リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

なんだっけ :リプロってなに?

しんぶん赤旗 2021年9月7日【3面】

 Q リプロってなに?

 A リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)のことで、子どもを産む・産まない、いつ何人産むかを女性が自分で決める権利です。そのための情報や手段を得ること、性と生殖に関する健康を最大限享受することも権利の一環です。1994年の「カイロ宣言」に国際文書として初めて明記され、今では「他の権利や自由を享受するための基礎」(2018年、国連人権理事会特別報告者らの声明)とされるなど、基本的人権の一つです。


 Q 日本の状況は?

 A コロナ禍で家庭内での性暴力や望まない妊娠が増加するなか、経口中絶薬の承認や緊急避妊薬の市販化など、リプロ保障のための環境整備を求める声が強まっています。明治期から残る刑法堕胎罪、中絶に「配偶者の同意」を求める母体保護法、心身の負担が大きい掻爬(そうは)法が主流の中絶手術、性教育などの国際水準からの遅れ、中絶する女性への差別やバッシングの問題もあります。

 産む選択の面でも、不妊治療の経済的・精神的負担の軽減、子育て環境の整備、女性への家事・育児負担の偏り是正などの課題があります。


 Q 国際水準って?

 A 中絶について世界保健機関は、掻爬法を「時代遅れの方法」とし、中絶薬や真空吸引法を推奨。中絶薬は75カ国以上で承認され、緊急避妊薬は約90カ国で処方箋なしで薬局で入手できます。国連女性差別撤廃委員会は、日本政府に堕胎罪の削除を勧告しています。国際水準に見合ったリプロの保障へ政治が役割を果たすべきです。

 (2021・9・7)