画が紹介されていたので、びっくりした。(グループに対して、取材・記事化の申し出はなかったと思う。)

セーフアボーション=安全な中絶を求めるということは、今は安全でないということ? 言葉の印象からは?マークが飛び交うわけですが、動画を見ると、かなり知らないことばかりで驚きます。日本はこんなに世界から立ち遅れているのか。……中絶と言う医療の場面でこんなにも国際標準と違うことにはやはり驚かざるを得ません。

中絶方法、値段、法律、リプロの権利、女性への負担、避妊方法の少なさ、懲罰的な医療者の態度、「中絶が命をつむものであり、してはいけないこと」と教科書に記載されていること、当事者が悶々とした思いをかかえていること……などなど、が紹介されている。

動画リンクが貼ってあるので、ここでも再紹介しておく。
http://youtu.be/6m5SDcoYPbg

中絶文化戦争について、英国は異なる道を歩む: 米国が人工妊娠中絶の制限に取り組むなか、英国の議員たちはすべての法的罰則の廃止を提案している

POLITICO, APRIL 8, 2024, BY ANNABELLE DICKSON

On abortion culture wars, Britain takes a different path – POLITICO

仮訳します

 ロンドン - イギリスの中絶法が見直されるかもしれない。イギリス人はおそらく街頭に繰り出すことはないだろう。

 ロー対ウェイド裁判を覆し、連邦政府による中絶の権利を終わらせた2022年の最高裁判決による分裂の余波に、米国が取り組み続けるなか、英国の議員たちは、この話題の問題について独自の議論を行う準備を進めている。

 1967年に制定された議会法では、いくつかの条件が満たされ、2人の医師によるサインがある限り、妊娠24週までの中絶を認めているが、イギリスの古くからの法律では、女性が「流産を調達する」ことは犯罪である。

 何十年もの間、英国の政治家や有権者は、米国が中絶へのアクセスを制限する措置をとっているにもかかわらず、この取り決めを広く支持しているように見えた。

 しかしここ数カ月、法的制限を完全に廃止することに賛成する意見に変化の兆しが見えている。

 6月に3児の母であるカーラ・フォスターが違法な中絶の罪で投獄され、1967年に制定された法律に違反したとして、かつてない数の女性が警察の捜査を受けているという統計が発表されたことで、中絶が刑事司法制度においてどのように扱われるべきかという議論が巻き起こった。

 フォスターはその後釈放され、控訴審で執行猶予付きの判決を受けたが、彼女の経験から、中絶は法的な問題ではなく、医学的な問題として扱われるべきであると指摘する国会議員もいる。

 この事態を収束させるために」下院内務委員会の委員長を務める労働党のダイアナ・ジョンソン議員は、現在、自身の妊娠に関連して行動する女性が犯罪を犯したと認定されないよう、法律を改正する計画を打ち出している。彼女は、政府の刑事司法法案に対する修正案を作成し、イースター後に下院に戻ったときに国会議員が投票する可能性がある。

 英国王立産科婦人科学会は1月、医師やその他の医療スタッフに対し、違法堕胎の疑いを警察に通報しないよう指導するガイダンスを発行すると発表した。

 国会議員はすでに2019年、北アイルランドでの中絶を事実上非犯罪化し、中絶サービスの提供を強制することを決議している。

 英国の国会議員の中には、同時に規制強化を推進する者もいる。保守党のキャロライン・アンセル議員は別に、刑事司法法案の自身の修正案を通じて、ほとんどの中絶の上限を24週から22週に引き下げようとしている。

 しかし、提案されている変更点については各方面から強い意見が出ているものの、中絶が米国やその他の国々で文化的な火種になると考える人はほとんどいない。ちょうど今週、米国の政治は、ロー対ウェイド裁判の崩壊以来、選挙戦で共和党を苦しめてきたこの問題へのドナルド・トランプ自身の取り組みによって再び活気づいた。

