リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

日本の女性の人権のためのNational Machinery(ナショナル・マシナリー)

男女共同参画局という実行力のない機関

日本には政府とは独立した国内人権機関がない(法務省管轄下の人権擁護委員制度が代理にされている)ことは分かったが、もしや女性の人権についても同様では?と思って"national machinery" "UN" "women"で探してみたところ、次が出てきました。

National machinery for monitoring the implementation of the Programme for the United Nations Decade for Women.

ここで言及されているThe Nairobi Forward-looking Strategies for the Advancement of Womenの原文the Nairobi Forward-looking Strategies(1985)が見つかりました。この中で"national machinery"に言及しているパラグラフが5つ見つかったので仮訳しました。

II. 開発
A. 障壁となるもの
パラグラフ106
 開発プロセスにおける女性の効果的な統合のための適切な国内機構(national machinery)が不十分か欠如している。機構(machinery)が存在する場合、それはしばしば効果的であるための資源、焦点、責任、権限を欠いている。

II. 開発
B. 基本戦略
パラグラフ123
 女性を開発プロセスに効果的に統合するために、適切な国内機構(national machinery)を設立し、活用すべきである。効果的であるためには、この機構は、開発努力を奨励し強化するための十分な資源、コミットメント、権限を与えられるべきである。

III. 平和
基本戦略
パラグラフ258
 女性に対する暴力は、あらゆる社会の日常生活においてさまざまな形で存在する。女性は殴られ、切除され、焼かれ、性的虐待を受け、レイプされる。このような暴力は、平和と「10 年」の他の目的の達成にとって大きな障害であり、特別な注意を払うべきである。暴力の被害者である女性には、特別な配慮と包括的な支援が与えられるべきである。そのために、暴力を防止し、被害女性を支援するための法的措置を策定すべきである。家庭や社会における女性に対する暴力の問題に対処するために、国内機構(national machinery)を設立すべきである。予防政策が練られ、被害女性への制度化された援助が提供されるべきである。

F. 国家レベルでの基本戦略実施のための措置
1. 平和のための努力への女性の参加
パラグラフ271
 ドメスティック・バイオレンスの問題に対処するための国内機関(national machinery)を設立すべきである。予防政策が策定され、被害者である女性と子どもに対する経済的およびその他の形態の援助と保護が制度化されるべきである。立法措置を強化し、法的援助を提供すべきである。

C. 基本戦略の実施に向けた施策
1. モニタリング
パラグラフ317
 平等、開発、平和という「10年」の目標と目的、および「将来戦略」の実施は、1986年から2000年までの期間に監視されるべきである。国際レベルでの監視は、地域、小地域、国レベルでの、とられた行動、割り当てられた資源、達成された進捗状況のレビューに基づくべきである。国別レビューは、国際連合事務局からの定期的な統計報告要請に対する回答の形をとるべきであり、これには女性の状況に関する指標を含めるべきである。統計報告の基礎は、女性の地位委員会と協議の上、統計委員会が作成すべきである。国際連合事務局は、女性の地位の監視と改善のために設置された国内機構(national machinery)を含む各国政府の適切な機関と協議の上、このような監視の結果を取りまとめるべきである。国家レベルでとられた行動と達成された進歩は、非政府組織との協議と、適切な場合には政府の計画、実施、評価のすべてのレベルでの彼らの懸念の統合を反映すべきである。

これら5つのパラグラフは、すべて政府訳の「婦人の地位向上のためのナイロビ将来戦略(抜粋)(1985年7月)」では「抜粋」されています。
6 婦人の地位向上のためのナイロビ将来戦略(抜粋) | 内閣府男女共同参画局


作る気がなかったということなんでしょうか。