リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中絶薬合法化を期にリプロダクティブ・ライツに沿った中絶医療を!

女性が自分の人生の中で選択するもの

参議院内閣府委員会で田村智子委員が経口中絶薬に関して踏み込んだ質疑を行いました。海外ではミフェ&ミソのコンビ薬で妊娠9週未満は98%の成功率であり、WHOも必須医薬品として認めている安全で有効な薬であり、すべての女性がアクセスできるように早期導入すべきであること。


2012年の医会調査で明らかになった通り、日本の中絶の8割で使われている搔爬の使用率は、イギリスでは0%、先進国では0~4%であり、WHOからは「時代遅れの外科的中絶法」として他の安全な方法に切り替えるよう指導されていること、日本でも安全な中絶ガイドラインを策定し医師を啓発すべきであること


中絶薬の導入にあたり、中絶の保険適用を検討すべきであること、日本の治験で使われたラインファーマ社の中絶薬パックは300カナダドル、205米ドルで売られているという海外の価格を参照にして価格設定すべきこと。


すでに日本に導入済みのミソプロストールは1錠29.5円であり、これに米国で販売されているミフェプリストン60~70ドルなので、合わせても1万円にはならないはず、日本の治験では入院させて中絶を行っているが、これがそのまま適用されると、現在の中絶手術と同じ10万~20万円の費用負担になってしまう。


薬による中絶を導入しても、経済的な理由で中絶を受けたいと思う人が、価格のために手を出せないと、安全な方法を選べなくなってしまうこと。若い子などは経済的理由で迷っているうちに手遅れになり、0歳児の虐待に追いやられてしまうこと。

田村智子議員は、もはやリプロダクティブ・ヘルス&ライツの時代、人生設計として女性が中絶を自己決定権できる時代であること……等々を答弁されました。快挙だと思います。


以下は、私の感想です。


現代は、12歳に初経があり55歳に閉経する人だと、生涯に500周期以上の月経があるという前人未到の時代を今の女性たちは生きています。

女は自分のからだで、自分の人生の中で子を産みます。


産むのであれば、個々の女性の人生のなかでベストな時期に産みたいというのは当然の願いではないでしょうか。

「胎児の生命」などという抽象論を持ち出して、女性の健康と権利を犠牲にさせようとする議論は、海外でもさんざん行われてきましたが、中絶薬の登場でほとんどなりを潜めました。


中絶薬をもちいたごく早期の中絶には、まだ「胎児」は登場しません。放っておいてもまだまだ流産する可能性の高い受精卵あるいは胚の「権利」を女性の「権利」より重視するというのは、女性を「容器」に貶める考え方ではないでしょうか。


誰かの意見や命令に強制的に従わせられるのであれば、それは奴隷制なのです。