リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

80億人の生活 無限の可能性(80 billions life: infinite possibilities)

国連人口基金UNFPA)の「世界人口白書」2023年版

日本語の概要のページに次のような説明があります。

女性1人あたり2.1人という出生率から外れた値は、多くの人に赤信号として受け取られます。これより高い値は「人口爆発」、低い値は「人口減少」のサインとみなされるのです。こうした見方では、課題と解決策がどちらも女性の身体に関連付けられます。「気候変動に対応するには、産む子どもの数を減らすよう女性たちを説得すればよい」、「高齢化社会に対応するには、もっとたくさんの子どもを産むように女性たちを説得すればよい」となるのです。女性や少女の身体が、こうして理想的な人口を実現するための手段として扱われるのは、彼女たちが社会的、政治的、経済的にいまだ従属的な立場にあるためです。

長い歴史の中で、国家や政策立案者は人口を操作し、特定のグループを支持し、ほかの人々を差別してきました。女性たちは、その身体を「多すぎる」または「少なすぎる」人口を調整するための単なる「道具」とみなされ、最も高い代償を払わされてきました。歴史を振り返れば、このような取り組みは概して期待されたほどの成果をあげなかったことがわかります。

人々を中心に据えた新たな取り組み方と新たな見方で、人口を捉える時が来ています。懸念ばかりに注目するのではなく、人口の達成目標から人口動態の強靭性に目を向け、歴史上繰り返されてきた、そしてこれからも続く人口と出生率の変動に対応することを目指す必要があります。これは、人口統計と出生率だけでなく、それ以外の様々なデータ集計に投資することが重要だということを意味します。また「人々は出生率の目標を達成することができるか」など、適切な問題提起をすることも含まれます。

性と生殖に関する目標とより幅広いウェルビーイングを一人ひとりが達成するために、持続可能な開発と人権の保障を支える政策を採れば、社会はより強靭なものになります。なぜなら、結局のところ、私たちが世界の人口をどう見るかは、文字通り自分たちをどう見るかに他ならないからです。私たちは何者なのか。何になりたいのか。人類の未来は、無限の選択肢の中にあります。そして、その選択は私たちに委ねられているのです。