リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

国連人権規約と国際条約は中絶の権利を保障しています

女性差別撤廃条約一般勧告第24号(1999年)
31(c) 中絶を刑事罰の対象としている法律を修正し、妊娠中絶を受けた女性に対する懲罰規定を廃止すること
https://www.gender.go.jp/international/int_kaigi/int_teppai/pdf/kankoku1-25.pdf
原文 A/54/38/Rev.1


子どもの権利条約第24条到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利に関わる一般的意見 15 号
(2013年)
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/kokusai/humanrights_library/treaty/data/child_gc_ja_15.pdf
(訳 日弁連
原文 CRC/C/GC/15(2013 年)
こどもの権利条約一般勧告15の31「子どもは避妊および安全な妊娠中絶に関する教育および指導を受けられるべきである。」
こどもの権利条約一般勧告15の54「子どもはセクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関する教育、情報およびサービスへのアクセス……安全な妊娠中絶サービスおよび中絶後のケアを受けられるべきである。」
こどもの権利条約一般勧告15の56「子どもが安全な中絶サービスを利用できるようにすべきである。セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスについて女子が自律的かつ十分な情報に基づく決定を行えるようにすべきである。中絶したことを理由に女子を退学させてはならない。」
こどもの権利条約一般勧告15の57「セクシュアルヘルス、リプロダクティブヘルスおよび子どもの健康のために、男子・男性を対象とする教育、意識啓発および対話の機会を設けなければならない。」
こどもの権利条約一般勧告15の70「短期的避妊法を性的活動を行う青少年が容易にかつ直ちに利用できるようにしておかねばならない。子どもたちが、安全な中絶および中絶後のケアのためのサービスにアクセスできるようにすべきである。」