 「ジョンソン氏は、英国での議論について、「アメリカ人ほどには、この問題は心理的に浸透していないと思います。

「私はこの問題から熱気を取り去り、刑法上の問題ではなく、ヘルスケアの問題としてとらえたいと思っています。

 キングス・カレッジ・ロンドンのポリシー・インスティテュート所長で、カルチャー・ウォーズの専門家であるボビー・ダフィーは、人工妊娠中絶は「非常に感情的」な問題ではあるが、英国では米国のような分裂問題になることはないだろうと言う。

 「この非常に世俗的な社会では、それを受け入れる傾向が非常に強いため、難しいのです」と彼は言う。

 国内世論を研究しているYouGovの政治・社会世論調査のディレクター、アンソニー・ウェルズ氏によれば、「世論の大半は現状に満足している」。イギリスでは中絶の権利を制限しようという明確な動きはなく、この話題はほとんど政治化されていない、とウェルズ氏は主張する。

 世論調査によれば、イギリス人はアメリカ人よりも中絶を受け入れているようだ。

 ダフィーのポリシー・インスティテュートが昨年発表した報告書によれば、世界価値観調査に参加した人々の47%が中絶を正当化すると考えており、これはスウェーデンノルウェー、フランスに次ぐもので、30%に過ぎないアメリカを大きく引き離している。

 また、フォスターが投獄されたことで注目された昨年のYouGovによる世論調査では、52パーセント対21パーセントの大差で、規定外の中絶をした女性が刑事訴追を受けるべきでないと考えていることがわかった。

 しかし、労働党のステラ・クリーシー議員はPOLITICOに対し、プロ・チョイスの議員たちは米国を参考にすべきだと語り、中絶規制を強化しようとする活動家たちが英国で「非公開の」組織作りを強化する中、「満足しているわけにはいかない」と警告している。

 「オブザーバー」紙は今週末、米国を拠点とする大手キリスト教ロビー団体「自由を守る同盟」が2020年以降、英国での支出を2倍以上に増やし、国会議員との関与を強めていると報じた。

 クリーシーは先週、党派を超えた議員グループとともに、刑事司法法案に独自の修正案を提出した。この修正案は、イングランドウェールズにおいて、医療従事者を訴追から守り、中絶へのアクセスを人権とすることを目的としている。これは、2019年に北アイルランドで導入された法律を一部モデルにしており、政府の閣僚に中絶へのアクセスを保護する明確な義務を課すものである。

 「中絶に反対する人たちは、NHSであれ、公務員であれ、議会であれ、法改正を踏まえて規制や新たなガイダンスを要求することで、このサービスへのアクセスを食い物にするあらゆるチャンスを喜んでいる」とクリーシーは月曜日のガーディアン紙に書いている。

 「極端な」英国での議論の風潮は、米国で見られるようなものには至っていないが、すべての英国議員が中絶法の自由化を推進することに賛成しているわけではない。

 保守党のミリアム・ケイツ議員は、もしジョンソン修正案が承認されれば、後期中絶を助長することになると警告し、もしこの案が可決されれば、より広範な司法改革を含む刑事司法法案全体に反対票を投じる可能性があると述べた。

 北アイルランド民主統一党のカーラ・ロックハート議員もこれに同意し、「極端な中絶修正案」は「妊娠9ヶ月の間ずっと、どんな理由でも子を中絶できるようにする」と警告している。

 彼女は、世論はもっと微妙なものだと考えており、中絶の上限期間を24週以降に延長すべきだと考えているのはわずか1%だという2017年のコムレス社の世論調査を引用している。

 しかし、ジョンソンはこう主張する。「人々は中絶が合法だと思っているが、それが刑法に支えられていることを理解していないのです」。

 彼女はこう付け加える。「国民の大多数は、女性が中絶を必要とする場合、中絶にアクセスできるべきだと考えています」。

 与党保守党の議員であるアンセル氏は、医学の進歩により、未熟児が低年齢で生存するケースが増えているとして、ほとんどの場合における中絶の上限を24週から22週に引き下げたいと考えている。

