リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

国会答弁「リプロダクティブライツ」

平成6年(1994年)カイロ会議前後の攻防

①第129回国会 参議院 予算委員会 第17号 平成6年6月17日
大内啓伍厚生大臣に「リプロダクティブライツ」の定義を質問⇒「確たる定義はない」、事務方に質問⇒「通常、性と生殖に関する権利と訳している」(高野幸二郎 外務省総合外交政策局国際社会協力部長)⇒「カイロ会議に出席するか」羽田孜総理大臣「何とか出席したい」
⇒「経済発展に比べて女性の地位が不十分だというのが偽らざる外国の目でございます。それから、日本の女性の顔が見えない国際貢献だというこの声も強い。こういうことをちゃんとしていただくのがむしろ総合安全保障であるということだけ申し上げまして、終わらせていただきます。」
川橋幸子(日本社会党・護憲民主連合)

②第130回国会 参議院 決算委員会 閉会後第3号 平成6年9月1日
山崎順子(新緑風会
性教育と絡めて質問

③第131回国会 参議院 外務委員会 第2号 平成6年11月1日
大渕絹子社会党・護憲民主連合)
堕胎罪とリプロダクティブ・ライツを河野洋平外務大臣に直球で質問

④第136回国会 参議院 法務委員会 第4号 平成8年3月28日
山崎順子(★精査すべき)
本人の意思によらない不妊手術が暴力
このような法律が行動綱領の採択に賛成した日本にいつまでもあるということは、女性やまた女性障害者のリプロダクティブライツ、これはセクシャルが入った方がいいと思いますが、セクシャル・リプロダクティブライツに対する侵害でありますし、国際社会に対しても恥ずべきこと
堕胎罪は憲法十四条違反ではないか、そして堕胎罪は女性に対する人権侵害ではないか
原田明夫 法務省刑事局
基本的にはなお堕胎罪の存廃問題につきまして過去積極、消極両論、それぞれ、さまざまな角度から議論がなされてきたろうと存じます。
 その中で、何よりも胎児もまた生命を持つものとして保護する必要があるという立場、そしてその軽視はひいては人命軽視にもつながるという立場、そのような御指摘。また、国民意識といたしましても、一般的に堕胎を容認する、是認するという状況には至っていないというような状況。その他いろいろございますけれども、そのような中で私ども承知する限りでは、堕胎罪を全廃したというような諸外国の例もないようでございます。
 そのような状況を考えますと、基本的にはいまだ、これまで堕胎罪を存置してまいりました事情が大きく変わったというふうに考えるには至らないであろうというふうに考えているわけでございます。

⑤第146回国会 衆議院 予算委員会 第3号 平成11年12月6日
福島豊公明党
政府一体として少子化の問題に取り組むということは大変大きな課題である。もちろん、結婚や出産は個人の選択にゆだねるべきである。また、リプロダクティブ・ライツという考え方もありますし、私もそれは深く共感をいたしておりますけれども

⑥第147回国会 参議院 国民福祉委員会 第4号 平成12年2月22日
清水澄子社会民主党・護憲連合)
エンゼルプランとリプロライツ、女性の自己決定権の整合性

⑦第147回国会 衆議院 本会議 第16号 平成12年3月28日
福島豊(⑤同様の文脈)

⑧第147回国会 衆議院 厚生委員会 第8号 平成12年4月18日
安藤誠(国立人口研究所)
一九九四年のカイロ会議において国際的合意を得ましたリプロダクティブライツを含む人権の尊重ということが大前提であるべきであります。
 リプロダクティブライツとは、子供を何人、いつ、どういう間隔で産むかを決めるのは個人並びにカップルの権利である、そういうものであります。それゆえ、少子化対策の名のもとで、独身税であるとか親子同居税であるとかというような懲罰的な税の導入をしたり、あるいは、近代的な避妊手段や人工妊娠中絶を制限するなどの施策は決してとるべきではないと考えております。

⑨第147回国会 衆議院 厚生委員会 第14号 平成12年5月12日
瀬田由紀子(共産党
人工妊娠中絶がどれほどつらく屈辱的なことか、女性の生涯にわたって心身に深い傷を残します。望まぬ妊娠をなくしたいというのが女性の切実な願いです。受胎調節実地指導などの成果で減少しているものの、年間三十三万三千二百件もの中絶がございます。この問題は、女性の自立という問題だけでは解決しないことは明らかになっています。四十代の中絶というのも多いわけで、性の知識も十分ある、しかし夫婦の関係でも協力が得られないという状況もございます。中絶問題は、日本における女性の地位というものが端的にあらわれていると思うんです。

⑩第150回国会 参議院 共生社会に関する調査会 第1号 平成12年11月1日
芦野由利子(参考人
リプロダクティブヘルス・ライツ、正確にはリプロダクティブヘルス・リプロダクティブライツでございますが、これは産児調節運動からさらに発展した概念と言うことができます。
 御存じのように、リプロダクティブヘルス・ライツは、一九九四年の国際人口・開発会議、カイロで開かれましたこの会議で提唱され、翌年北京で開かれました第四回世界女性会議で重要な女性の人権の一つであると確認されました。日本語では一般に性と生殖に関する健康及び性と生殖に関する権利と訳されますが、言いかえますと、性に関すること、産む産まないに関することを、人口政策や道徳ではなく健康と権利という視点からとらえようという考えでございます。

⑪第150回国会 参議院 共生社会に関する調査会 第2号 平成12年11月8日
仲道俊哉(自由民主党、保守党)
産まない自由のうちの中絶は、受胎する前の避妊とは異なり、胎児という一個の生命体が既に存在しているために、多くの場合罪悪感を伴い、胎児の生命の尊厳の問題、倫理観の問題、また宗教観などが絡んで、一部の識者が主張するような完全な形での中絶の権利や自由を認めることは少なからずためらいを私は感じます。
女性のリプロダクティブライツの主張は、結局のところ、堕胎罪を廃止せよ、中絶については夫の同意を必要とする母体保護法を見直せというところに行き着きます。