リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

自民が神道を奉じるのはダテではない

そこには根深いミソジニーと抑圧がある

自民党のほとんどの議員が議連として入っているという神道政治連盟のパンレットをの中身を読んでみて、これまでの自民党の政策の本質が見えてきたような気がしている。


驚いたのが、明治憲法を称揚していること。本気で今の憲法は押し付けられたものだとして抵抗し、「わが国独自の国柄」に戻そうとしている。つまり、天皇の統治を認め、その目的は国家の隆昌と国民の幸福の実現とし、それに君民一体で国を築くことを理想としている。


ひとことで言えば、民主主義を放棄し、天皇をてっぺんに置いての全体主義(そして、天皇を傀儡にして政府が専制主義を行える政体)を求めているらしい。


男尊女卑的な「伝統家族」への回帰を望む強い願望にとらわれているようにも見える。政府が女性の権利主張に対し、「胎児の生命尊重」を掲げて反論したがる裏に、「個人の尊厳と両性の本質的平等」に基づく現代の家族観を否定し、「産む産まないは女が決める」は「我がまま女の一方的な主張」として封殺し、家父長制的な「伝統的家族」に回帰したいという願望が透けて見える。


そこから女は「産む機械」に徹しておればいい、男をたて、男に従っておけばいいという抑圧的な発想が出てくる。だから「わきまえない」女は嫌いだし、民主主義やジェンダー平等を推し進めようとする勢力は徹底的にバッシングするわけだ。


一方、自民党の綱領を見て、さらに驚いた。今の自民党と正反対、本当に「自由主義」と「民主主義」を希求して最初は始まった政党だったらしい。どこでどう間違って今のようなことになってしまったのか……おそらく、1960年代、70年代のリベラルな思想が広まった頃に、それを制圧するために天皇制と天皇一家の宗教である神道とを対抗軸として採用したのではないだろうか。


少なくとも、神道政治連盟ができたのは1969年だった。そこに至った経緯は今後学んでいきたいが、神道系の生長の家優生保護法に反対を唱え始めたことや、自民党絡みで右翼が水子供養寺を建立したこととも時期を一にしているのは指摘しておきたい。