リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

「リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」と「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」RH&R と RH/R

リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」というのと「リプロダクティヴ・ヘルス&ライツ」というのは、大きく違うと、わたしは思います(著書にも書きましたが)。

ヴとブはどっちでもいいのですが(趣味の問題)、「/」と「&」は、大きく違います。「/」は「or(又は)」を意味し、「&」は「and(そしてこれも)」を意味します。

リプロダクティブ・ヘルス(生殖に関連する健康)」または「リプロダクティブ・ライツ(生殖に関する権利)」……なんて、どう考えたって変だと、わたしは思うのです。

健康と権利が「or(または)」で結ばれるとなると、どっちかでいい、健康があれば権利はなくてもいいことになってしまうんです。

そんなバカな……!

そもそも「健康」というのが、何を意味しているのかという問題もあるわけで。

人それぞれ、「健康」の定義は違うからです。

元気はつらつ、オリンピックにも出られる状態が「健康」と思う人もいれば、病気を持っていても、身体に痛みを持っていても、自分としてはOKな状態であれば「健康」だと思う人もいる。

そうした主観的なことと、人間として最低限の、だれもが満たされなければならない権利、人権が「or」でつながれていて、いいわけはありません。

RH&Rは主観としての健康(well-being)が満たされており、なおかつ、人間として誰もが等しく持ちあわせている権利もまた保障されている状態のことを指しているのだと、わたしは考えています。

政府訳の「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」という表現は、曖昧で分かりづらく誤解されやすい。実際、わたしもこの表現でリプロを考えていた時には、さっぱり意味が分からず、理解が進みませんでした。そうした表現の問題も、もっと知られてほしいと願っています。