リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

外向きには先進国のふりをして女性の権利擁護、内向きには胎児を優先して女性は無視

二枚舌以外のなにものでもない

広島G7コミュニケにおける「中絶」への言及
G7広島首脳コミュニケ(2023年5月20日
「我々は、安全で合法な中絶と中絶後のケアへのアクセスへの対応によるものを含む、全ての人の包括的なSRHR を達成することへの完全なコミットメントを再確認する」



先だって行われたWomen7(W7)のコミュニケではさらに詳細な内容が盛り込まれていた。
W7のコミュニケ(2023年4月16日)

3. 包括的性教育CSE)と性と生殖に関する健康(SRH)へのアクセスを確保する。
 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジに不可欠なSRHケアの重要性を再確認する。人道的危機や緊急事態を含め、年齢、性別、セクシュアリティにかかわらず、安全で、若者にやさしく、包括的で、権利に基づき、セックス・ポジティブで、スティグマのない避妊、中絶、その他のSRHサービスへのアクセスを促進する。多様なSOGIESCの視点を取り入れたコミュニティベースの研修やアウトリーチを通じて、学校内外でCSEを実施する。中絶の犯罪化や不妊手術の強制など、SRHRに対する差別的で制限的な法律や政策を廃止する。ICPD行動計画、北京行動綱領、CEDAWなどの国際合意に基づき、SRHRに対する集団的努力と完全なコミットメントを再確認すること。


G7ジェンダー平等大臣共同声明(日光声明)

3.すべての人が包括的性教育CSE)と性と生殖に関する健康(SRH)ケアを受けられるようにする。
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの不可欠な部分として SRH ケアの重要性を再度強調する。人道危機や緊急事態を含め、年齢、ジェンダーセクシュアリティにかかわらず、安全でユースに優しく、包括的で、権利に基づいた、性に対して肯定的で、恥の意識を抱かせない避妊、中絶、その他のSRH サービスへのアクセスを促進する。多様な SOGIESC の視点を取り入れたコミュニティベースのトレーニングやアウトリーチを通じて、学校内外で CSE を実施する。中絶の犯罪化や強制不妊手術など、SRHR に対する差別的で制限的な法律や政策を撤廃する。ICPD 行動計画、北京行動綱領、女性差別撤廃条約などの国際条約や協定に基づく SRHR への集団的努力と完全なコミットメントを再確認する。

以上の通り、対外向けには日本もSRHR推進をしているし、堕胎罪はなくすし、安全でアクセスしやすい中絶を確保すると言っているのだが……内向きには、いつもと同じ常套文句……


UPR(人権理事会 普遍的定期的審査)
ノルウェー「安全、遅滞なく、アクセスよい避妊と中絶を」⇒政府「倫理観、道徳観に深く関わる問題で議論を深める必要認識」
メキシコ、ニュージーランド「中絶の非犯罪化、母体保護法配偶者同意の廃止」⇒政府「胎児も生きているものとして保護される必要があり、胎児の命を尊重しないことは人権を尊重しないことにもなりうる」


これは1949年の優生保護法に「経済条項」が加えられた際に、自民党議員青柳一郎が述べた次の反論と端を一にする。
第5回国会 衆議院 厚生委員会 第23号 昭和24年5月22日
「胎児もまた生命を有する。人命は尊重せざるべからざるものであります。胎児の生命を断つことは、容易に文化国家の認めざるところであることは何人もこれをただちに理解し、肯定し得るところと考えます。」