 イースター休暇のために国会が解散したとき、彼女は36人の国会議員の支持を得ていた。

 元総合診療医であるリアム・フォックス元内閣閣僚は、ダウン症児の中絶期限を障害のない赤ちゃんと同じにする法改正案で39人の議員の支持を得ている。両条項とも、議会が戻った後、さらに多くの議員の署名を集めることになりそうだ。


超党派
 英国政府は伝統的に、中絶は議員の良心の問題であるとし、党派を超えて投票することを認めてきた。

 「中絶は、フロントベンチや政府が扱いたがる問題ではありません。「中絶は、前列の議員や政府が扱いたがる問題ではありません。

 英国の妊娠中絶反対団体も、米国に比べれば目立たない。

 「アメリカでは、キリスト教右派が莫大な資金を持ち、中絶反対運動に多くのリソースを投入しています。クリーシーはこれに同意せず、彼女自身の修正案は、法律を自由化しようとする試みに対して起こるであろう組織的な「反発」に「先手を打つ」ことを目的としていると言う。

 いずれにせよ、英国における中絶自由化の動きは、大西洋の向こうでの議論にはほとんど影響を及ぼしていないと、海外英国共和党の広報担当者でプロライフ支持者のサラ・エリオットは言う。

 「米国は非常に内向きです。アメリカは大きな国で、戦うべき戦いがあるのです」と彼女は言う。

 しかし、エリオットは英国における中絶自由化の動きに落胆している。

 「かつてはキリスト教の価値観に根ざし、プロ・ライフの傾向にあった国々が、このような方向に進んでいるのを見るのは、プロ・ライフ運動に携わる者にとって落胆することだと思います。

 この記事は追加取材により更新されました。

性を買う側への処罰を実現 法改正で変わったフランス社会のまなざし

朝日新聞デジタル記事 大貫聡子2024年4月10日 9時00分

有料記事ですが、無料で読めたところまで紹介します。
https://www.asahi.com/articles/ASS3X44MCS2JTLVB00D.html

 売春のための客待ちをしたとして、女性たちが摘発される事件が相次ぐ。売春防止法が「売春の相手方となるよう勧誘」する行為に罰則を科しているためだが、性売買そのものには罰則がないため買った側は摘発されない。フランスでは売春の状況にある人を保護すべき存在と捉え、ケアや支援に取り組む。2016年には買春する側に罰則を科す法律が制定された。どんな理念が背景にあるのか、取材した。

売春する未成年は被害者
 ルーブル美術館の隣にある「QJ」の表示が掲げられた建物。玄関から入って階段を上がると、明るくカフェのようなスペースやテラスに若者が集い、お茶を飲みながらおしゃべりをしたりパソコンで作業をしたり。

 若者向けの仕事や住まいの情報など、20近い団体がサービスを提供しているパリの青少年センターだ。ここに、未成年売春被害ケア専門団体「オペリア」も入る。

 フランスは2002年に性売買に関わる未成年を保護する法律をつくり、売春する未成年を被害者と規定した。政府も未成年の保護に力を入れる。

 「こうした未成年を対象とした専門団体は各県にあります」。オペリアでセクソロジスト(性カウンセラー)を務めるクロード・ジョルダネラさんは説明した。

 ジョルダネラさんはもともとは看護師。高校や中学で性感染症予防などに取りくんでいたが、04年にセクソロジストの資格を取得した。「『性的健康』は人間の土台だと考えたからです」と話す。

 性的健康という言葉は、日本ではあまり耳なじみがないが、WHO(世界保健機関)は「性に関して身体的、情緒的、精神的、社会的に良好な状態」と定義する。フランスでは、売春をする状況は性的健康が傷ついている状況だととらえるという。