https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/activity/international/library/human_rights/22.pdf日弁連訳)
原文 E/C.12/GC/22
社会権規約一般勧告22の10「中絶を拒否することは、生存権又は安全に対する権利を侵害するものであり、場合によっては、拷問又は残虐、非人道的もしくは侮辱的な取扱いに該当する可能性もある」
社会権規約一般勧告22の13「中絶薬は入手可能にしなければならない」
社会権規約一般勧告22の18情報へのアクセス可能性「安全な妊娠中絶及び妊娠中絶後のケア……について、エビデンスに基づいた情報を得る権利を有する」
社会権規約一般勧告22の21質の保障「中絶薬など医療サービスの提供において技術的進歩及び革新を取り入れることを怠り、または拒絶すると、治療の質が損なわれる」
社会権規約一般勧告22の28 男女間の平等、及びジェンダーの視点より、「望まない妊娠と危険な中絶は阻止すべき」
社会権規約一般勧告22の34締約国の一般的な法的義務「中絶の犯罪化又は妊娠中絶を制限する法律は廃止または改正すべきである」
社会権規約一般勧告22の40 締約国の具体的な義務-尊重義務「中絶を犯罪と見なす法律は改正すべき」
社会権規約一般勧告22の41 締約国の具体的な義務-尊重義務「中絶に第三者の許可要件を設けている政策・法律は廃止すべき」「性と生殖に関する特定の医療サービスを公的資金及び海外援助資金から除外する政策は廃止すべき」「誤情報を流布する行為…は人権尊重義務の違反にあたる」
社会権規約一般勧告22の45 締約国の具体的な義務-充足義務「性と生殖に関する健康に対する権利を完全に実現するため、適切な立法措置、行政措置、予算措置、司法的措置、促進的措置及びその他の措置を講じることは国家の義務」「性的暴行及び家庭内暴力の被害者に、身体的・精神的な医療(安全な中絶サービスを含む)を保障しなければならない」
社会権規約一般勧告22の46 締約国の具体的な義務-充足義務「性と生殖に関する健康に対する権利の完全な実現を妨げる事実上の障壁(例:過度な費用負担、性と生殖に関する医療(安全な中絶サービスを含む)への物理的・地理的アクセスの欠如)を根絶するための措置を講じることは国家の義務」
社会権規約一般勧告22の47 締約国の具体的な義務-充足義務「性と生殖に関する医療サービスの提供と供給に関し、エビデンスに基づく基準及びガイダンス(医学の進歩を反映させるため日々更新する)を作成し、実施する義務、すべての人に包括的性教育を行う義務」
社会権規約一般勧告22の48 締約国の具体的な義務-充足義務「個人の性と生殖に関する健康に対する権利の享受を妨げる社会的誤解、偏見及びタブーを根絶する積極的改善措置をとる義務」
社会権規約一般勧告22の49 すべて中絶に関連しているが、特に明示したいのは:
49「締約国は、近時の人権文書及び判例[38]、並びに国連機関(特に、WHO及び国連人口基金UNFPA))が制定した最新の国際的ガイドライン及びプロトコル[39]の指針に従う」…WHOの『アボーションケア・ガイドライン』に従うべきである。」
(a)刑法堕胎罪は廃止すべき。
(b) 十分に予算配分された、性と生殖に関する健康に関する国家戦略及び行動計画を採用し、実施すべき。
(c) 手ごろな値段で、許容可能かつ良質な中絶サービスを提供すべき。
(d) 性と生殖に関する個人のニーズと行動に関し、プライバシー、秘密保持、及び情報に基づいた、責任のある自由な意思決定を確保すべき。
(e) 危険な妊娠中絶を阻止するための措置、中絶後のケア及びカウンセリングを、必要とする女性に提供すべき。
(f) 包括的性教育を提供すべき。
(g) 中絶薬を含む必須医薬品を提供すべき。
(h) 性と生殖に関する健康に対する権利の侵害に対する是正措置及び救済策を提供すべき。
社会権規約一般勧告22の56「国家が、法律、政策又は行為を通じて、性と生殖に関する健康に対する権利を損なった場合は、尊重義務への違反に該当する。
社会権規約一般勧告22の57「個人による性と生殖に関する医療サービスへのアクセスを妨げる法的障壁(女性の中絶の犯罪化を含む)を設けることは尊重義務違反」
社会権規約一般勧告22の59「性と生殖に関する健康に対する健康の享受を妨げること(中絶若しくは妊娠中絶後のケアを求める女性を標的にした暴力、悪しき慣行を含む)を阻止するために効果的な措置を国家が講じなかった場合は、保護義務への違反」
社会権規約一般勧告22の60「日本産婦人科医会が、個人による性と生殖に関する健康に対する権利の享受を損ない、又は侵害していないことを確認するために、これらを効果的に関し・管理しなければならない。」「国家は、民間の健康保険会社が、性と生殖に関する医療サービスを保険の適用対象とすることを拒否しないよう徹底する義務を負う。」


https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2021/HRC_GC_36j.pdf (訳日弁連
原文 CCPR/C/GC/36(2019年)
自由権規約一般勧告36 
「締約国は妊娠中の女性又は少女の生命に対する権利、若しくは自由権規約の下において保障されているその他の諸権利を侵害する措置を取ってはならない。」
「中絶に関して、女性の生命を危険にさらし、肉体的又は精神的な苦痛や苦しみを与え、差別し、プライバシーに干渉するような中絶への制限を加えてはならない。」
「中絶を経験する女性に刑事罰を与えてはならない。」
「女性や少女が安全な中絶にアクセスできなくなるような障壁を作ってはならない。」
「安全でない妊娠中絶に伴う精神的・肉体的な健康リスクから女性を守らねばならない。」
「締約国は、女性又は少女が安全でない妊娠中絶に頼る必要がないように配慮しなければならない義務を負うのであり、この義務に違背するような形で妊娠や妊娠中絶を規制することは許されない。」
「妊娠継続が女性又は少女に相当の苦痛や苦しみを引き起こすような場合、特に性犯罪による妊娠の場合は特に、安全かつ合法的、効果的な妊娠中絶へのアクセスを提供しなければならない。」
「国家はプライバシー厳守で、中絶後の適切な健康管理ができるようにしなければならない。」