リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中絶の費用設定について

WHOでは2003年の『安全な中絶』(初版)の時から、中絶は女性にとって利用しやすい価格に設定すべきだと述べていた。

中絶医療に利用料、医療保険、その他の費用回収手段を適用する場合、女性のサービス利用を妨げないように設計されなければならない。
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5.2 女性が利用しやすい価格のサービス
 多くの女性にとって手の届かないほど高いサービス料に設定している施設がしばしばみられる。貧しい女性のために無料で医療を提供している公的資金によるプログラムの中には、中絶を対象外としていたり、ある種の処置にのみ支払いを限定していたりするものがある。さらに、女性は相当額の「非公式料金」(公的な医療システムの料金に上乗せして提供者が請求する料金)を求められることがあり、これに旅費や有給休暇の損失などの機会費用が加わるため、多くの女性にとって越えられない壁となっている。そのような慣行のために、自分で中絶を試みる女性たちや、安全でない医療提供者を訪れて深刻な合併症で入院することになる女性たちの数を増やし、長期的には医療制度に大きな負担をかける可能性がある。
 中絶料金が請求される場合、その料金は女性の支払能力に見合ったものでなければならず、低所得の女性や青少年を含む支払能力のない女性のアクセスを制限するようなものになってはならない。さらに、すべての施設は、「非公式」料金が請求されたりしないようにするための手順を整えておくべきである。中絶サービスを女性にとってより手頃なものにするために取ることができる他の措置には、他のサービスや高所得の女性からの収入で貧しい女性の中絶サービスを補助したり、妊娠週数や方法の違いによって中絶料金にできるだけ差が出ないようにしたりすることで、女性が料金を気にせず自分のニーズに最も合ったサービスを利用できるようになる。また、中絶サービスが利用可能かどうかに関する情報提供することなどがある。
 中絶サービスの利用可能性とそれに伴う料金に関する情報を提供することで、女性が費用に関する正確な知識に基づいて意思決定できるようにする。女性が金を支払えないという理由で、中絶を拒否したり、遅延させたりしてはならない。