リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

 先日,ここに書いた小学校における防犯グッズや防犯意識啓発パンフレットの配布の件がずっと頭に引っかかっていたんだけど,ああいうのって,「世の中に悪い人」がいる実態や,危険から身を守る技術は教えても,子どもたちがその「悪い人」に育たないようにする教育は欠けているような気がする。子どもたちは被害者だという一方的な視点しかない。悪は最初からずっと悪であり,罪に問われるのは自己責任。あとは捕まって,排除されるか,改心して「善い人」に180度転換を遂げるしかない。だから,早めに悪の種を見つけ出せ,つまみ出せ,臭くなりそうなものにはさっさと蓋をしろ,といった発想があるような……だけど,何かもっとこう,変えていこうとか,みんなで関わっていこうといった発想の教育方法がないものだろうか……と思う。

 道徳教育が(その中身はともかく)不要だと言っているわけじゃないし,子どもには勧善懲悪を一度は教え込む必要があるだろうとは思う。また実践的に被害から身を守るすべ(いかのおすし=ついて「いか」ない,知らない人の車に「の」らない,「お」おごえで助けを求める……とか何とか)を教え込むのも,小さい子の場合には重要かもしれないけれども,その背後には,世の中には「わたしたちのように善い人」と「わたしたちとは違う悪い人」がいるとでも言わんばかりの勧善懲悪的二項対立の発想が見え隠れしているし,それを学校=正しい権威が「配布する」という構図も,なんだか気にかかる。

でも,我が子が襲われるということを想像するだに恐ろしいし,どう考えたものか,どう教えたものかと悩んでしまう。