リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

女子学生の進路決定の要因(ピルの力)

第136回国会 参議院 法務委員会 第4号 平成8年3月28日

政策決定の場に女性がいない理由として山崎順子議員が指摘していた。

女性たちがまず文学部ですとか教育学部ですとか家政学部に行ってしまうというところも一つ問題で、小さいうちから女性も法学部ですとか経済ですとか理工学部ですとか、どんどんそういうところに行けるように私はすべきだと思います。残念ながら日本ではまだ、女性がそう思っても、例えば県立の学校などで大変優秀な女子高生が東京の大学の理工学部へ行きたいと言いますと、進学指導の先生が、「おまえ、そんなところへ行ったら嫁のもらい手がないぞ」といまだに言うような状況がございまして、女の子が一生懸命勉強しているとそんなに勉強しなくていいと。逆に男性には、自分の家の男の子にはもっと勉強しなきゃいけないと言う。まだまだ親の側でもそういう女性に対する教育の面での、差別とまでは言いませんけれども、偏見があるように思われてなりません。

The Power of the Pill: Oral Contraceptives and Women's Career and Marriage Decisions

アメリカの女性たちが避妊ピルを獲得したことでキャリア選択が変化していったことを論じた中で、対比として「日本はピルがないけど少子化になった」ことが紹介されている。要は、自分で自分の生殖をコントロールできないのでは、(資金的・時間的に)大きな自己投資ができなくなるということだ。キャリアが中断してもそこそこ働き続けられるような資格があれば十分、大きな投資をしても、思わぬ妊娠でキャリアが中断されたり、資格が取れなかったりしたら無駄になるだけ、と女性自身も周囲も考えるというのだ。

1970年代のアメリカの大学では、女子学生のドロップアウトを防ぐために保健室で避妊ピルが配られていたそうだ。女性の心がけの問題というよりも、社会的なバックアップの有無の問題が大きい。