リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

【詳報】重度の障害があった8歳息子を殺害「死んで楽になりたいと心中を…」母親が裁判で語る【岡山】

岡山放送 2023.09.22

不妊治療の強要はDVや性暴力にもなりうるけど、このケースではほとんど「拷問」にも該当する域ではないかと思う。

2022年6月、岡山県和気町で障害のある8歳の息子の首を絞めて殺害したとして、殺人の罪に問われている36歳の母親の裁判です。9月21日の弁護側による被告人質問で、被告は、息子と心中しようとした理由を語りました。

岡山県和気町のパート従業員、藤井典子被告(36)は、2022年6月、実家の敷地内に止めていた車の中で息子の蒼天君(当時8)の首をタオルで絞めて殺害した罪に問われています。

9月20日に開かれた初公判で藤井被告は起訴内容を認め、裁判では、犯行当時の藤井被告の責任能力の有無が争点となっています。

検察側は「重度の障害がある息子を受け入れられない夫に離婚を迫られた上、家を追い出され、自殺することを決意した。息子を一人残せないと心中を図った」と指摘しました。

9月21日の弁護側の被告人質問で、藤井被告は自殺を決意した理由を問われ、こう話しました。

「息子を施設に入れるとしても月20、30万円は稼がないといけないと父に言われた。もうどうしていいか分からなかった」

「ボロボロになりながらも不妊治療を続け、5人の子どもを失った。(1人目から5人目まで流産、または死産)その度に悲しんで弔う時間もなく、夫に早く子供を作れ、妊娠しろと言われた。死んで楽になりたい。失った(5人の)子供のところにいきたい、(亡くなった)大好きなおじいちゃんに会いたいと思った」

また、息子を一人残せないと思った理由を聞かれると、「母親に捨てられたと思われてほしくなかった。他の何かを失っても、息子は傍にいてほしいと思った」と話しました。

息子の存在について聞かれた藤井被告は、「私がつらそうにしているとぎゅーしてくれたり、ほっぺにチューしてくれたり、頭をなでてくれたり、息子なりに癒してくれていた」、「唯一無二の存在。何にも代えがたい宝」と答えました。

最後に弁護側に、「あなたにとって息子はかけがえのない存在ということですね」と聞かれると、力強く「はい」と答えた藤井被告。「罪を償い、罪を犯した自分を雇ってくる場所があれば、一生懸命働きたい。6人の子どもの母親として恥ずかしくないように自分にできることを精一杯尽きるまで生きていきます」と語りました。

裁判は、9月25日に結審する予定です。