中絶禁止を支持しないトランプに騙されるな

Time, BY SERENA MAYERIAPRIL 9, 2024 10:51 AM EDT

The High Stakes of Trump's Abortion Lies | TIME

仮訳します。

 ドナルド・トランプ前大統領はトゥルース・ソーシャルで、妊娠中絶に関する法律や政策を州が管理することを支持し、全国的な禁止を支持しないことを表明した。彼はまた、ドッブス対ジャクソン女性保健機構事件で最高裁がロー対ウェイド判決を覆したことは、"両陣営 "の "すべての法学者 "によって支持されたと主張した。トランプによれば、中絶は「法的見地から、誰もが望んだこと」なのだ。

 もちろん、これらはすべて明らかに間違っている。数十年にわたる法学研究と擁護活動は、ドッブスが排除した中絶に対する連邦憲法上の権利を支持している。政策として合法的な中絶を支持する学者の中には、裁判所がロー判決で下した結果を批判する者もいるが、少数派である。また、ロー対ウェイド裁判の理由を批判する学者もいる。ルース・バーダー・ギンズバーグのように、家族計画連盟対ケイシー事件(1992年)の平等理論を支持する者もいる。しかし、すべての、あるいはほとんどの法学者が、裁判所が中絶を選択する権利を抹殺することを望んでいたという考えは馬鹿げている。

 トランプが全国的な妊娠中絶禁止案を支持しなかったことに騙されてはならない。間違えてはならないのは、第二次トランプ政権は、あらゆる場所で中絶を違法とすることを決意した中絶反対運動に力を与えるということだ。共和党が議会を占拠しなかったとしても、薬による中絶を不可能にし、1873年に制定された古臭い悪徳商法防止法であるコムストック法を復活させ、全米で中絶を禁止する計画がある。受精の瞬間から胚を法的な人格と定義する胎児人格の推進派は、中絶や流産のケアだけでなく、体外受精や一般的な避妊法も脅かし、その目標の実現に近づくだろう。トランプは、自党の過激主義から目をそらすために、民主党が「赤ん坊を処刑」したがっているというグロテスクな嘘を宣伝している。

 トランプがこのような虚偽で誤解を招くような主張を展開するのは、中絶に関する真実が自身の立候補と共和党全般を危険にさらすことを理解しているからだ。論争を終わらせるどころか、中絶を各州に戻すことはすでに、世論とかけ離れた結果をもたらしている。医師や病院は、患者の権利が胚や胎児の権利に優先するほど死に近づいていないことを理由に、流産治療を含む基本的な医療を日常的に拒否している。例外のない、あるいは実効性のない州法は、子ども、レイプや近親姦の生存者、生存不可能な胎児を持つ人々に、彼らの健康や将来の生殖能力への影響にかかわらず、妊娠の継続を強制している。医師が刑事責任や民事責任を恐れているため、母体の健康砂漠が拡大している。妊娠中絶の禁止は、アメリカ人女性、特に黒人女性にとって、妊娠と出産が原因で死亡する確率が白人女性の約3倍も高いという、妊娠を死の危険にさらす妊産婦と乳児の死亡危機を悪化させる。

 理論的には中絶に疑問を持つ人々でさえ、実際にはこのような恐ろしい結果を好まない。ギャラップ社とアクシオス社の最近の世論調査によれば、中絶の全面禁止と全面禁止に近い措置に反対する国民が超多数を占め、共和党員でさえも、生殖医療に関する決定から政府を完全に締め出すことを支持する国民が多数を占めている。ドッブス以降のすべての投票イニシアチブは、中絶の権利と中絶へのアクセスを支持して決議されている。実際、妊娠中絶は、アメリカ人がリプロダクティブ・フリーダムを支持する候補者に投票する動機付けとなっている。

