リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

文科省採用のライフプランニング教育プログラム

男女共同参画推進の観点に立った内容だが……

文部科学省ライフプランニング教育プログラム開発ライフプランニング教育プログラム開発 採択状況

高校生向け
広島県教育委員会 高校生のためのライフプランニング教育プログラムの開発事業
報告書【PDF:1,316KB】

質問項目6.「進学や就職や結婚について,男性・女性の期待される役割が暗黙のうちに決められていると思う。」に関して、受講前後の意見に有意差が出ていないことが気になった。

私の未来の拓き方 ストーリーシート7種
それぞれに「悩み」を抱えており、何が問題であるかを考えさせる形式。

大学生向け(3つ)

学校法人神奈川大学 神大ワーク&ライフデザイン教育プログラム~地域連携による男女共同参画推進を見据えたキャリア教育
報告書1【PDF:8,058KB】

4.仕事を続けながら子どもを育てたいという意欲がある
とてもそう思う  40%⇒53.3%
そう思う     53.3%⇒40%
そう思わない   6.7%⇒0%
全くそう思わない 0%⇒6.7%


5.制度が整っていない会社でも自分次第で仕事と子育ての両立を可能にする自信がある
とてもそう思う  13.3%⇒33.3%
そう思う     13.3%⇒40%
そう思わない   60%⇒26.7%
全くそう思わない 13.3%⇒0%

肯定回答が増えたのは成功した「ロールモデル」の話を聞いているためではないか?


報告書2【PDF:4,316KB】
神奈川大学法学部 井上匡子教授による「ジェンダーと法」の講義がある

国立大学法人信州大学 教養教育(教職科目を含む)におけるライフプランニング教育プログラム開発
報告書1【PDF:4,631KB】
SDGsを採用:「目標 5のジェンダー平等は先進国でも多くの課題があります。目標 7〜12 はエネルギー,働きがい,平等,つかう責任等,私たち一人ひとりにとって取り組むべき課題が多くある内容といえます」
SDGsに関するユニセフサイトの紹介も。
(4)コラム 江戸時代の女性 ―町人階級の生活を垣間見る―  を用いているのが特徴的

(株)Cicom Brainsがweb上で公開している「無意識の偏見度チェック」を実施
ある学生の感想:企業の男女の偏見についての質問には女性はか弱いという風に思われているという前提で問題が作られており,質問がおかしいのではないかと思った。例えば,会議などで意見を強く主張する女性は,自己顕示欲が強そうだ。という問いでは,男女ともに意見を強く主張する人は自己顕示欲が強そうなので,はいと答えたが,解説では,女性はより自己顕示欲がより強く見えると有り,解説者こそ男女で分けてみていると感じた。

信州大学ライフプランニング ハンドブック
報告書2【PDF:9.336KB】

報告書3【PDF:3,922KB】

聖心女子大学 人生を切り拓くライフプランニング教育
報告書【PDF:808KB】

※プログラムの評価と課題
・個人学習、グループディスカッション、講義の組み合わせは、オンラインでも効果的であり学生にも歓迎された。スマートフォン等でも入力可能な Google フォームを使用したワークシート、Zoom 等でのグループディスカッションの実施方法等についてまとめたので活用していただければ幸いである。
・社会人がキャリアに関する体験を語るシンポジウムは、同時配信・オンデマンドの両方とも効果的であり学生にも歓迎された。教材動画を作成したので広く活用いただければ幸いである。
・当初、女子大学用、男女共学用のプログラムを作成する予定であったが、大東文化大学での検証の結果、別プログラムを作成する必要は必ずしもないことがわかった。男女による意識差は縮小しており、男子も男女平等な社会を望み、女子も養ってもらうといった価値観が弱くなっている。むしろ、家事や育児の実態や当事者の想いにはじめて触れたという感想が多数で、従来は女子向けとされてきた WLB や育児などを含むジェンダー視点に立ったプログラムの有効性が感じられる。
・ただし、受講後の自信向上、将来への不安解消といった項目は女子が低く、受講動機として将来を考えたい女子が多い。早稲田大学での検証では、女子学生をターゲットにした授業への評価が高いので、女子学生のエンパワーメントを目的とするプログラムが不要とは判断できないだろう。意識調査や就業継続に関する実態調査などを行った上で、具体的に検討する必要があると考えられる。

7.プログラムの評価と課題について-担当者所見
・前半は、主として就業を中心に扱っている。教育学的な見地だけでなく、できるだけ学生が現段階で動き出せるよう大東文化大学のキャリアセンターの情報提供を得ながら、より具体的なプロセスについて提示してきた。またあわせて、学生が卒業後に、社会的に孤立したり、不利益な立場に陥らないためにどう対処すべきか、何に気を付けるべきかについてもワークルールを含め講義した。なお、卒業生の就職活動に関するメッセージやインタビューも複数、紹介し、学生からは、精神的に気持ちが楽になったという感想が多く提出された。
 後半はワークライフバランスに軸足を移し、今後の生活において、いかに生きるかを考える契機とした。まず、自分自身の価値観を考えるワークを行った。その後、データ等を通してワークライフバランスに関する現状を解説し、社会人へのインタビュー動画等を配信、その感想を共有した。子育て中の女性へのインタビュー記事、聖心女子大学早稲田大学との共有動画の社会人(20 代)インタビュー動画は非常に好評で、就職から先の人生を想像することが困難であるがゆえに、漠然とした不安が増幅されていた学生にとって、個々の人生とその思いを聞くことは、ポジティブなメッセージになったようだ。
・本授業は男女に対して開講された。男女間の感想には大きな相違は見られなかったが、ワークライフバランスに関しては、社会人のインタビュー(動画・紙面インタビュー)や、様々なデータを提示すること通して、男女ともに、現代社会における男女の家事育児の不平等への気付きと憤りが率直に語られていた。同時に、自分の身の回りのジェンダーについても意識する機会となったようで、家庭内での両親の振る舞い(母親が食事を用意し、片付ける等)を当然としてきた自分自身の行動を変容したいという意見が特に男子に多く見られた。また、進路選択においても結婚や出産といったライフイベントを視野に入れて就職先を検討したいという感想も多かった。社会そのもののあり方を自分たちの世代が変えていきたい、という意思が男女共通して見られ、社会に参画する一員としての気概が感じられた。