平成22年度厚生労働科学研究費補助金を受けた望まない妊娠防止対策に関する総合的研究の成果として，標記の冊子が成人用と中高生用に作成されたのを知りました。内容は下記でダウンロードできます。
基本的にはよくできた冊子だと思います。
ただ，中高生にピルを第一の避妊方法として勧めている点は，経済的・社会的にまだまだ無理があるように感じました。経済的にというのは，もちろん価格がそんなに安いとはいえないためです。また，女の子の方ばかりに金銭的・行動的負担がかかることも問題。SEXの可能性がありそうだと思った女の子は，実際にしてもしなくても常に買って飲んで備えておかなくちゃいけないというのは不公平ですよね。そのバランスを取るために，コンドームの勧めもしているんだろうけど……男の子にそれを負担させるという発想はこの冊子の中にはない。
社会的にまだ無理があるというのは，一般的には親や薬局などの理解やサポート体制がまだまだできていないだろうと思うからです。もちろん，将来的には女性の側が自分の身体をコントロールするために自主的に飲むというのは悪いことではないので，中高校生の女の子の親はむしろ積極的に，修学旅行やスポーツの大会などで月経をずらしたいと当人が思うような機会があったら，産婦人科を受診したらどうかと促し，ピルを飲んでみる機会を与えてみてもよいでしょう。ついでに，タンポンの導入なども同様の機会にトライさせてみると，女の子の行動範囲は大きく広がると思います。
