リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

人工妊娠中絶後に出現する異常細胞の動態について

本もいちおう書き上げたので,このところずっと手持ち資料の整理に追われています。すると,いっぱい出てくるのですね・・・引用しなかったけど興味深い論文が。今日は上記タイトルの論文コピーが見つかりました。「人工妊娠中絶後のスミアにおいて出現する異常細胞の新分類および出現状態の追跡ならびにその細胞の由来について検討を行った」という研究です。

スミアとは子宮頸部細胞診(pap smear)のことでしょう。

研究方法としては,人工妊娠中絶術式は「流産鉗子+キューレッテージの在来法」(いわゆる「掻爬」法)と「吸引法単独方式」の2法について,異常細胞の出現率等を比較検討しています。

結論の中で興味深いのは次の部分。

4) 人工妊娠中絶術式すなわち流産鉗子+キューレッテージの在来法と吸引法単独方式では後者が明らかに子宮内腔に及ぼす侵襲が少ないと考えられる。このことは,異常細胞の出現が70.7%から45%に低下することからも明らかである。(『産科と婦人科』49(12):62-8. 長野寿久他,1982)

この異常細胞というのは癌化する可能性があるものなのでしょうか・・・? そこらへんは素人の私には判断がつきませんが,少なくとも1980年代の日本で掻爬より吸引の方が侵襲が少ない(つまり安全)とする論文が日本でも出ていたわけです。

ついでに。この論文を見ていた頃の私は,PubMedでこんな検索をかけていたようです。

abortion, perforation, vacuum で検索→82件ヒット
abortion, perforation, curettage で検索→134件ヒット

なお上記を検索した日は2005年7月5日でした。