リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

少子化対策と生殖医療

現代医学 69 巻 1 号 令和 4 年 6 月(2022)

現代医学誌座談会

2019年の不妊治療の治療周期数 458,101回(内訳:凍結胚移植(FET 周期※) 215,203 回、顕微受精(ICSI 周期 ※) 154,824 回,体外受精IVF 周期※) 88,074 回

※FET:Frozen-Embryo transfer(凍結胚移植
 ICSI:Intracytoplasmic sperm injection(アイシー:顕微授精)
 IVF:in vitro fertilization(体外受精


  • 日本の生殖補助医療を受診する年齢のピークは39~40歳と比較的高め
  • 年齢が高くなるほど妊娠をしても良い卵ではないために育たず流産率は上がる
  • 治療のピークが 39~40 歳という日本の現状では妊娠成績を上げるのは難しい
  • 諸外国では 40 歳以上になると第三者からの卵子提供で体外受精を行い若い世代と同様に妊娠できるが、日本では関係する法律の整備が進んでいないために卵子提供はできない
  • 治療周期数が増えても妊娠・出産に至る人が減っている
  • 2019 年 出生数86万 5,234人、14.3 人に 1 が生殖補助技術によって生まれている

38歳で生産率と流産率が交わり、以降は出産に至るよりも流産する可能性が高くなる。
39~40歳で妊娠率(/総治療)と流産率が交わり、以降は妊娠しても流産に終わる可能性が高くなる。


こうした事実を当事者に告げて、高度生殖医療に誘導しているのだろうか?
ピークは39、40歳だと言われている。五分五分である人たちが最も多いというのは、なんかおかしくないでしょうか? 「保険診療」にしたことで、「誘導」されている人たちがいるように思います。

それ以上に、保険診療化されたことで、「安定収入」が入ることになった人々が増え、一方で、「ダメかもしれない」不妊治療に誘導されて、結局、うまくいかずに苦しむ人々を増やしている……ということはないのでしょうか?

人口を一人増やすために、どれだけの公金が費やされたのか……知りたいです。そして、そのためにどれだけの女性が苦しい思いをしているのか……とても気にかかります。