リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

メキシコにおける薬による中絶サービス提供のための遠隔医療: 安全性、実現可能性、受容性の研究

メキシコの2022年の調査

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Telemedicine for medical abortion service provision in Mexico: A safety, feasibility, and acceptability study.
Peña M, Figueroa Flores K, Muñoz Ponce M, Facio Serafín D, Camarillo Zavala AM, Ruiz Cruz C, Ortiz Salgado IG, Ochoa Rosado Y, Socarras T, Pacheco López A, Bousiéguez M.
Contraception. 2022 Oct;114:67-73. doi: 10.1016/j.contraception.2022.06.009. Epub 2022 Jun 24.
PMID: 35753406
メキシコにおける薬による中絶サービス提供のための遠隔医療: 安全性、実現可能性、受容性の研究


要旨
目的
 メキシコの民間医療部門における遠隔医療による薬による中絶サービスの安全性、受容性、および実現可能性に関するエビデンスを得ることを目的とした。


研究デザイン
 TeleAbortoと呼ばれる遠隔薬による中絶サービスを評価するための前向き観察1群間研究が、3つの民間診療所と1つの非医師の地域密着型医療機関で実施された。本研究に関する情報は、電話、ウェブサイト、ソーシャルメディアを通じて提供された。中絶希望者は、適格かどうかのスクリーニングを受け、自宅近くのサービスで、研究施設から要求された中絶前検査を受けた。適格な参加者は、中絶薬、鎮痛剤、説明書が入ったパッケージを受け取り、7~14日後に遠隔フォローアップの連絡が予定された。主要アウトカムには、中絶の結果、有害事象の管理、受容性、およびパッケージの受け取りやフォローアップの連絡、中絶前後の検査を受けるための課題などの実現可能性の指標が含まれる。


結果
 581件のスクリーニングを実施し、378件の検査パッケージを送付したが、すべて正常に受領され、全32州の中絶希望者に届いた。参加者は全員、研究プロトコルに従って妊娠70日以前に薬を服用した。中絶の結果は参加者の87%(330人/378人)で判定され、93%(306人/330人)が介入なしで、18人が介入ありで中絶に成功した。参加者はTeleAbortoに高い満足感を示しており、最も重視する点として利便性を挙げていた(85%;264/311)。


結論
 本研究は、誘導自己管理型遠隔中絶がメキシコにおいて安全であり、受け入れ可能であり、実現可能であることを示した。このモデルは、先住民や農村部の人々、および公共部門のサービスに依存している人々のアクセスギャップを埋める可能性がある。


意義
 この知見は、早期の薬による中絶のための遠隔医療モデルを支持する証拠となるものであり、支援医療提供者とともに実施される自己管理プロトコルの実現可能性と、メキシコにおける広範な地理的範囲の可能性を示すものである。