リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

UN: Instruments and Mechanisms

国連の仕組みを学ぶ①

ここから始めるべきだなと思ったけれども、のっけからつまずいた。Instrumentsを日本語でどう表現したらいいのかが分からない。
https://www.ohchr.org/en/instruments-and-mechanUN:

Instrumentsの説明はこちらにあった。仮訳しながら確認していく。
Human Rights Instruments | OHCHR
「国際人権の基盤となる法的枠組みを提供する文書を探求する。」と表題の下にあり、Core InstrumentsとUniversal Instrumentの2つに分かれている。「国際文書」くらいが該当するだろうか。日本語の国際連合広報センターを探しても、この言葉に該当しそうなものは見当たらない。それどころか、Instrumentsを紹介しているページが見当たらない。すべてのInstrumentsのリストのリンク先が検索ページになっていたりして、あまり使い物にならないようだ。


先にCore Instrumentsから見ていくと、次の説明がある。
「国際人権章典や中核的人権諸条約のほかにも、人権に関する世界共通の文書が数多くある。以下はその一部である。」


そこで列挙されているのは次の18の文書(7条約、2規約、9選択的議定書)である:

1984年12月10日採択
拷問及びその他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約


1979年12月18日採択
女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約


2006年12月12日採択
障害者の権利に関する条約


1989年11月20日採択
児童の権利に関する条約


2010年12月23日採択
強制失踪からのすべての者の保護のための国際条約


1965年12月21日採択
あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約


1990年12月18日採択
すべての移住労働者及びその家族の権利の保護に関する国際条約


1966年12月16日採択
市民的及び政治的権利に関する国際規約


1966年12月16日採択
経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約


2002年12月18日採択
拷問及びその他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約の選択議定書


1999年10月6日採択
女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書


2006年12月13日採択
障害者の権利に関する条約の選択議定書


2011年12月19日採択
コミュニケーション手続きに関する子どもの権利条約選択議定書


2000年5月25日採択
武力紛争における子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書


2000年5月25日採択
児童の売買、児童買春および児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書


1966年12月16日採択
市民的及び政治的権利に関する国際規約の選択議定書


2008年12月10日採択
経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の選択議定書


1989年12月15日採択
死刑廃止を目的とする市民的及び政治的権利に関する国際規約の第2選択議定書


一方、Universal Instrumentの方を見てみると、「国際人権章典や中核的人権諸条約のほかにも、人権に関する世界共通の文書が数多くある。以下はその一部である。」との説明がある。その下には4ページあって、1ページ目にはさまざまなテーマとそれに関連した1~2の文書が(条約のみならず、宣言やガイドラインなども)示されている:

強制労働
1957年6月25日採択
1957年強制労働廃止条約(第105号)


移行期の司法
2005年12月15日採択
国際人権法の重大な侵害および国際人道法の重大な侵害の被害者に対する救済および賠償を受ける権利に関する基本原則およびガイドライン


拘禁と投獄、囚人の扱い
1990年12月14日採択
囚人の処遇に関する基本原則
1988年12月9日採択
あらゆる形態の拘禁または投獄の下にあるすべての人の保護に関する原則本体


裁判官と弁護士の独立
1985年9月6日採択
司法の独立に関する基本原則
1990年9月7日採択
弁護士の役割に関する基本原則


法の執行
1990年9月7日採択
法執行官による武力および銃器の使用に関する基本原則
1979年12月17日採択
法執行官の行動規範


差別と不寛容、教育
1960年12月14日採択
教育における差別禁止条約


人身売買
1949年12月2日採択
人身売買及び他人の売春の搾取の防止に関する条約


児童および強制結婚
1962年11月7日採択
婚姻の同意、婚姻最低年齢及び婚姻の登録に関する条約


女性
1979年12月18日採択
女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約 1979年12月18日 ニューヨーク


人道に対する罪
1968年11月26日採択
戦争犯罪及び人道に対する罪に対する法定制限の不適用に関する条約


ジェノサイド
1948年12月9日採択
ジェノサイドの犯罪の防止及び処罰に関する条約


無国籍
1961年8月30日採択
無国籍者の削減に関する条約
1954年9月28日採択
無国籍者の地位に関する条約


子どもの権利
1989年11月20日採択
児童の権利に関する条約


難民
1951年7月28日採択
難民の地位に関する条約


司法行政
1985年11月29日採択
犯罪および権力乱用の被害者のための司法の基本原則宣言


HIVエイズ患者
2001年6月27日採択
HIV/AIDSに関するコミットメント宣言


人種差別
1978年11月27日採択
人種と人種的偏見に関する宣言


開発の権利
1969年12月11日採択
社会進歩と開発に関する宣言


宗教的不寛容
1981年11月25日採択
あらゆる形態の不寛容および宗教または信仰に基づく差別の撤廃に関する宣言


女性に対する暴力
1993年12月20日採択
女性に対する暴力撤廃宣言

2~4頁を"women"をキーワードに見ていくと、2ページ目には「ジェンダー主流化(Gender Mainstreaming)」の項目があり、文書(Instrument)として「同一報酬条約」が示されている。そりゃー、ジェンダーに関わらず同一報酬にするというのは分かるけど、それがメインの条約なのだろうか?……調べてみたら、なんとそうだった! 「男女同一賃金」に関する条約らしい。

ジェンダー主流化
1951年6月29日採択 1951年
同一報酬条約(Equal Remuneration Convention)(第100号)

3ページ目には「差別と不寛容、女性」:

差別と不寛容, 女性
1999年10月6日採択
女子差別撤廃条約選択議定書

4ページ目には「受刑者の処遇、女性」:

受刑者の処遇、女性
2010年12月21日採択
女性受刑者の処遇および女性犯罪者の非拘禁措置に関する国際連合規則(バンコク規則)

他にも、児童婚に関する文書などは、間違いなく女児に関する問題が圧倒的に多いと思われる。

今日はここまでにしておこう。