リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

世界人権会議 1993年 ウィーン宣言

ウィーン宣言と行動計画1993年6月

1993年国連世界人権会議ウィーン宣言と行動計画

女性関連部分を抜き書きします。

前文
……
国際連合憲章の前文、とりわけ基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女および大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認すると言う決意を想起し、……
世界中で女性が被り続けている様々な形態の差別や暴力を深く憂慮し、…
 ここに、次に揚げるウィーン宣言及び行動計画を厳粛に採択する。

I
18.女性と少女の人権は不可譲、不可欠で不可分の普遍的人権である。女性の国内、地域及び国際レベルでの政治的、市民的、経済的、社会的及び文化的生活への安全かつ平等な参加、並びに制を理由とするあらゆる形態の差別の根絶は国際社会の優先課題である。
 文化的偏見及び国際的売買に起因するものも含めて、ジェンダーに基づく暴力並びにあらゆる形態のセクシャルハラスメント及び搾取は、人間個人の尊厳及び価値と矛盾するものであり、除去されなければならない。これは経済的及び社会的発展、教育、母性保護及び健康管理、並びに社会扶助の分野における法的措置、並びに国内行動及び国際協力を通して達成することができる。
 女性の人権は、女性に関連するあらゆる人権文書の促進を含めた国際連合人権活動の不可欠な部分となるべきである。
 世界人権会議は、各国政府、機関、政府間機構及びNGOに対して、女性及び少女の人権の保護及び伸長の努力を強化することを求める。

29.世界人権会議は、国際人権文書及び国際人道法に規定された基準を無視して、世界の各地で続いている人権侵害、並びに人権侵害の犠牲者を十分且つ実効的に救済する手段kが欠けていることに、重大な懸念を表明する。
 世界人権会議は、武力紛争時における人権侵害が一般市民、とりわけ、女性、子ども、老齢者及び障碍者に対して行われていることを、深く憂慮する。……
30.世界人権会議は、世界各地において人権享受の重大な障害となっている大規模且つ組織的な人権侵害及び人権状況に対して、失意と非難の意を表明する。こうした人権侵害及び人権享受の生涯としては、拷問及び残虐な、非人道的な及び品位を傷つける取扱い又は刑罰……女性差別、並びに法の支配の欠如があげられる。

II
A. 国際連合システム内の人権に関する調整の拡充
B. 平等、尊厳、及び寛容

3.女性の平等な地位および人権

36.世界人権会議は、すべての人権が女性によって十分且つ平等に享受されること、並びにこのことが政府及び国際連合にとっての優先事項とされることを求める。また世界人権会議は、発展の過程に、行為者及び受益者として女性が組み込まれ、またこれに十分に参加することの重要性を強調し、環境と開発に関する国際連合会議(1992年6月3-14日、ブラジル、リオデジャネイロ)で採択された環境と開発に関するリオ宣言及びあジェンダー21第24章に明記されている、持続可能で公正な発展に向けた女性のためのグローバル・アクションに基づいて設定された目的に再度言及する。

37.女性の平等な地位および女性の人権は、国際連合全体の活動の中心に統合されるべきである。これらの問題は、関連する国際連合の機関及び機構を通じて、定期的且つ組織的に扱われなければならない。特に、女性の地位委員会、人権委員会、女性に対するあらゆる形態の差別撤廃に関する委員会(女子差別撤廃委員会)、国際連合女性のための発展基金国際連合開発計画その他の国際連合機関などの間で協力を強め、それらの目的及び目標のさらなる統合を促進するための措置がとられなければならない。この文脈において、人権センターと女性の地位向上部との間で、協力と協調が強化されなければならない。

38.特に、世界人権会議は、公的および私的な生活における女性に対する暴力の撤廃、あらゆる形態のセクシャルハラスメント、女性の搾取及び売買の根絶、司法の運営におけるジェンダー的偏見の根絶、並びに女性の権利と女性にとって有害な伝統的又は因習的な慣行、文化的偏見及び宗教的極端論との間で起こりうるあらゆる対立の根絶に向かって努力することの重要性を強調する。世界人権会議は総会に対し、女性に対する暴力に関する宣言案の採択を求めるとともに、各国家に対し、同宣言案の規定に従い女性に対する暴力と闘うことを求める。武力紛争の状況における女性の人権侵害は、国際人権法及び国際人道法の基本的原則の侵害である。特に、殺人、組織的レイプ、性的奴隷及び強制的妊娠を含むこの種のすべての人権侵害は、実効的な対応を必要とする。

39.世界人権会議は、秘密裡に又は公然と行われる女性に対するあらゆる形態の差別の根絶を要求する。国際連合は2000年までに女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約)のすべての国家による批准を奨励すべきである。また、同条約に付された多数の留保に対処するための措置をとることが推奨される。とりわけ、女子差別撤廃委員会は、引き続き同条約に対する留保の見直しを行うべきである。国家は同条約の趣旨及び目的に反し又は国際条約法と両立しえない留保を撤回することを求められる。

40.条約監視機関は、女性が人権と非差別の完全且つ平等な享受を達成するに当って、女性が既存の実施手続きをより実効的に使うことを可能にするために、必要な情報を広報すべきである。女性の平等と女性の人権への取組の実施を強化するために、新しい手続も採用されなければならない。女性の地位委員会後女子差別撤廃委員会は、女子差別撤廃条約の選択議定書作成の準備を通じて、請願権導入の可能性について直ちに検討すべきである。世界人権会議は、女性に対する暴力に関する特別報告者の任命を第50会期において検討するという人権委員会の決定を歓迎する。

41.世界人権会議は、女性が生涯を通して最高水準の身体的及び精神的健康を享受することの重要性を認識する。世界女性会議、女子差別撤廃条約、並びに1968年のテヘラン宣言に関連し、世界人権会議は男女の平等に基づき、利用しやすく且つ十分なヘルスケア及び広範囲な家族計画サービス、並びにあらゆるレベルの教育への平等なアクセスに対する女性の権利をあらためて確認する。

42.条約監視機関は、その審議と事実認定において、女性特有のデータを用いて、女性の地位と女性の人権にも配慮すべきである。国家は、条約監視機関に提出する報告の中で法律上及び事実上の女性の状況に関する情報を提供することを奨励されなければならない。世界人権会議は、人権委員会がその第49会期において、人権分野における報告者及び作業部会もまた上記のような対応をとるよう奨励されるべきであるとした1993年3月8日の決議1993/46を採決したことに満足をもって留意する。女性の地位向上部は他の国際連合機関、特に国際連合人権センターと協力して、国際連合の人権活動が女性に特定された虐待を含む女性の人権侵害を定期的に取り上げるよう手段がとられるべきである。国際連合の人権及び人道的援助の職員が、とりわけ女性に対する人権侵害を認識し、これを扱い、並びにジェンダーの偏見なしにそれらの業務を遂行できるようにするため、これら職員に対する訓練が奨励されるべきである。

43.世界人権会議は、政府並びに地域及び国際機構に対して、政策決定に関わる役職への女性の登用、政策決定過程への女性の参加のさらなる拡大を進めるよう求める。世界人権会議は、国際連合事務局がその内部において国際連合憲章に従い、女性スタッフを任命し、昇進させる一層の措置を推奨し、その他の国際連合の主要機関及び補助機関に対し、平等な条件の下での女性の参加を保障するよう奨励する。

44.世界人権会議は、1995年に北京で世界女性会議が開かれることを歓迎し、その審議において、会議の優先テーマである平等、発展、平和に従って、女性の人権が最重要視されるよう求める。