 おそらくトランプの嘘の中で最も悪質なものは、中絶を州に戻すことが民主主義の勝利だというものだ。自分の身体と人生に関する最も基本的な決定を下す権利を人々から奪うことは、深く非民主的であり、世界中の権威主義政権の特徴である。極端な人工妊娠中絶禁止法や胎児性人格法は、国民の反対にもかかわらず、共和党に超多数を与える歯止めのない党派的ゲリマンダーのおかげで可決されている。最も保守的な議員でさえ、堕胎の全面禁止に対する例外を支持すれば、たとえそれがどんなに些細で非効果的なものであっても、右派からの第一次攻撃に怯えながら生活している。トランプは、ドブスの後の中絶法は "全ては民意だ "と言う。しかし実際には、共和党国民投票が投票に達するのを妨げ、世論に逆らう州裁判所をその決定に対する説明責任から守り、有権者の権利を奪うことによって、中絶に関する決定を国民の手から奪おうと躍起になっている。

 米共和党は長い間、より広範な右派のアジェンダを推進するために、有権者の支持を確保するために中絶を利用してきた。トランプは公約通り、連邦司法に、企業規制、気候変動や政治腐敗との闘い、賢明な銃安全法の制定、安価な医療の提供、女性と有色人種の機会拡大、差別との闘い、労働者と移民の権利の保護、富裕層への公平な税負担の要請など、政府の能力を破壊する法学者を詰め込んだ。

 問題は、右派が元に戻そうとする各政策を、実際にはアメリカ人の過半数が支持しているということだ。共和党が政権を維持するためには、民主的な制度や慣行を弱体化させなければならない。党派的・人種的ゲリマンダリング、有権者弾圧、選挙資金規制や投票権法の廃止は長年の戦略であり、最近では選挙否定主義、暴動、政治的暴力、白人至上主義者の復活など、すべてトランプが煽動したものであり、民主主義と法の支配を死の危険にさらしている。これらすべてが、トランプの究極の嘘、つまり民主主義を崩壊させる立役者ではなく、民主主義の擁護者であるという主張の中にある。

トランプが大統領選を前に中絶について妥協したふり?

Ms. Magazine, 4/8/2024

Trump’s Abortion Position, Explained by ROXANNE SZAL and CARRIE N. BAKER

記事を仮訳します。

 ドナルド・トランプ氏は月曜日、人工妊娠中絶は各州に委ねられるべきだとの考えを示した。全国的な中絶禁止を正式に支持することは避けられたが、前大統領の発表はすでに、女性有権者にとって最重要課題である中絶について妥協的な立場を取ろうとしていると受け止められている。アメリカ人の大多数は妊娠中絶を支持しており、共和党が課した禁止令は行き過ぎだと考えている。有権者に関して言えば、中絶反対派議員が優勢だった赤い州を含め、中絶へのアクセスは複数の選挙で人気があることが証明されている。

 中絶反対派の指導者、リプロダクティブ・ライツの専門家、そしてトランプ氏自身によれば、トランプ氏の中絶を州に委ねるという立場は、実際にはどのようなものになるのだろうか。要するに、それはドッブス判決をきっかけに課された極端な禁止の結果に苦しむ女性たちを放置するものであり、彼の大統領職には、全国的に中絶へのアクセスを高度に制限する複数の道が残されていることになる。


1.多くの州がすでに中絶禁止や制限を制定しており、女性や医師はその害からの救済を求めている
 21の州では何らかの禁止令が施行されており、14の州では中絶は現在完全に違法である。ダイアナ・グリーン・フォスター博士が率いる「2020年ターンアウェイ研究」は、中絶へのアクセスが女性の健康と幸福を強く増進させるのに対して、中絶を拒否することは身体的・経済的被害をもたらすという証拠を示している。
 このような禁止措置の急増は、自分の住む州内で中絶治療を受けられるアメリカ人がますます減っていることを意味する。ガットマッハー研究所の月刊中絶提供調査によると、中絶治療を受けるために他州に渡航する患者の数は近年倍増しており、2020年には10人に1人であったのに対し、2023年前半にはほぼ5人に1人に達する。中絶禁止は、妊娠したレイプ被害者に壊滅的な影響を及ぼしており、州外で中絶治療を受けなければならないことは、レイプのトラウマにさらに拍車をかけている。最高裁がローを覆した後の18カ月間に、報告されたレイプと報告されなかったレイプが合わせて50万件以上あり、その結果6万5千件のレイプによる妊娠が発生した。(全州の中で、レイプによる妊娠が最も多かったのはテキサス州で、その数は26,313件。)
 (何千人もの10代の若者を含む)妊婦が、望まない妊娠を強いられているだけでなく、生存不可能な胎児を出産するために、肉体的・精神的健康を危険にさらすことを強いられている人もいる。中絶を犯罪化する極端な禁止令が医師たちの恐怖と混乱をあおり、たとえ女性の命を救うためであっても、中絶を行なえば終身刑、巨額の罰金、民事罰、医師免許の剥奪に直面するためだ。


