リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

「原則的に日本の中絶は保険適用」できません!

WHOに誤情報が載っていた

WHOのグローバル・アボーション・ポリシー・データベース(https://abortion-policies.srhr.org/)にあった日本の中絶に関する誤情報(日本の中絶には保険が効く)を修正するために、このところずっとWHOのオフィサーとやりとりをしてきました。

WHOから求められていたオフィシャルな証拠文書がようやく見つかったので、提供しました。やっと修正してくれるそうです! 文書の在り処を共有します。

優生保護法による優生手術及び人工妊娠中絶術の保険給付について
(昭和二七年九月二九日)
(保発第五六号)
(各都道府県知事あて厚生省保険局長通知)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta2687&dataType=1&pageNo=1

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https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta2687&dataType=1&pageNo=1


平成14年度に衛生行政報告例の中で「母体保護統計」が扱われるようになってからは「事由別」の統計がなくなっています(少なくとも毎年は取っていない……たぶんずっと取らなくなっていると思います)。なので平成13年(2001年)の最後の母体保護法統計から表8(事由別・年齢別)を示しました。以下のページの最後の段から2つ目の表を見てください。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450029&tstat=000001024040&cycle=7&tclass1=000001030988&tclass2val=0

ご覧の通り、日本の中絶は99.9%「経済的理由による母体の健康」を理由に行われているのですが、通知では「経済的理由による」ものは保険適用外だと書いてあります。なので日本では「原則、中絶に保険はきかない」ということが証明出来ました。