 先週、フロリダ州最高裁が同州における6週間の妊娠中絶禁止を支持したことを受けて、ジョー・バイデン大統領は現在の妊娠中絶の状況を次のように総括した。「女性たちは緊急治療室から追い返され、必要な治療を受ける許可を得るために裁判を余儀なくされ、医療を受けるために何百マイルも移動しなければならなくなっている。」
 アイダホ州オクラホマ州テネシー州テキサス州では、危険な妊娠のために中絶を拒否された女性たちが、多くの医師たちとともに州法の明確化を求めて訴訟を起こし、さまざまな成功を収めている。
 今月末、最高裁は中絶に関連するもう一つの訴訟、アイダホ対米国裁判を審理し、連邦法である緊急医療・活動的労働法(EMTALA)が州レベルの中絶禁止に優先するかどうかを判断する。「バイデン政権は、医師は患者を単に生かしておくだけでなく、安定させておかなければならない、つまり医師は患者の死を避けるだけでなく、取り返しのつかない大きな害を避ける手助けをしなければならないとする連邦法が、妊婦にも完全に適用されることを明らかにしようとしている」と、ジル・フィリポヴィッチはこの裁判を要約して書いている。「ロー対ウェイド裁判を覆した最高裁は、今、妊婦は法の下で完全な人間なのだろうか?という問いに答えることを求められている。」この訴訟は4月24日に弁論が行なわれ、判決は6月に出される予定である。


2.最高裁は、遠隔医療による中絶を全国的に禁止する可能性がある――これは、特に中絶を禁止している州の人々にとって、ドッブス後の中絶アクセスを妨げる重要な手段である
 裁判所はすでに、中絶薬ミフェプリストンFDA承認に対する共和党の異議申し立てを検討している。
 反中絶団体「ヒポクラティック医学同盟」が先月提訴したこの裁判は、中絶薬ミフェプリストンが女性や少女にとって危険であるとして、その入手を制限しようとするものである。専門家たちはこれに同意していない。FDAによれば、ミフェプリストンは99.6%の確率で妊娠を終了させ、重大な合併症のリスクは0.4%、死亡率は0.001%未満である。同様に、米国産科婦人科学会は、「重大な有害事象-重大な感染症、過度の出血、入院」は患者の0.32パーセント未満であるとしている。判決は今夏に出される予定である。
 2023年には、中絶の63%が薬物療法で行われており、2017年の39%から増加した。


3.プロジェクト2025の背後にいる中絶反対活動家たちは、コムストック法に狙いを定めている
 たとえ最高裁ミフェプリストン事件を却下したとしても、中絶反対派は次期大統領に闘いを続けるよう要請している。100を超える右翼団体の連合体であるプロジェクト2025が最近発表した詳細な政策課題は、共和党の次期大統領に対し、中絶薬であるミフェプリストンを全国の市場から排除するようFDAに指示するよう求めている。少なくとも、プロジェクト2025は、次期共和党大統領に対し、ミフェプリストンの「以前の安全プロトコルを復活させる」よう指示している。これには、遠隔医療による中絶を禁止する対面調剤の義務化も含まれる。
 中絶反対運動はまた、「わいせつ物」の郵送を禁止する19世紀の「貞操」法であるコムストック法を利用して、中絶を全国的に禁止しようとしている。先月のFDA対ヒポクラティック医学同盟の口頭弁論では、少なくとも2人の判事が1873年に制定されたこの法律を使って中絶を全国的に禁止することに前向きであることを表明した。
 中絶反対活動家のマーク・リー・ディクソンとジョナサン・ミッチェルが認めているように、アメリカには「連邦政府による『新たな』中絶禁止法は必要ない。なぜならコムストック法は、アメリカのすべての州で中絶を終わらせる『事実上の』中絶禁止法だからである」。
 この法律はミフェプリストンだけでなく、中絶に使われる他の薬や器具にも適用される可能性があり、薬による中絶だけでなく、外科処置による中絶も禁止されることになる。
 ジェシカ・ヴァレンティは『中絶、毎日』でこのように要約している。「第二次トランプ政権のための保守派の中絶計画は、全国的な禁止に頼ってはいない。その代わりに、FDAと司法省を支配して裏口禁止を実施することに焦点を合わせている。FDAの責任者を交代させることで、トランプ政権は、妊娠を終わらせるために使われる2つの薬のうちの1つであるミフェプリストンの承認を取り消すだろう。......司法省では、『わいせつ物 』の発送を違法とする19世紀のゾンビ法であるコムストック法が、中絶薬や中絶用品の郵送を阻止するために使われることになるだろう」。
 「女性の命が危険にさらされ、医師は自分の仕事を理由に脅迫され、避妊具への攻撃、体外受精による不妊治療への脅迫が行われる」と、バイデン=ハリス・キャンペーン・マネージャーのジュリー・ロドリゲスは警告した。「トランプと彼のプロジェクト2025の過激派がアメリカに何をもたらすか、その暗いプレビューである」。


4.トランプは、長年にわたって中絶に関して手のひらを返してきたにもかかわらず、米国にドブス最高裁を与えた
 1999年10月、NBCの『ミート・ザ・プレス』で、トランプは、「私は、あらゆる点で......あらゆる点で......中絶賛成派だ」と述べた。
 2011年2月、彼は立場を翻したようだ。大統領選への出馬を検討していたトランプは、保守政治行動会議の前で「私はプロライフだ」と宣言した。
 2016年2月、正式に大統領選に出馬したトランプは、この中絶反対の姿勢をさらに強め、中絶を求める女性に「何らかの罰」を与えるよう促した。


 同年10月、トランプはロー対ウェイド裁判を覆すために必要な人数の判事を最高裁判事に任命すると宣言した。2017年にニール・ゴーサッチ、2018年にブレット・カバノー、2020年にエイミー・コニー・バレットが指名された。
 2022年夏、ついにローが覆されたとき、トランプはドブスを可能にする裁判官を法廷に据えた功績を称え、この判決を「この世代で最大の生命への勝利」であり、「3人の非常に尊敬される強力な憲法学者を指名し、合衆国最高裁判所に確定させるなど、私が約束通りすべてを実現したからこそ可能になった」と呼んだ。そして、「そうすることができ、大変光栄だった」と付け加えた。
 先月、トランプ大統領はアドバイザーや盟友たちに、全国で16週間の中絶禁止を支持すると語ったと、ある無名の情報筋がニューヨーク・タイムズ紙に語った。彼はその情報筋に、16という数字が好きだと語ったという。4ヶ月だから」。
 彼が何を言おうと、トランプの行動は彼の言葉よりも雄弁である。彼は、憲法で定められた中絶の権利を覆す人物を最高裁判事に任命し、彼の支持者は、有権者が中絶の権利を支持しているにもかかわらず、半数近くの州で中絶を禁止し、彼と彼の支持者は、共和党が1月にホワイトハウスを奪還した場合、全国で中絶を禁止する詳細な計画を公に共有している。トランプとその支持者たちは、彼が再選されれば全米で妊娠中絶を禁止することは明らかだ。